電車内で「俺の財布、盗っただろ！」怪しい人物を尋問 →「鞄の中身を見せろ！」なんと、その中には？

人の少ない早朝の駅や電車では、普段見られない光景が見られることも。これは私の友人・A乃さんから聞いた、始発電車で起こったエピソードです。盗難トラブルかと思いきや、実は……！？

始発電車の車内で言い争う2人

これは私が、早朝に出発する飛行機に乗るために、始発電車で空港に向かっていた時に遭遇した出来事です。

電車内の乗客はまばらで静まり返っており、長椅子に横たわって寝ている人の姿も。

そんな中、同じ車内に乗っていた男性2人が、突然激しい言い争いを始めたのです。

「今財布とったよね？」
「とってませんよ！」

どうやら財布を盗まれた人が、近くに座っていた人を犯人と疑い、尋問しているようです。

財布を盗られた人は、50代くらいの小柄な男性でした。まだアルコールが残っているのか、顔が真っ赤です。

その男性から、「お前が犯人としか思えないんだよ！」と責められているのは、30代くらいのスーツ姿の男性です。

「いやいや、とってないですって」と迷惑そうに顔をしかめるスーツの男性に、「じゃあ、かばんの中身、見せてみろよ！」と詰め寄る、顔の赤い男性。

このままでは埒があかないと思ったのか、スーツの男性は渋々、自分のビジネスバッグを開けて、中身を座席に広げ始めました。

見た目からして、仕事用の資料やパソコンなどが入っていると思いきや、そこから出てきたのは……

高校生くらいの年代の美少女の、うちわ・ペンライト・色紙・写真・Tシャツなどなど、これでもかというほどのアイドルグッズがわんさか。

（昨晩、仕事帰りに地下アイドルのライブにでも行ってきたのかな）
サラリーマン風の外見からは想像もしなかったかばんの中身に、私を含む車内の乗客たちの目は釘付けです。

その後、顔の赤い男性が空になったかばんの中身をくまなく確認しましたが、男性の財布は見つかりませんでした。

スーツの男性は自分の上着やズボンのポケットに何も入っていないことを見せてから、広げたアイドルグッズをビジネスバッグにしまい、次の停車駅でそそくさと降りていきました。

残された顔の赤い男性は、「あいつじゃないんだったら、誰がとったんだよ？」とブツブツ独り言を言いながら首をかしげています。

しかしその直後、ズボンの後ろポケットに左手を突っ込み、そのまま固まる男性。さっきまで赤かった顔の色が真っ青になっています。

（まさか……見つかった？）
私の予想どおり、男性がズボンの後ろポケットから出した左手には、二つ折りの財布が握られていました。

財布が見つかったのは何よりです。

ただ、公共の場で、アイドル趣味を無駄にバラされたスーツの男性に謝れ！という気持ちになったのは、私だけではないはずです。

外出先で財布が見つからないと「スリにあった？」「落とした？」と焦ってしまう気持ちはわかります。しかし、よく確認しないまま他人を疑ってしまうと、後々自分が恥ずかしい思いをすることになるので、気をつけましょうね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター：Hinano.N