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ジュニア70名が出演! 帝国劇場 新春公演『Act ONE』レポート【辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2023 vol.54】

  • 2024.1.30

建て替えのため’25年2月で一時閉館する帝国劇場。その新春公演として元日に幕を開け、無事千秋楽を迎えた舞台『Act ONE』。スーパーヴァイザー・堂本光一さんのもと、HiHi Jets、美 少年、7MEN侍、少年忍者のメンバーやフレッシュジュニアなど、約70名ものアイドルたちが各々のパフォーマンスを披露。彼らにとっての「Act ONE」=新たな第一幕となったステージの模様を辛酸さんにレポートしていただきました。

帝国劇場で元日に幕を開けたステージ『Act ONE』

今年は紅白歌合戦への出演やカウントダウンコンサートの放映もなく……しめやかな年末年始となりましたが、帝国劇場では若手グループがしのぎを削るスペクタクルな演目が繰り広げられていました。帝国劇場2024年新春公演『Act ONE』は「HiHi Jets」「美 少年」「7MEN侍」「少年忍者」などが出演する公演。スーパーヴァイザーは堂本光一です。それぞれのグループがセルフプロデュースで自分たちのコーナーを演出する、という企画。パンフレットによると、グループごとにミーティングを重ねてテーマや演出を考えていったそうで、たとえばHiHi Jetsはステージに飛行機を設置してみんなで飛ぶとか、少年忍者ではゾウを出したいといった大胆な意見が出てきたとのことで、期待が高まります。『Act ONE』は日本語で「第1幕」、新たな幕が開き、個人の才能を輝かせる、ということを表しているのでしょうか。帝国劇場に行くと、ロビーの柱がそれぞれのグループの写真で飾られ、撮影できるようになっていて盛り上がっていました。
開幕すると、まず登場したのはフレッシュジュニアの少年たち4名。いつかステージに立ちたいという夢を語ったり、「あの4グループ、バチバチしてて怖くない?」と、熾烈に競い合う先輩たちについて話したりしています。そうこうしているうちに場面が転換し、HiHi Jetsを中心に4グループがテーマ曲「Act ONE」を歌います。しかし「おまえさっき当たったろ」「てめえだろ!」と、不穏な雰囲気に。輩っぽい口調も新鮮です。少年たちに「お兄ちゃんたち、ケンカはだめだよ!」と言われ「実力ではっきりわからせてやるよ!」という流れに。昨年までの新春の演目よりシンプルでわかりやすいストーリーです。今年は反戦がテーマのコーナーや、タイタニック号の沈没やヒンデンブルグ号爆発など、世界の悲劇のコーナーもなさそうです。めくるめくショータイムに身を任せる2時間。戦争シーンはなくてもグループごとの小競り合いはあるので、自分の心を平和に保つのが大切、というメッセージも秘められていそうです。

グループごとにテーマを考案、HiHI Jetsは「Freedom」

自由を大切にするHiHi Jetsのテーマは「Freedom」、美 少年は「Beauty」、7MEN侍は男らしく「Wild」、情熱を持つ少年忍者は「Passion」、と各グループのテーマが発表されます。それぞれのグループが約20分ずつショーを見せて、合間にフレッシュジュニアの少年たちやナビゲーター役の林一敬と手島麗央の2人が場をつないでいくという構成。まずはHiHi Jetsが、派手に赤いオープンカーに乗って登場。飛行機に乗る案もあったようですが赤い車のほうが似合っていて、距離も客席に近くてイケメンぶりが引き立っています。車から降りるとローラースケートで走り回りながらダンスしていて、身体能力の高さに驚かされました。「エンターテインメントは平和と自由の象徴なんだ!」という直球なメッセージも。フレッシュジュニアたちもローラースケートに挑戦。手をつないで皆で滑っていました。光GENJI→Kis-My-Ft2→HiHi Jets→フレッシュジュニア、と親から子,孫へと受け継がれて行く伝統芸のようで胸が熱くなります。

