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【数学者も悩んだ問題】「10÷2(3+2)」の答えは?

  • 2024.3.10
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小学生でも解けそうに思える計算問題が、数学者も巻き込んだ論争になったことがあるのをご存じでしょうか。

今回は「計算規則」を確認しながら、その論争になった経緯をみてみましょう!

問題

次の計算をしなさい。
10÷2(3+2)

(上記問題は、ネット上で話題になった問題の数字を改題しています)

まずは、自分で計算をしてみましょう。計算規則は、皆さんが知っている通りです。

答えが「1」になった人、「25」になった人が出て来るはずです。

解説

実は今回の問題で論争まで発展したポイントは、「1」と「25」のどちらにも正解を主張する数学者が存在していることです。

計算の順序は、小学校でも習う通り、以下のようになります。

1. カッコの中から計算
2. かけ算・わり算を計算
3. たし算・ひき算を計算

計算の順序が決まっているにも関わらず、なぜ2つの答えが出てくるのでしょうか。

ここからは、それぞれの計算方法を確認してみましょう。

答えが「25」になる考え方

答えは「25」と考えた方は、次のように計算したのではないでしょうか。

10÷2(3+2)
=10÷2×5
=5×5
=25

まずカッコの中を計算し、2とカッコの間にはかけ算が省略されています。

これによって、10÷2×5となり、かけ算・わり算を含んだ計算になりました。

この場合は左から順に計算しなければいけません。

したがって、答えは25ということになります。

これは、2(3+2)の間に「×」が省略されているだけで、計算の順序に従う算数的な解釈をしています。

答えが「1」になる考え方

答えは「1」と考えた方は、次のような計算をしているはずです。

10÷2(3+2)
=10÷10
=1

ポイントとなるのは「2(3+2)」の部分の省略された「かけ算」です。

「かけ算が省略されたのだから、2(3+2)はひとかたまりの計算としないといけない」と考えています。

つまり、2(3+2)=10となって、10÷10=1という計算をしています。

「2(3+2)はひとかたまり」という考え方は、次の文字式の計算を考えると納得ができるのではないでしょうか。

9a²÷3aを計算する際、「3a」をかたまりとして扱い、「9a²÷3a=3a」となりますね。

一方、かけ算を省略しなければ「9a²÷3×a=3a³」であり、かけ算が省略されるかどうかで、わる数のかたまりが異なります。

今回の場合は、かけ算を省略をしているので「2(3+2)はひとかたまり」とするべきだと考える数学的な解釈をし、結果は「1」となります。

まとめ

それぞれの答えとなる主張をみると、どちらか一方が正解とはいえません

2(3+2)のかけ算「×」が省略されただけと解釈するか(算数的)、他の演算より優先されるひとかたまりの計算だと解釈するか(数学的)で、答えが「25」と「1」で分かれるのです。

きちんと答えが定まると思われる算数・数学でも、どのような考え方が前提になっているかを明確にしなければ、答えが決まりません。

「前提条件」というのは、とても大切ですね!

 

※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」