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化粧水に匹敵する美肌の湯。【界 玉造】で島根の文化を網羅する体験を

  • 2024.1.28

2022年にリニューアルした星野リゾートの温泉旅館「界 玉造」。2階建ての建物は全24室の客室すべてが温泉露天風呂付きで、美肌の湯として有名な温泉を堪能できます。また、日本海の海の幸を楽しめる会席料理や、島根発祥といわれる日本酒にちなんで地酒をそろえる日本酒BARなど、お風呂と美容、お酒と美食、島根の文化を満喫できるお宿です。

神々の伝説と日本の伝統を体験

界 玉造のコンセプトは「いにしえの湯と出雲文化を遊ぶ宿」。かつては【界 出雲】の名称で営業していましたが、2022年11月に【界 玉造】に変更。客室などをリニューアルしたほか、新たなアクティビティもそろえます。

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▲JR玉造温泉駅より車で約7分

宿は玉造温泉のメインストリート、玉湯川に沿った温泉街にあります。

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▲制服の襟のデザインは勾玉

「界」ブランドのスタッフが着る制服は、襟と袖にその地方特有のデザインが施されています。界 玉造は勾玉(まがたま)です。正統な天皇であることを示す “三種の神器” のひとつ八尺瓊勾玉(やまたにのまがたま)をはじめ、奈良時代まで勾玉の一大生産地だったことから、玉造の名の由来になったと伝わります。

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▲ロビーラウンジ

入口を入ると、ロビーの大きな窓からは手入れの行き届いた日本庭園を望めます。

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▲錦鯉も泳ぐ庭園には太鼓橋がかかります

歴史のある日本旅館でしばしば目にする渡り廊下。大きな石が礎石として使われていて、風情が感じられると同時に、今ではとても珍しい造りです。

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▲庭園にかかる太鼓橋は人気の撮影スポットです

キレイなアーチを描く太鼓橋は、ロビーと客室棟をつなぐ通路です。天井を支える無数の竿縁(さおぶち)は建築美を感じられる作りです。

松江の文化に触れる「茶の湯体験」

お庭を通って離れのお茶室へ。江戸時代中ごろに松江藩主だった松平治郷(不昧)がお茶の名手だったことから、松江は茶の湯文化が栄えました。当日15時30分から18時30分の間に、先着で「茶の湯体験」を予約できます。

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▲離れのお茶室

この日は「三斎流」の先生にお抹茶をたてていただきました。細川ガラシャの夫で戦国武将の細川忠興を祖とするお茶の流派で、江戸時代の中ごろに松平治郷が三斎流の師を江戸から招いたことから、今も出雲に家元があります。歴史を交えたお茶のお話が面白く、ゆったりとした時間を過ごしました。

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▲この日のお菓子は勾玉の形をした「いにしえ」

ふっくらと柔らかな曲線が美しい上生菓子。このアクティビティは無料なので、ぜひ参加してみてください。

全室温泉露天風呂つき

界ブランドのお宿では、地域の文化に触れられるご当地部屋を用意します。界 玉造では、2022年11月にすべての客室がご当地部屋「玉湯の間」にリニューアル。1階と2階は広さが異なり、それぞれ露天風呂には檜か信楽焼の2タイプの湯船を用意。今回は1階の檜露天風呂付き客室を紹介します。

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▲襖絵は勾玉と、宍道湖と中海に囲まれた水の都松江市の水面をイメージ

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▲1階の客室は52平米。広々とした露天風呂を備えます

ご当地部屋「玉湯の間」は、明るい白木や障子など、和モダンで温かみのあるデザインです。ヘッドボードの壁は、宍道湖の雲の切れ間から光の柱が差す薄明光線、別名 “天使の梯子” をイメージした藍染アートが印象的。ベッドマットは星野リゾートオリジナルの「ふわくもスリープ」で、ふっくらした布団に包まれぐっすり眠ることができました。

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▲酒蔵の麴室がモチーフ

界 玉造のもうひとつのテーマが、島根発祥と言われる日本酒。リビングの隣にある木目を活かした部屋は、天井がアーチ状になっていて、窓や扉を閉めると、まるで酒蔵の麹造り専用部屋「麴室」にいるかのよう。さらにテーブルのモチーフも日本酒の仕込み樽。ここで地酒を飲むのも特別な気分です。

