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相手をほめるのが苦手……得意に変える方法は? 【臨床心理士・南舞さんのあるある! 心の相談室】

  • 2024.1.24

ほめるという行為への印象を書き換えてみよう。

Luis Alvarez

相手をほめたり、持ち上げるのが苦手なわたし……

相談者Bさん:「相手をほめたり、持ち上げるような言葉をかけられない…私の働いている職場では『お互いをほめあおう』という雰囲気が強いのですが、それが苦手です。

どんな言葉をかけたら良いのか悩むし、相手をほめることで『そんなことないですよ』と否定されたら気まずいし、上から目線だと思われてしまうのではないだろうかなど、色々と考えてしまいます。

それに、上司や先輩をほめたたえる=媚を売るような感じがしたり、相手を喜ばせるためにほめるというのもそれでいいのだろうかとか……考え始めると分からなくなってしまいます。臨床心理士・南さん:「ほめるという行動への固定観念を外してみませんか?」Bさん、ご相談くださりありがとうございます。

最近は仕事だけでなく、子育てやパートナー、友人などあらゆる人間関係において『ほめて育てよう』とか『ほめることが良い』という風潮がありますよね。

相手の良いところを認めてほめるというのは素敵なことだと思うのですが、あくまで相手とのコミュニケーションを深めるための手段にしか過ぎないと思うんです。

ところが、ほめることの良い面しか取り上げられなかったり、ほめるが目的になってしまっているような傾向があり、そういった背景からほめることを強要されているような雰囲気や『ほめなければいけない』という思考を強くしてしまうのかもしれませんね。

とはいえ、相手からほめられるなどのポジティブな声かけをされたらうれしいものですし、スムーズな人間関係を育むのにも役立つのも事実なので、うまく使えるとBさんの職場での人間関係にも役立つのではないかと思います。

そこで、ほめることが苦手な人に向けて、具体的にどんな方法があるのかをお話ししていきたいと思います。

VioletaStoimenova

「ほめることが苦手」と感じたら……知っておきたい方法

【1】労いの言葉や感謝の言葉を使う良いところを無理にほめようとするのではなく、相手が自分に対してやってくれたことに対して感謝の言葉や労いの言葉として伝えるという方法があります。例えば、『いつもありがとうございます』とか『~してくれて助かりました』といったような感じです。ほめようとすると、媚を売っているとか、ウソをついているような感じがしてしまう人でも、相手が自分にしてくれた事実に対しての労いや感謝を伝えるのであれば、少し抵抗感が減るのではないでしょうか。

【2】ほめることとお世辞の間に境界線を引くほめることと、お世辞を同じようなものとして捉える人も多いと思います。お世辞とは、心にも思っていないことを愛想や自分を守るためのものとして言うもの、ほめるとは、相手の行いを称えることです。こうして整理すると、全く別のものであることがわかります。それに、お世辞には自分の利益のために相手を操作するという要素もあるので、多用していると信頼関係にヒビが入ってしまうことも。相手に対して良いと思ったことはその旨を伝えればいいし、無理に良いところを作り出そうとしなくてもよいのです。【3】第三者を介して伝えてみる心理学の用語でウィンザー効果というものがあります。これは当事者よりも第三者が発信した情報の方が信頼されやすいという心理効果のことです。『〇〇さんがあなたのことほめていたよ』と言われた経験をしたことがあると分かると思いますが、第三者からこう言われる時って、うれしさがより増す感覚がありませんか?

面と向かって本人に伝えることに抵抗がある時は、第三者にお願いして伝えてもらうというのもよいと思います。【4】その人の存在を認める具体的なほめるポイントや、気の利いた言葉を探そうとしなくても、『あなたがいてくれて助かっている』ということを伝えてあげるのもおすすめです。自分の存在を肯定してもらえるってどんな言葉にも変えがたい価値があると思いますし、自信にもつながりますよね。

Kohei Hara

ほめられたら素直に受け取る習慣を

ほめることが苦手な人の特徴のひとつに、自分自身がほめられた時にどう対処したら良いのかが分からないということが挙げられます。

恥ずかしいというのもあるかもしれないし、『何か裏があるのではないか』という不安な気持ちや、『このくらいのこと、できて当然なのに』というような、自分に対するハードルの高さなど、様々な背景があると思いますが、それらは一旦置いておき、ほめられたら『ありがとう』と素直に受け取る練習をしてみてください。

最初は抵抗感があるかもしれませんが、淡々と『ありがとう』と口にし続けることで、少しずつ抵抗感が薄れていくと思います。それでもなかなか難しいという時には、『ほめられるとネガティブな感情が湧くのはなぜか』という自分の内側にある背景に目を向けることも時には必要なのかもしれません。

そんな場面だと嫌なのか、どんな相手だとより抵抗感を覚えるのか、あるいはほめられても大丈夫という例外はあるのかといった感じです。そうやって掘り下げていくと、苦手への対処が見えてくるかも。

難しい時は心の専門家と一緒に考えていくこともできますので、抱え込む前に思い切って相談してみてくださいね。Bさんの気持ちの落としどころが見つかることを願っています。

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