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超高額で不正な「闇チケット」を根絶するために…“NFTチケット”まで登場したK-POP公演業界のイマ

  • 2024.1.28
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多くのK-POPアーティストが“闇チケット”との戦争に積極的に乗り出している。

アーティスト自らが不正売買される闇チケットを根絶するために声を出し、違法取引業者を捕まえたかと思えば、“NFT(非代替性トークン)チケット”まで導入した。

2020年に全世界を襲った新型コロナで低迷した公演業界はその後、エンデミックで復活した。その一方で韓国では現在、闇チケットが猛威を振るっている。

韓国コンテンツ振興院によると、闇チケットの件数は2020年359件から2022年4224件と10倍以上も急増。チケットの獲得競争が激しいことで知られる歌手イム・ヨンウンのコンサートは、2枚で550万ウォン(約55万円)まで闇チケットの価格が急騰したりもした。

闇チケット販売文
(画像提供=リュ・ホジョン議員室)歌手イム・ヨンウンのコンサートチケット2枚を550万ウォンで販売するという闇チケット販売文
期待される“NFTチケット”

そんななかで歌手チャン・ボムジュンが公演に“NFTチケット”を活用して注目されている。

NFTチケットはブロックチェーン技術が適用されており、チケットを購入した本人だけが公演を観覧できるようにし、譲渡はもちろん、違法取引も不可能だ。入場券の違法販売に多用される「マクロ(反復作業を自動化するプログラム)」のようなプログラムが使えないという点で、闇チケットを根絶しうる新しい代案という業界の反応が出ている。

チャン・ボムジュンは来る2月7日から3週間、「現代カードCurated 92チャン・ボムジュン:音のない雨が降る」を通じて、闇チケットを遮断する“NFTチケット”を活用した公演を繰り広げる。

「現代カードCurated 92チャン・ボムジュン:音のない雨が降る」
「現代カードCurated 92チャン・ボムジュン:音のない雨が降る」

この公演チケットは、すべてNFTチケットで発行される。チケットを購入する方式も従来とは異なる。検証可能な乱数を無作為に生成する方式で、ランダム抽選を行う。これを通じて当選した人だけが、NFTチケットを購入できるようにした。

チャン・ボムジュンは最近進行した小劇場での公演で、闇チケットが猛威を振るうと、既存の販売チケットを一括キャンセルする強硬策を取ったりもした。

所属事務所が闇チケットへの制裁を伝えた過去とは異なり、アーティスト本人が前面に出て声を出すことで、ファンの間でも闇チケットを否定的に見る世論も広がっている。

歌手IUは不正チケット取引の摘発時、ファンクラブから永久退場させ、闇チケットを申告してくれた者にそのチケットを褒賞する「暗行御史(アメンオサ)制」を導入。イム・ヨンウンは違法取引と見なされる前売りに対して、事前の案内なしに直ちに取り消すなど強く対処した。

(画像提供=EDAMエンターテインメント)歌手IUのコンサート

またソン・シギョンは12月末のコンサートで、1人当たり1枚だけ購入可能な現場販売を実施し、彼のマネージャーは購買者に偽装してオンライン闇チケット取引現場を取り締まったりもした。

法的根拠が乏しい韓国の現状

今年3月からは、公演法の改正でマクロを活用した前売り・追加金取引への制裁が可能になる。さらに技術的な発展でNFTチケットを通じた販売が行われ、闇チケット根絶に向けて実効性のある対策になるとの期待が高まっている。

ただ、闇チケットを根絶するための努力がまともに効果を発揮するためには、継続的な監視と同時に、オンライン闇チケット取引禁止などの追加的な法改正も伴わなければならないという声も出ている。

現行法上、違法な闇チケット売買を摘発し、処罰するには法的根拠が不足している。韓国音楽レーベル産業協会のユン・ドンファン会長は、「純真なファンの心を利用して産業構造を崩す不法行為は、重罪として処罰されなければならないが、現在の韓国では軽犯罪で処罰される状況」と批判の声を上げた。

歌手IUのコンサート
(写真提供=EDAMエンターテインメント)歌手IUのコンサート

例えばアメリカは大部分の州でチケットの再販売を許容しているが、マクロプログラムを使用した場合、最大1万6000ドル(約230万円)の罰金刑に処す「オンラインチケット取引改善法(Better Online Ticket Sales Act)」を2016年に制定した。

しかし韓国では、オフライン闇チケットの売買に限り、軽犯罪処罰法により20万ウォン(約2万円)の罰金や拘留・過料処分があるだけで、オンラインを通じた闇チケット取引には制裁する根拠がない。

軽犯罪処罰法改正案にオンライン闇チケット取引を含め、犯罪行為と証明しなければならないという指摘が出ている理由だ。現在、国会ではオンライン闇チケットの売買を防ぐための法案が数件発議されたが、漂流中だ。

とある業界関係者は「公演法が改正されるが、マクロの使用を確認するのは難しく、事実上摘発が不可能だ」とし、「ファンの心を悪用した闇チケットはK-POP公演産業の持続的な発展のためにも根絶しなければならない」と強調した。

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