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▲流麗な飾りは玉湯川の流れをイメージした研ぎ出しアート

アートには “出雲石” とも言われ、勾玉の原料になる出雲特産の青めのうや、島根県の鏡山で産出する出雲鏡石などが埋め込まれています。中に勾玉が隠れているので是非探してみてください。

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▲温泉が引かれた檜露天風呂

1階の露天風呂はスペースが広く、開放感抜群です。製薬会社の評価では “化粧水レベル” とまで言われる美肌の湯をプライベートで楽しめます。

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▲お風呂専用の地酒で愉しむ日本酒風呂

ホテルの売店では、出雲市にある酒蔵「酒持田本店」の日本酒風呂専用のお酒を売っています。日本酒に多く含まれるアデノシンが血管の拡張を促し血流がよくなり、保湿効果のあるアミノ酸も豊富。そして日本酒風呂を愉しむコツは、湯船に浸かりながらお酒を注ぐこと。フワリと広がる日本酒のいい香りを楽しめます。

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▲ゆったりした洗面

洗面の横にはレインシャワーを備えたシャワーブースがあります。

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▲オリジナル風呂敷

界ブランドのお宿では施設ごとに異なるカラーの風呂敷にアメニティが収められています。和を感じるアイテムで、結んで手さげや小物入れとして使えます。全国の界を巡ってコレクションしている人も多いです。

日本屈指の美肌の湯

平安時代中期の1001年ごろに編纂された『枕草子』に登場する玉造温泉。弱アルカリ性の温泉はクレンジング作用があって、硫酸イオンやメタケイ酸を豊富に含み、製薬会社の調査ではお肌の水分量を165%もアップさせる化粧水並みの泉質を誇ります。そこで界 玉造の大浴場には、温泉水を使った美容アイテムを男女共に用意します。

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▲お風呂の前に「温泉いろは」

界ブランドの施設で毎日開催される「温泉いろは」。地元の温泉の歴史や逸話を紹介し、湯船に浸かりながらおこなう簡単な体操なども教えてもらえます。

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▲フェイスパックを用意

大浴場の入口に置かれているのは、なんとフェイスパック用の日本酒。松江市にある米田酒造の日本酒とフェイスマスクを用意します。メラニンを抑えるコウジ酸や、肌の成分で、保湿を促す多種多様なアミノ酸が含まれ、美肌の湯とのダブル効果を期待。お酒を枡に入れて客室に持参できるので、お風呂上がりの追いパックも楽しめます。

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▲内湯は広々とした湯船

出雲大社のある島根県。宿には、大きな鳥居のある大社のような造りの大浴場を備えます。窓から見える木々の緑も美しく、湯船には勾玉の形をした檜がプカプカ浮いています。奈良時代の733年に編纂された『出雲国風土記』には「ひとたび入れば綺麗になり、再び入れば万病が治る」と記され、当時から肌への効果が知られていました。温泉でたっぷり美肌成分をチャージしておきましょう。

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▲「源泉パック」

内風呂には源泉コーナーが設けられ、脱衣場に用意されたパックを枡に入れて源泉を注いで顔に貼れば、お風呂場で天然のフェイスパックができるんです。おすすめ時間は10分ほど。男湯にもあるので、ぜひ試してみてください。きっと効果がありますよ。

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▲お社から温泉を投入

広々とした湯船には、お社に見立てた湯口から温泉が注がれます。朝食を終えて朝風呂へ行くと、ちょうど他にお客さんがいなくて、外の緑が日差しに映え、ちょっと神聖な気持ちになりました。

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▲季節の移ろいを感じられる露天風呂もあります

八百万(やおよろず)の神々が降り立つ島根県。大浴場はとても雰囲気がある造りです。さらに泉質がたいへんよく、今まで “美人の湯” なるものにはずいぶん入りましたが、玉造温泉は群を抜いて実感しました。

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▲湯上り処

大浴場入口前の湯上がり処にはドリンクを用意。マメ科の植物カワラケツメイから作った「はま茶」は、山陰地方で飲まれている健康茶。のど越しがよく、ほんのり甘味も感じます。「ゆずレモン水」もスッキリ。さらにお隣の鳥取県のアイスキャンディ「大山白バラ牛乳」のミルクと抹茶、コーヒーの3つの味も楽しめます。

「石見神楽」を見過ごすな!