7MEN侍のテーマは「Wild」、日替わりの「フリーダムコーナー」も

そして日替わりの「フリーダムコーナー」へ。フレッシュジュニアが披露する芸を、HiHi Jetsのメンバーがさらにパワーアップして見せる、という大喜利のような企画です。竹村実悟が「夏を感じさせたいと思います」と、観客に目を閉じてもらい、「ビユピユ……」と鳥の声を披露。場が和んだところで、作間龍斗が「レッツフリーダム!」とパワーアップさせた芸を見せることに。「目を閉じてくださいね……」と何秒か経ち、目を開くとそこにはほぼ半裸、タンクトップ脱ぎかけの作間龍斗が立っていました。飛び込み選手役を演じたドラマ『DIVE!!』以来の半裸かもしれませんが、引き締まった体に静かなどよめきが起こっていました。後輩ジュニアも「次元が違う。さすがですね!」と感心。ちなみにこのコーナー、毎回の芸に当たり外れがあるそうですが、この日は当たりだったのかもしれません……。
7 MEN侍は黒い衣装でワイルドに登場。「Clap your hands!」と客席を煽りますショー形式とはいえ、帝国劇場なので歓声を上げられず手拍子が参加手段。バンド編成で楽器を演奏するシーンや、少年にギターのコードを教える場面もありました。音の洪水に身を任せながら、クールでワイルドなステージに没入。

「Beauty」を掲げる美 少年と「Passion」を見せる少年忍者

美 少年は、「Beauty」を掲げるだけあって、白い王子様のような衣装で登場。邸宅のセットはメンバーをかたどったステンドグラスが飾られ、かなり作り込まれていてさすが帝国劇場です。6人の貴公子たちは「日本の美しさを見せてあげるよ」と和傘を使ったパフォーマンスを見せました。やんごとなき雰囲気なのに、「ねぇもっと」という曲の最後のセリフが官能的でギャップにドキドキしました。しかもダンスしていたので、「ハァハァ」という息づかいまで……。各グループ、それぞれ違った魅力があってキャラがかぶっていないので、争う必要がないのでは?と思えてきます。
21名の少年忍者のパフォーマンスは圧倒的な迫力がありました。ブレイキンやパルクール、バク転など……。紅白で郷ひろみがサポートされながら披露した片手立ちの技も軽々こなしています。ロープをつかんだ回転もかなり高速で、シルク・ドゥ・ソレイユレベルの高度な技を見せられたようです。ポテンシャルが渦巻くグループだと改めて実感。

希望を感じさせる第一幕の幕開けとなった『Act ONE』

それぞれのパフォーマンスを発表した後、グループどうしの争いはいったん落ち着き、「今はとにかく信じて進むしかない!」「そうやって言い聞かせないとオレらの未来なんてないんだ」「この闇を突き抜けて走り続けたい」などと心情を吐露する各メンバー。「こんな不安な時にオレたちはどういればいいんだよ!」「オレたちも自分たちのことで精一杯なんだ!」と、今、彼らが置かれている状況を表すようなセリフが胸に迫ります。
「オレたちの楽しみは、何よりも目の前にいる人たちを楽しませること」「これがオレたちの『Act ONE』」と、前向きな言葉も出てきてよかったです。「闇を突き抜けて」という曲の歌詞が心に響きます。これまでスポットや歓声を浴びて称讃されてきた彼らが、昨年から逆境を経験し、セリフのように不安にかられることもあったことでしょう。しかし才能や可能性には闇を突き抜けるパワーがありました。何より、光と闇、ポジティブとネガティブを経験したことで、歌やダンスや演技にさらに深みが出てきたように思いました。「Act ONE」、第1幕は希望を感じさせる幕開けとなりました。

辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は『女子校礼賛』(中公新書ラクレ)、『電車のおじさん』(小学館)、『新・人間関係のルール』『大人のマナー術』(光文社新書)など。

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