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離婚後、おひとりさまを満喫したからこそつかんだ41歳・電撃国際再婚

  • 2024.1.29

「このままずっと一人なのかな」と悩むあなたに届けたい、本当にあった大人婚物語。35歳以上で結婚した大人婚の先輩たちに、出会ったきっかけや結婚の決め手、妊活・キャリア・親の問題まで根掘り葉掘り聞きました。ここに紡がれた幸せな物語はすべてほんもの。だから全部あなたにも起こりうること――。今回は、離婚後、独身生活を満喫していたところ、ひょんなことからカナダ人男性と恋に落ち、41歳で国際結婚したGさんのお話。

【今回の大人婚さん】Gさん 結婚時の年齢:41歳

現在46歳となるGさんは、2つ年上のカナダ人の夫・Rさんと、5歳と2歳の子どもたちの4人でカナダの都市・カルガリーで暮らす。じつはGさんにとってこれが2度目の結婚だ。

離婚後、「独身サイコー!」の日々

Gさんが最初の結婚をしたのは20代中盤。約10年の結婚生活を経て30代半ばで離婚し、初めて一人暮らしすることになった。
「それがもう、めちゃくちゃ楽しかったんです!」

ホームパーティの様子。ひとり身の寂しさはあまり感じなかった

自分のセンスだけで揃えた居心地のいい部屋で、友達とホームパーティをし、気兼ねなくおしゃべりをする。週末にはお菓子作り教室に通い、アロマの勉強。いちばんハマったのが、真っ暗な空間でエアロバイクを漕ぐエクササイズ「暗闇バイク」。もともと全く運動には興味がなかった文化系女子のGさんが、通い放題のコースに入会し、出社前の朝6時半にひと漕ぎ、勤務後にもまたひと漕ぎと、暇さえあればエアロバイクを漕いでいた。

「人目を気にせず体を動かして汗をたくさんかいて、ストレス発散になるんです。インストラクターの先生が『Good job! 自分に拍手を!』ととにかく褒めてくれて。ハマりすぎて腰を痛めたほど(笑)」
独身生活があまりに楽しすぎて、恋人を作る気はさらさらなかったそう。

ところが38歳を過ぎたころ、異動先の業務内容が合わず、活躍できない日々が続いた。
「同僚がみんな仕事ができるなか、自分だけ成果を出せていない気がして。焦りと劣等感で楽しかった仕事がどんどん辛いものになっていきました」
ちょうどその頃、同年代の会社の友だちがパートナー探しに精を出し、いろんな出会いの場にGさんを連れ出してくれた。現状を変えたい、心の拠り所を見つけたい、という気持ちもあって恋愛に少し前向きに。叶わぬ片思いをしたこともあった。

「でもやっぱり積極的にはなれなかったですね。男の人と会ってみても、向こうにグイグイ来られると引いてしまって(笑)。仕事の悩みを打ち明けられる友だちを見つけたかっただけなのかもしれません」

カナダからの旅行者に本屋を案内したら……

Gさんに大きな転機が訪れたのは2016年11月、39歳のとき。アメリカに留学経験があり、実家にもしょっちゅう海外の人が泊まりに来ていたGさんは、当時、海外の人が多く使っていたマッチングアプリで英語の話し相手を探していた。そこで「日本の本を探している」というカナダ人旅行者のRさんとマッチング。洋書コーナーもある大型書店で待ち合わせすることになった。

「向こうは旅行者だし、恋愛しようという気はさらさらありませんでした。こんなこと言っちゃ彼に悪いですけど、好みのタイプでもなかったですし(笑)。ただ、山登りしている写真があって、自然体でいいなとは思ったかな」

その印象は実際に会っても変わらず、異性として意識することもなく書店で遠藤周作の英語版や、水木しげるのまんがを一緒に選び、そのあと「せっかくだから日本のものを食べてほしい」と鉄板焼き屋に連れて行った。
「ときめきはなかったのですが、すごく話しやすくて。気が付いたら初対面なのに、離婚歴があることまで話していました」

「夫とはほとんどけんかしたことがありません。やってほしいな、と思うことを先回りしてやってくれる気遣いの人です」

その翌々日には彼は帰国し、もう会うこともないと思っていた。ところが、その後も毎日LINEのやりとりが続き、いつのまにか、彼にまた会いたいと思うようになっていた。

「お正月休みに向こうの友人を訪ねつつ、彼の住むカルガリーにも行くことにしました。そこでお互いの気持ちを確かめ合い、お付き合いすることに」。踏み込んだのはGさんの方から。出会ってからわずか2カ月の急展開だった。

