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又吉さん、パジャマを作ると小耳に挟みましたが?

  • 2024.1.29
お笑いコンビ、ピースの又吉直樹

年齢を重ねるにつれ、興味の的は睡眠空間へ

芸人や作家だけでなく、服好きとしても知られるお笑いコンビ・ピースの又吉直樹さん。遂にブランドを立ち上げたと思いきや、作ったのはオリジナルのパジャマだという。数あるファッションアイテムがある中でなぜパジャマを選んだのだろう?

「単純に、今一番作ってみたいものでした。若い頃は、人に見られる外着のファッションばかり気にしていたけど、年齢を重ねるにつれ、どんどん自分が心地よいことを意識していくようになって、睡眠空間に辿り着いたんです。パジャマや寝具を自分の納得できるものにしたいなと。塗り絵に例えたら、全部色を塗れた状態になるんです。最後の細かいところまで塗りつぶして、やっと人間として完成した感じがするんですよね」

お笑いコンビ、ピースの又吉直樹
又吉さんが着用しているのが〈水流舎〉のパジャマ。ユニセックスでM、Lの2サイズ展開。上下セットで33,000円。

ブランドの名前は〈水流舎(つるしゃ)〉。一見聞き馴染みのないこの言葉は、又吉さんのルーツである、地元の大阪府寝屋川からきているそうで。

「昔から言葉の語源を探るのが好きなんです。諸説あるんですが、僕の故郷は元々宿場町だったんですよね。ルーツである寝屋川の“寝”“屋”はパジャマを連想させるし、“川”は水が流れる。そんなことに着想を得て〈水流舎〉という名前にしました」

竜に守られながら寝ると、すごく安心感があるんです

これまでも、パジャマだけでなくジャージ、健康関連グッズなど、いくつもの寝間着を愛用してきた経験から浮かび上がってきたキーワードは「充実感」。

「きっと、小学生の頃は、お泊まり会に勝負パジャマを着て行ってたはずなんです。『俺はこれで行くぞ』『あいつこんなの着てるんや』って(笑)。大人になってもそういう気持ちを大事にしたくて、『明日は大事な日だから今日はこのパジャマを着て眠りたい』と思えるようなパジャマを目指しました」

お笑いコンビ、ピースの又吉直樹

寝間着でありながら、ちょっとした外出にも着ていけることを意識して作ったというパジャマは、オープンカラーの襟に、胸元の刺繍や、アロハシャツ風のボタンなど、古着好きの又吉さんらしいデザインだ。他にもズボンのスリットやパンツの紐など、随所にこだわりが見られる。

「刺繍は〈水流舎〉という名前から想起して水の神である竜を選び、浮世絵っぽい雰囲気で作りました。何度か修正を繰り返していくうちにほんの些細な部分まで追求したくなって。竜の口も最初は竜っぽさを出すために口を開いていたんですけど、寝ている時に着るのに口が開いていたら変じゃない?となったり。あと、竜に守られながら寝るって、すごく安心感ありませんか?神社の境内とかで寝てみたいじゃないですか(笑)」

胸元に竜の刺繍が入った、〈水流舎〉のパジャマ
胸元には、竜の刺繍が。
又吉直樹のブランド・水流舎のパジャマ
パンツの紐には、又吉さんにとって縁起の良いカラーである赤を採用した。

コントも小説もパジャマも、考え方は同じ

こうして生まれたパジャマは、2月に東京・下北沢と大阪・寝屋川で開催されるイベント会場限定で販売されるそう。一体、どんなイベントになるのか。

「せっかくパジャマをお披露目するので、“寝る”にちなんだ試みをしてみたくて、寝る前に聞きたくなる文章を書いて朗読できたら面白いんじゃないかと考えています。ただ、良く眠れることを前提にした文章って、多分そんなにないですよね(笑)。今まで考えたこともなかったお題なので、新鮮な気持ちで臨んでいます」

第一弾はパジャマからはじまった〈水流舎〉は、今後も時期やアイテムなどは決めず、何か作りたいものに出会えたら、細部までこだわって、面白がりながら続けていく予定だそう。

「歳を取ると『これの一番ってなんなんやろ』と思うことが増えるんです。髭剃り、歯ブラシ、今回ならパジャマ。いろいろ試して、僕にはこれが一生合うと思えるものがだんだん決まってくる。そういうイメージで作れたら楽しいですね。次はスカジャンかもしれないし、本かもしれないです」

〈水流舎〉としての活動は、芸人、作家というこれまでの活動とはまた異なる一面となっていくのだろうか。

「やっていることは確かに違いますが、根本の考え方は全部一緒なんです。コントも小説も、僕個人が思う自分勝手な一番を作る。そうすると、広く共感してもらえなかったとしても、誰かと強く結びつけると思うんです。多分、僕はそういう作り方しかできないんですよね」

お笑いコンビ、ピースの又吉直樹

Information

水流舎 ポップアップイベント

大阪・寝屋川会場
ポップアップストア「まだ、起きてたで」
日時:2024年2月17日(土)12:00 開場|15:30 終了
会場:LIVE HOUSE VINTAGE
住所:大阪府寝屋川市東大利町5-10

又吉直樹の朗読会「まだ、起きてたで」
日時:2024年2月17日(土)16:45 開場|17:00 開演|19:00 終演予定
会場:LIVE HOUSE VINTAGE
住所:大阪府寝屋川市東大利町5-10
チケット:前売券 4,500 円(取り扱いはFANY チケット)

東京・下北沢会場
ポップアップストア「まだ、起きてたよ」
日時:2024年2月25日(日)12:00 開場|16:00 終了
会場:ADRIFT
住所:東京都世田谷区北沢 3-9-23

又吉直樹の朗読会「まだ、起きてたよ」
日時:2024年2月25日(日)16:30 開場|17:00 開演|19:00 終演予定
会場:ADRIFT
住所:東京都世田谷区北沢 3-9-23
チケット:前売券 4,500 円(取り扱いはFANY チケット)

※ポップアップストアは入場無料

profile

又吉直樹(お笑い芸人・作家)

またよし・なおき/1980年、大阪府寝屋川市生まれ。吉本興業所属。2003年にお笑いコンビ「ピース」を結成。2015年に本格的な小説デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞。同作は累計発行部数300万部以上のベストセラーとなる。2017年には初の恋愛小説となる『劇場』を発表。2022年4月には初めての新聞連載作『人間』に1万字を超える加筆を加え、文庫化。2023年3月、10年ぶりのエッセイ集となる『月と散文』を発売。他の著書に『東京百景』『第2図書係補佐』、共著に『蕎麦湯が来ない』(自由律俳句集)、『その本は』など。又吉の頭の中が覗けるYouTubeチャンネル【渦】、オフィシャルコミュニティ【月と散文】も話題。

X:@matayoshi0
Instagram:@matayoshi_staff
YouTube:@matayoshiuzu

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