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さびれた定食屋のヤンキー店員「おっさんお疲れ!大盛りサービス」⇒その後閉店することになったワケは

  • 2024.1.26

私は飲食関係の仕事をしている35歳。実は高級レストランのオーナーです。最近引っ越しをして、帰宅途中にある定食屋に行ってみたのですが、そこの店員の第一印象が衝撃的だったのです。

初めは驚きの連続

実はこの定食屋、自分の店のお客さまが勧めていた一軒。見た目はさびれた雰囲気ですが、隠れた名店かと期待して行ったところ……。とにかく驚きの連続でした。まずは店員の女性。派手な髪色とそった眉、バリバリのため口でヤンキー丸出しといった感じなのです。

「おっさん、お疲れ! 大盛りサービスしとく!」と言われたときには正直びっくりしました。

何とか気を取り直して注文したかつ丼を待っていると、その女性店員が突然「ヨネ……また来やがったのか!」と大声を挙げたのです。相手は、戸口にいた小柄で清楚(せいそ)な女性。「てめぇは出禁だろ!」といきり立っています。ヨネと呼ばれた女性は、顔を両手で覆って外へ走って行ってしまいました。

そうこうしながら、ようやく運ばれてきたかつ丼を口にした私は、3度目の衝撃を受けました。どんな高級レストランより、味付けも何もかも、悔しいほどのおいしさだったのです。

作っていたのは?

大学卒業後ずっと飲食の仕事に情熱を注いできた私。料理も接客も徹底的に習得してきたのに、あんな店員の店があんな逸品を出せるなんて、納得できません。「空腹は最高の調味料」だったと言い聞かせ、リベンジ実食をすることにしたのです。

後日、今度は軽食を済ませてから閉店間際に定食屋を再訪。例のかつ丼を恐る恐る口に運びました。

「完敗だ……」。それはやはり最高の味わいだったのです。感激した私は料理長を呼んでもらうことに。あのヤンキー店員の父親が店長兼料理人だそうで、早速出てきてもらったのですが……。

なんと彼は車椅子に義手。父の指示に従って、娘が実際に調理をしているということがわかりました。

「実はうちの親、この間事故に遭って。お父さんのかつ丼が大好きだったお母さんは、亡くなっちゃったんだ……」

事情を知り…

父親のため、料理未経験だった娘が急きょ店を継ぐことになったのだとか。思いも寄らぬ裏事情を知ることになり、私は気の利いた言葉を伝えられません。

「何と言ったらいいか……。でも、お父さん直伝のかつ丼は本当においしいです」

すると父親が涙ながらに告白してきました。「いや、このかつ丼は俺のとは全然違う。俺は作り方を教えただけで、この子の腕が抜群なんだ。本当はこんな定食屋じゃなくて、高級店にでも就職すれば……」

「何言ってんの。お父さんとお母さんの店を守るために料理を始めたんだよ。ほかじゃ意味ないよ」

私は思わず、言葉づかいと接客を学ぶよう彼女にアドバイスしました。味は間違いないのだから、そこさえ直せばきっと……。

しかし。数カ月後に様子を見に行くと、空っぽの店内で落ち込む彼女の姿が飛び込んできました。

つぶさせはしない!

聞けば、アドバイスに従って敬語や接客マナーを必死で学んだという彼女。おかげで一時期はお客が増えたのだとか。ところが結局はこの店を閉めることになったと言います。

原因は、隣に立っているこじゃれたレストラン。

「隣の店の経営者、高校の同級生のヨネって子なんだけど……。当時好きだった男子が私に告白してきて以来、こっちを目の敵にしてさ。この定食屋の店員はヤンキーで犯罪歴があるとか根も葉もないウワサを流して客が来ないようにしてたみたい」

私は、先日の女性のことを思い出しました。清楚系に見えて腹黒。卑劣な方法で競争相手から客を奪うとは……だから彼女もあんなに怒っていたのです。

「この店がなくなったら困る……。私はあなたの作ったごはんをこれからも食べたいんだ。集客については任せてください」口からついて出たのは、私の本心でした。

さらに驚きの結末に

そこから数週間後、定食屋には長蛇の列が。それを見て隣の店から飛び出してきたのは例のヨネ。列に並ぶお客さまに向かって「こんなボロい店よりウチに~」と怒りの形相で勧誘し始めたのです。

私はヨネに説明しました。「ここに並んでいる方々は、私のレストランの顧客です。あなたが個人的なねたみでウソを出っちあげ、ネガティブキャンペーンをしていることは伝えました。上質を知る私のお客さまが、本当においしい料理を出すこちらを選ぶのは当然です」

こうして、一度彼女の料理を味わった人たちは皆、常連客に。さらに彼女とは、味の研究も兼ねて2人で外食するようになりました。素直で明るく健気な人柄を知るにつれ、私は彼女に惹かれていき……。よく知らずに第一印象だけで人間性を決め付けたことを反省し、勇気を出して告白しました。

結果は大成功です。「まさか高級店のオーナーだったなんて……。おっさんなんて言ってゴメン」と笑う彼女。これからは恋人としても力を合わせて、お互いの店を盛り上げていきたいと思います。

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見た目で人は判断できないもの。第一印象はもちろん大事ですが、相手を知ろうとすることはもっと大切です。接客について学んだ高級店のオーナーでも反省したというこのエピソード、考えさせられますね。

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著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

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