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大人が意外と分からない「半径2.5cmの円周の長さは?」小学生でも分かる

  • 2024.2.27
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「円周率はいくら?」と聞かれたら「3.14」と答える方が多いと思われますが、厳密には正しくありません。

円周率は3.141592…と無限に続いているため、実際に計算するときには「円周率は3.14として計算する」といった前提条件として使われます(中学数学以降では、π(パイ)という文字を使って表します)

今回は、円周率に関する問題に挑戦してみましょう!

問題

半径2.5cmの円の円周の長さは何cmですか。
(円周率は3.14として計算すること)

「円周の長さ」はどのように計算するのか覚えているでしょうか!?

解説

まず、今回の問題の答えは「15.7cm」です。

円周は、次のように計算されます。

円周=直径×円周率

今回の問題は、半径2.5cmの円なので、直径は5cmですね。

よって、その円周は5×3.14=15.7となり、答えは「15.7cm」です。

 

さて、円周率というのは「円の直径と円周の比」のことです。つまり、次のような式で計算されます。

円周率=円周÷直径

これは、先ほどの円周を求める公式と本質的には同じものです。

ただ、実際に長さを測って、円周率を計算しようとしても、測定の誤差が出てしまいます。

そこで古代では、「円に内接する正多角形」と「円に外接する正多角形」を用いて、近似値を求めていました。

例えば、直径1cmの円に内接・外接する正六角形をそれぞれ考えてみましょう。

それぞれの図形の大小関係から次のことは明らかです。(下図と合わせて確認してください)

(内接する正六角形の周りの長さ)<(円周の長さ)<(外接する正六角形の周りの長さ)
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【上図の左】(内接する正六角形の周りの長さ)

正六角形の性質より、色をつけた部分は正三角形になっています。円の半径は0.5cm(直径1cm)なので、正六角形の1辺の長さは0.5cmとなります。

よって、(内接する正六角形の周りの長さ)=0.5×6=3cm

【上図の右】(外接する正六角形の周りの長さ)

円の中心から、外接する正六角形の辺へ垂線をひくと、「30°、60°、90°の直角三角形」が作ることができます。(色がついた三角形)

この三角形のうち、垂線となっている辺は円の半径なので0.5cmです。角度と1つの辺の長さが分かっていれば、残りの辺の長さを求めることが可能です。

図の赤い部分は約0.289cmとなります。(※数学が得意な方は、0.5×tan30°を計算してみてください)

これは、正六角形の1辺の半分となっています。

よって、(外接する正六角形の周りの長さ)≒(0.289×2)×6=3.468cm

 

以上より、3cm<(直径1cmの円の円周)<3.468cm

そして、「直径1cmの円の円周」というのは、「円周率」の値と同じになりますね。(円周=直径(1cm)×円周率だから)

つまり、3<(円周率)<3.468ということが分かりました。

これは、実際の円周率の値(3.1415…)と比べると、誤差は大きいですが、正多角形の角を増やして同様の計算をすれば、さらに正確な値が得られます。

(現代ではこのような図形的な方法ではなく、スーパーコンピュータを用いた計算が行われています)

まとめ

どのようにして3.14…という数字が出てきたのかを今まで考えたことはあったでしょうか。

「円周=直径×円周率」という公式もただ単に暗記するのではなく、「なぜ」ということを考えると、新しい視点を得ることができますね。

 

※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」