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ドイツで妊娠&出産! 診療も費用がかからずNIPT(出生前診断)も一般的なドイツの出産事情って?

  • 2024.1.25
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ドイツ・デュッセルドルフ在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお届け。今回はドイツでの妊娠・出産を経験(おめでとうございます!)した小山さんに、主に妊婦生活を振り返っていただきました。これから妊娠を考えている方はもちろん、ドイツでの出産を控えてる方にも参考になる情報ばかり!

何もかもが初めての連続〜忘れられない大切な記憶①〜【フリーアナウンサー小山瑶の海外生活in Germany Epi.29】

Frohes Neue Jahr!(あけましておめでとうございます! 少し遅いですが……)1月に入り、お店や友人とのあいさつとしてこの言葉をよく耳にします。ドイツでの年越しは私にとって初めて。年末年始は一晩中、いや、一日中花火の爆発音で盛り上がりました。2023年は人生の一大イベント「ドイツで妊娠さらには出産」を経験しました。2024年はドイツで産まれた新たな命を大切に、そしてどんな年にしようか考え中で、 日々右も左もわからない子育てに奮闘中。こんな私ですが、今年もどうぞよろしくお願いします。

ドイツで妊娠! 海外で初めての妊婦生活

妊娠9カ月のお腹。体重は+12kg。お腹の大きさもスイカ以上に!

妊娠が分かったのは2023年の3月。当時はフランクフルトに住んでいたので、現地の産婦人科にて発覚しました。日本人通訳の方とドイツ人の女性医師からの第一声は「Wunderbar!」(素晴らしい!)。今でも忘れられない大切な想い出です。参考までにですが、ドイツは女性医師の数が非常に多く、年々増え続け世界でアメリカに次いで2番目に多くなっています(2022年度現在)。これまで多くの産婦人科の医師にお会いしましたが、1人をのぞき、全員女性でした。

エコー写真と妊婦日記。毎回の検診で聞きたいことや疑問点、からだの変化などをまとめていました。検診時はドイツ語や英語でやりとりすることもしばしば。

定期検診は私の場合、臨月に入るまで4週間に1回。心音が確認できると、病院ではMUTTER PASS(いわゆる母子手帳の母親対象の冊子)が渡されます。これを手にした瞬間、自分は母になるのだと実感しました。KINDER PASS(子ども版)は出産後もらうことができます。
 
医療費についてはほとんどかからないので(※)、診察後に支払いはありません。初めて病院に行ったとき、何もせずに帰ってしまっていいものかと受付でしどろもどろになったことを思い出します。診察費用もそうですが、出産時においても費用はかかりません。ここが日本と大きく異なるところでしょうか。詳しい入院ストーリーは次回お伝えしますね。
※ドイツの医療費は全額保険負担です。

全てドイツ語で書かれていて、MUTTER PASSは次の子どもの分まで欄があります。左から:MUTTER PASS、KINDER PASS

ドイツと日本で異なる 出生前診断の認知度

妊娠10週で行う出生前診断、通称NIPTについて少しお話ししたいと思います。NIPTは簡単に言うと、お母さんの血液などから出生前に胎児の性別や状態、疾患を有無を調べられるというもの。日本では一部の病院しか対応しておらず、なおかつ値段も数十万かかると聞きましたが、ドイツでは比較的一般的。10週を過ぎてからどの病院でも行うことができ、費用は€230ほど。結果もドイツ語の文書で届き、出産前に安心して胎児の状態を知ることができるので、検査してよかったなと思いました。
 
日本で出産することも考えましたが、人生一度きりだから異国の出産を経験してみよう! という気持ちでドイツでの出産を決めました。海外出産をまさか自分が経験するとは思いませんでしたが、振り返るととても勉強になったトツキトオカでした。

妊娠5カ月の私。ぽっこりお腹が目立つように。最終的にはこのドレスは着られなくなるほどお腹が大きくなりました。

親友が来独! GENDER REVEAL PARTY

出生前診断で第一子は女の子と判明! 結果が分かったタイミングで日本から親友が遊びにきてくれることに。こじんまりとですが、ドイツでジェンダーリベラルパーティーをやってみました。家族や友人を呼んで大々的に発表する方法や、ケーキやおにぎりの中身で性別を相手に伝えるなどさまざまな方法がありますが、私は後者を選択。ギリギリまで彼には伝えず、ケーキの中身で驚かせよう! と思い、友人と0から作り始めたのですが、さらっと友人が性別を話してしまうという大事件が! それもまた楽しい思い出となりました。