地域の伝統芸能や工芸品、文化や歴史に触れる界のアクティビティ「ご当地楽」。界 玉造では宿のスタッフが「石見神楽(いわみかぐら)」を演じます。演目はヤマタノオロチ。スサノオが大蛇の生贄となったクシナダヒメを救う物語は、決闘シーンが迫力満点。巨大なオロチがうごめく姿は臨場感たっぷりでした!

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▲人気の石見神楽。スサノオとヤマタノオロチの対決シーン

島根の地酒を網羅する日本酒BAR

日本酒発祥の地とも言われる島根県。宿の日本酒BARにはスタッフが厳選した県内の地酒42銘柄がそろいます。島根には中小の酒蔵が30軒ほどあり、個性的でこだわりの強い味も多数。日本酒は未体験だけど飲み方を知りたいという初心者から、他では飲めないレアな地酒を試したいという上級者まで、宿の日本酒マイスターがおすすめのお酒を紹介します。

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▲「日本酒BAR」では畳の上で地酒を満喫

バーの営業時間は18時から21時40分まで。各回30分4名までの予約制。客室で愉しむこともできます。

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▲地酒3種(90ml)とおつまみ1種で¥1,000

日本酒マイスターに選んでいただいた3種の地酒は、島根を代表する出雲富士の最高峰で、スサノオがヤマタノオロチの尾から見つけた神剣 “天叢雲剣” にちなむ純米大吟醸「天の叢雲(あまのむらくも)」。田辺竹下酒造が4種類の酵母をそれぞれ試験的に醸したうちのひとつ「奥出雲前綿屋 試験醸造 酵母1701」。そして淡麗辛口が主流だった20年ほど前に加茂福酒造の逆転の発想で誕生した芳醇旨口の純米酒「死神」。正統派から超個性派まで味わえる神チョイスでした。

さらにおつまみは、一度試してみたかったツウな飲み方のお塩。壱岐・海士町で手作りされる「海士の塩」は、お酒がマイルドになる楽しい飲み方でした。

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▲日本で最初に作られたお酒を再現。「八塩折の酒(30ml)」+おつまみ1種 ¥1,000

ヤマタノオロチを退治するために作られた「八塩折(やしおり)の酒」を、松江の國暉酒造(こっきしゅぞう)が再現した「八塩折 黒」。仕込んだお酒を絞り、出来たお酒で仕込んではまた絞るを何年もかけて7度も再仕込み。日本酒とは思えない茶褐色で、出汁のような香りと濃厚な味わいです。まさに神話と蔵のこだわりが詰まったお酒でした。

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▲界オリジナル「お湯印帳」と、界 玉造オリジナルの「後酒飲帳」

界のお宿に「お湯印帳」を持参すると施設ごとのスタンプを押してもらえます。界 玉造は勾玉や、日本酒と杉玉のデザイン。さらに界 玉造では「後酒印帳」も販売。旅先で気に入ったお酒の味や感想を記しておけば、後日のお酒選びの参考書として役立つ優れモノです。

「奉納相撲体操」で一日を元気にスタート

界ブランドの宿では朝に「現代湯治体操」を開催。界 玉造では、島根県内で盛んにおこなわれている伝統行事 “奉納相撲” をヒントにした「奉納相撲体操」をおこないます。相撲と出雲は縁が深く、4世紀はじめ相撲をとらせるため垂仁天皇に召喚された出雲の野見宿禰(のみのすくね)が、後に相撲の神様としてまつられるようになりました。

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▲相撲の四股や摺足などの動きを採り入れた体操。ぜひ神様になったつもりで!

化粧水のような温泉とともに、神話と伝統、お茶やお酒が彩る星野リゾートの温泉旅館【界玉造】。旬の食材を活かした会席料理や冬の松葉蟹会席など、美味しい料理もそろいます。地域の宝とも言える体験を、ここですべて味わってみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:界 玉造 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaitamatsukuri/>

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