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ソフィア・コッポラのアートブックほか、いま読みたい3冊。

  • 2024.1.22
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女の身体で生まれてきたことで、私を打ちのめすものと戦う。

『わたしに会いたい』

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西 加奈子著集英社刊¥1,540

大きな乳房は性的に搾取されるためにあるわけじゃない。ブスだから、もう若くないからとなぜ脅かされなければならないのか。女が女の身体で生まれてきたことで起こることと主人公たちは戦っている。それは私が私を取り戻すための孤独な戦いだ。前作『くもをさがす』は乳がんの宣告を受けた著者の闘病記だった。身体は自分や自分の生きる世界を深く知るための扉だという確信が、彼女たちの背中を押す。受け入れなくていい、NOを突きつけろと鼓舞されるエンパワメントな短編集。

黒い激情に突き動かされる、ひとりの少女に惹き込まれる。

『甘くない湖水』

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ジュリア・カミニート著越前貴美子訳早川書房刊¥2,750

どんな境遇で生まれるのかを人は選ぶことができない。湖畔の貧しい家庭に育ったガイアは、厳格な母親によって何度もそれを思い知らされる。事故で両足を切断した父親に代わり、掃除婦として働き、4人の子どもを育てた母親は自分の正しさを決して譲らない。ガイアの心の中にはいつしか黒い蛇が巣くうようになる。彼女を内側から苛む感情から目をそらさず追い続けたことで、ひとりの少女の成長の物語は唯一無二の輝きを放つ。イタリアの名だたる文学賞を受賞した傑作長編。

ソフィア・コッポラの世界観を、網羅した初のアートブック。

『ARCHIVE』

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ソフィア・コッポラ著MACK刊¥13,200

ソフィア・コッポラ初のアートブックとして刊行された本書は、長編監督デビュー作の『ヴァージン・スーサイズ』から最新作『プリシラ』まで彼女が手がけてきた8作品を自ら解説し、舞台裏まで公開してみせた愛蔵版といえる一冊。ガーリーカルチャーを牽引したあの美しくドリーミーな世界観の源泉は何か。初期の草稿から制作過程、影響を受けたものをコラージュ。未公開写真や注釈を書き入れた脚本など貴重な資料も惜しげなく収録した488ページはお宝となること間違いなし。

 

*「フィガロジャポン」2024年2月号より抜粋

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