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大人が意外と分からない「x²=x」→xの値は?

  • 2024.3.1
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中学3年生で学習する「2次方程式」の計算の仕方を覚えているでしょうか。

式の計算、因数分解、平方根など、中学校で習う数学の知識を正しく知っていないと、2次方程式の問題を解くことができません。

今回はその中でも、間違いやすい要素を含んだ2次方程式の計算です。

「数学は得意だった」という方は、チャレンジしてください!

問題

次の2次方程式を解きなさい。
x²=x

よくある間違いは「x=1」です。

 

 

解説

正しい答えは、「x=0とx=1」の2つです。

xを左辺に移項し、因数分解をして解きます。

(1) x²=x
(2) x²ーx=0 【xを移項】
(3) x(xー1)=0【左辺を因数分解】
(4) よって、x=0、1

3行目から4行目にかけて、答えが出てきましたが、この部分の計算は分かったでしょうか。

2次方程式の解法として、「因数分解をした後に、カッコの中の数の符号(プラス・マイナス)を入れ替えて答えにする」という手順を暗記している方がいるかもしれません。

(例)
(x+3)(xー5)=0の解はx=-3、+5
【カッコ内の符号が変わったものが答え】

では、なぜ符号(プラス・マイナス)を変えたものが答えなのでしょうか。

 

それは「(かけ算の形)=0」と式変形していることがポイントです。

先ほどの例の場合、(x+3)(xー5)=0という式は、カッコとカッコの間に「×」が省略されています。

つまり、(x+3)と(xー5)をかけ算するとゼロになっているのです。

かけてゼロになるということは、少なくとも一方がゼロでなければいけません。

よって、x+3=0 もしくは xー5=0 となり、さらに移項して符号が変わりx=-3、+5となっているのです。

 

今回の問題の場合も同様です。

x(xー1)=0というところまで式変形すると「(かけ算の形)=0」となっています。

つまり、x=0またはxー1=0なので、「x=0、1」の2つが答えです。

 

答えを「x=1」のひとつしか答えなかったという方はおられるでしょうか。実はこれは間違いです。

通常「方程式を解きなさい」と言われたとき、特別な指示がない限り、該当するxの値をすべて漏らすことなく答えなければいけません。

テストで「×=1」しか答えていない場合、誤答(部分点なし)になってしまいます。

間違いやすい答えを検証

では、「x=1だけ」を解答とした計算を見てみましょう。実は途中の計算に間違いがあるのですが、どこが間違いか分かるでしょうか。

(間違えた解答)
x²=x
両辺をxで割る
x=1

これは「両辺をxで割る」という操作が間違いです。

これが「2で割る」「3で割る」というような、具体的な数字でわり算しているのであれば問題ないのですが、「文字でわり算する場合」は注意しなければいけません。

その文字が0ではないという確認をしなければいけないのです。なぜなら「÷0」という計算は数学では定義されていないからです。

しかし、与えられた「x²=x」という計算式だけでは「xが0でない」という確認ができません。
(すでに答えが「x=0とx=1」であるということを記載しましたが、結果的に「0で割る」という定義されていない計算をしてしまったことになります)

まとめ

2次方程式の計算を正しく理解できていたでしょうか。

今回は、間違えやすい問題の1つをご紹介しましたが、2次方程式にはさまざまな解法があります。

忘れていた方は是非学び直しをしてみてください!

 

※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」