友人特製のケーキ。ケーキの中身で男の子か女の子かが分かるように、土台から全て一緒に作りました。

つわりとの闘い 妊娠中の出来事

ドイツでの妊娠生活は穏やかでした、と言いたいところですが、そんなこともなく……。つわりや眠気など、からだの変化はしっかり感じました。何度「日本の〇〇が食べたい!」と思ったことか……。ドイツは日本のような、簡単ですぐ食べられる物を取り扱っているコンビニエンスストアのようなお店がないので、作るか、食べられないかの二択。冷麺をひたすら作って食べたり、工夫を凝らしながらつわりの時期を乗り越えました。ドイツはフルーツがとっても新鮮で安く、たくさんの種類があるので、すいかやマスカット、オレンジばかり食べていました。私の場合は低血圧が問題だったので、「水分をたくさん摂るよう、フレッシュオレンジジュースを水で撹拌させて飲んで」と言われたのを覚えています。日本ではどのような指摘をされるのか気になりました。

2023年6月。マルタ島に長期旅行に行きました。暑すぎる時期をずらして旅行へ。妊婦としては最後の長期旅行になりました。

妊娠5カ月になったところでフランクフルトからデュッセルドルフに引っ越しすることに。つわりも終わり安定期に入ったところでの引っ越しでしたが、思っていた以上にハードモード。病院探しに、お家探し。ドイツでは産婦人科に妊娠38週まで通い、出産時は分娩のための分娩室を別に予約をします。日本とは異なるシステムについては、日本人の助産師さんが開催している妊婦教室に通い、出産から入院するまでの一連の動きを学びました。驚いたことは、海外で出産される日本人の多さ。デュッセルドルフでは日本人向けに、特別に病院で説明会が開催されているため、比較的他の国で出産するよりは、妊婦さんに対して優しいと、助産師さんがおっしゃっていました。

妊婦旅行 in ホーエンツォレルン城。つわりが落ち着いて親友と旅行へ。

妊娠中の愛用品 多彩なマタニティグッズ

ドイツで送った妊婦生活。ここからは医師や助産師さんからの助言を受け、私が愛用していたマタニティグッズを紹介します。

乳首用クリーム。乳頭マッサージ用にドイツのドラッグストアDMにて購入。

乳首用クリームは母乳が出やすくなるよう、出産前の臨月に入ってから使用していました。ドイツの大手ドラッグストアDMで購入でき、お手ごろ価格なため愛用していました。実際に使っていたからか、出産後多くのママが感じる授乳による乳首の痛みは軽傷でした。

左から:WELEDAのお腹のオイル(約€12)、会陰用オイル(約€10)

WELEDAのママオイルは多くの妊婦さんが愛用していると思いますが、ドイツでも同様。オイルの他にもボディーバターも最近販売されているそうです。

ボディー用クリームはこの2つを愛用していました。

日本のドラッグストアでもよく見かけるNeutrogenaはドイツでも人気。PENATENはドイツで115年以上の歴史を誇るベビーケアブランド。赤ちゃんやママのためのペナテンクリームが有名です。NIVEAの青缶以上にドイツでは人気なようです。

boepシリーズ。品質にこだわった赤ちゃん用クリームや、ママ用ボディーバター等を愛用。

以前こちらのコラムでも紹介したboepシリーズは、お子さんのいる医師が開発に携わっているので、安心して使うことができます。香りが強すぎず肌馴染みもよいので、使っていて心地のよいものばかり。出産後の乾燥が気になる現在も愛用中です。

妊娠9カ月の私。公園で彼がマタニティフォトを撮ってくれました。かけがえのない夫婦時間をドイツで過ごし、忘れられない思い出になりました。

今回は私の妊婦生活で感じたことを中心にお伝えしました。ドイツで授かった大切な命。異国の地で母子ともに健康で過ごせていることに感謝の気持ちでいっぱいです。言語の壁はもちろんのこと、医療体制の違いに戸惑うことも多くありましたが、家族の支えもありどうにか適応できるものだなとしみじみ。
 
右も左もわからない新米ママの海外子育ては始まったばかり。ドイツで出会った多くの方が温かい声をかけてくれたり、気にかけてくれたり。私がしてもらったことを、今度は私が誰か困っている人に還元して親切な輪を広げていければなと強く思っています。次回は出産入院編。そちらもぜひチェックしてみてくださいね!

text : HARUKA KOYAMA

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