帰国後は毎日、お互いの予定を連絡し合って、LINE電話。交際中、遠距離恋愛の不安はほとんど感じなかったそう。
「それよりも仕事の不安を打ち明ける相手ができたことで、むしろ心は満たされていました。ただやはり一度失敗しているので、結婚はないかもと老後のために一人暮らし用のマンションを購入したんですよね」

その年の夏休み、今度は彼が日本にやってきて、家族に会わせることに。もともと海外に縁の深い家庭だったのもあって、家族も彼の温和な性格にふたりの関係を認めてくれたそう。「彼と出会ってからのG、すごくキラキラしてる」と友人からも言われ、だんだん結婚へ気持ちが固まっていった。
「長旅ですごく疲れて、彼の前で大いびきをかきながら寝たことがあったんですよ。やってしまった!と思ったら、彼は全然気にしていなくって。こんな姿も見せられるようになって、自分はこの人といるとすごく楽なんだな、この人とだったらずっと一緒に暮らせるって思ったんですよね」

カナダと日本、どちらで生活するかRさんと相談し、Gさんがカナダへ移住することに決めた。購入したマンションは貸し出すことに。
「仕事でくすぶっていたので、新天地で頑張りたいという気持ちもありました。同時に考えたのは、子どものこと。お互いすでに40代だったので、Rとは『できなかったら夫婦二人の生活もいいよね』と話していました。

カナダへ移住、43歳で第2子妊娠

都会と自然がほどよく共存するカルガリーとその近郊エリア

2018年3月、Gさんは会社を辞めてカナダへ。秋の結婚式までは現地の語学学校に通い、移住環境を整えようと考えていた。すると、4月に妊娠発覚。「まさかこんなに早く授かれるなんて。じつは、彼とつきあう前、不正出血があって婦人科へ行ったら、偶然、不妊の原因が見つかったことがあって。わずかな期待を込めて手術をしておいたのがよかったのかもしれません。移住計画は大幅変更になりましたが、とにかく嬉しかった!」 日本で産むことに決め、帰国して10月に挙式。12月に出産し、翌年3月にカナダへ戻った。異国で初めての子育て。不安はなかったのだろうか。

「カルガリーは大きな日本人コミュニティがあって、困ったことは日本語で相談できる環境が整っていたんです。日本食の材料もすぐ手に入るんですよ。それにカナダは移民の国。現地のみなさんもとてもおおらかで、親切にしてくれ、子どもや妊婦に優しいんです。いっぺんでこの国を好きになりました」

夫のRさんは残業もなく17時には帰ってきて、育児も家事もGさんと同等にしてくれる。そのおかげで子育ても年齢の辛さをさほど感じなかったそう。そのうちに、もう一人子どもが欲しくなった。
「私たちが40代なので親が早く亡くなることを考えると、きょうだいがいたほうがお互い支え合えるんじゃないかなって……。43歳までは頑張ろうと夫婦で話して、タイミング法をとりました」

そして、「これでダメだったら諦めよう 」という最後のタイミングで第2子妊娠!
「パンデミックの真っ只中だったため、帰国せず、実母に来てもらうこともできず、カナダで出産することに。助産師の家庭訪問など手厚い行政サービスや、ご近所同士の助け合いもあって、思ったよりずっと安心して育てることができました」

「上の子は赤ちゃんのお世話が大好き。今も仲良しきょうだいです」

二度目の結婚、そして晩婚だからできたこと

二度目の結婚で幸せな家族を手に入れたGさん。それには一度目の失敗が生かされているという。
「たとえば、IKEAの家具を買ってRに組み立てをお願いしたとき、一向に組み立てる気配がなくて……。結局、買ってから半年くらい放置されてたんですよね(笑)。前の結婚だったら、こんなとき、すぐ『いつやるの?』と迫ってけんかになっていました。今は相手のペースを尊重すること、待つことを覚えました」

朝日新聞telling,(テリング)

最後に、晩婚でよかったと思うことを聞いてみた。

「30代で思いっきり独身を満喫しておいてよかったと思います。あの時、さんざん飲み歩いたり、趣味に没頭したりしたので、今、『飲みに行きたい』とかもあまり思わないんですよね。家族とこうしていられるほうが今の自分には楽しくて充実していることなんです。それに、あのおひとりさま時代に自分の芯がしっかりできたから、再婚や移住にも踏み切る勇気が持てたんだと思うんです。晩婚、いいですよ」

朝日新聞telling,(テリング)

(写真:本人提供)

■清繭子のプロフィール
ライター/エディター。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。

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