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30代特有【生きづらさ】の“ダブルパンチ”とは?嘆くばかりでなく自ら行動が必要なワケ

  • 2024.1.21
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30代女性に起こりやすい「心の変化」とは
30代女性に起こりやすい「心の変化」とは

30代の女性は「心の変化」が起こりやすいと言われています。その変化が、つらい、生きづらいといった思いに結びつくこともあります。どのようなことが原因で、どのような変化が表れるのでしょうか? その対処法と併せて、臨床心理士・公認心理師の甘中亜耶さんが解説します。

女性30代、「心の変化」が訪れやすいワケ

30代女性は心の変化が訪れやすいと言われています。

精神医学には、エンゲル, G. L.が提唱した「生物・社会・心理モデル(Bio-Psycho-Social model)」という医学観があります。これは、メンタルヘルスは「生物的側面(医学的要因)」「社会的側面」「心理的側面」がお互いに影響し合ったものという考え方です。

今回はこの考え方を踏まえて、30代女性には生活環境(社会的側面)、身体(生物的側面)という「二つの観点」でどんなことが起こるかを整理し、心への影響を考えていきます。今の自分自身を理解するヒントやこの先の心の準備につながればと思います。

「生活環境」による心の変化とは

30代になるといろいろなライフイベントが起こります。代表的なものは以下の通りです。

・結婚・出産、子育て・昇進

結婚や出産に関しては意識の多様化が進んでおり、「結婚をしない」という選択肢を採る人も珍しくありません。ただ厚労省の統計調査では、出産や結婚は20代後半~30代半ばに多いことが明らかになっています(参考:厚生労働省「2022(令和4)年 人口動態統計(確定数)の概況」)

結婚すると、パートナーとの暮らしの中で生活習慣や考え方に変化が起きやすいと言われています。精神的に安心感を持てるなどプラスの影響を与えることもありますが、素の状態の相手と暮らしをともにする中でときに我慢を強いられるケースもあります。

さらに、子どもができると生活は激変します。子どもの成長は、楽しさや感動がある一方で、思うようにならないことや不安なことも多く、心身ともに大きな負担が掛かります。そして、子どもを中心に時間やお金を割くようになるので、自分の優先度が下がりがちです。

また仕事では、昇進が多い時期です。裁量が大きくなりやりがいを感じる一方で、部下が増えて責任やプレッシャーが掛かります。また、子どもがいる場合は産休・育休や急な休みなどで周囲へ気を遣う場面が増えると考えられます。

このような生活環境の変化があることから、20代に比べて30代は、パートナー、子ども、職場など、より他者のことを考えて生活することを迫られます。喜ばしいライフイベントが多い一方で、ストレスも掛かりやすい時期と言えるでしょう。

そして、仕事や家庭での役割が増えると、趣味に没頭したり友達と遊んだりする時間が減ってしまいます。ストレスを発散しようと思っても、なかなか時間が作れないことがあると考えられます。

「身体」による心の変化とは

「身体」による心の変化とは?
「身体」による心の変化とは?

加えて、30代になると多くの人が身体の変化を感じるようになります。

女性ホルモンの分泌量は25歳頃をピークに、40代後半まで緩やかに減少していきます。このうち、ホルモンが減る時期のことを「若年性更年期」と呼ぶこともあります。ホルモンバランスが揺らぐことで、以下のような症状が表れることがあるのでチェックしておきましょう。

【身体面】・顔がほてる・頭痛、目まい、吐き気・息切れ、動悸(どうき)がする

【精神面】・イライラしやすい・気分が落ち込む

併せて、20代と比べると疲れやすさや腰痛などの不調を感じやすくなります。「これくらい大丈夫」と思って放っておく人もいますが、身体の不調があると日常生活が億劫(おっくう)になってしまいます。そして何よりも悪化してしまうと大変。不調があれば病院を受診して、健康診断は必ず受けるようにしましょう。

安定した心で30代を過ごすために

「生物・社会・心理モデル」において、人のメンタルヘルスは、これまでに解説した内容をどのような心理状態(価値観、ストレス耐性など)で体験するかによって左右されると考えられます。

安定した心で30代を過ごすには、身体、生活環境、心それぞれを整えていくことが大切です。その方法について一例を紹介します。

【身体】・睡眠時間をしっかりと確保する・バランスの良い食事を取る・健康診断に行く

【生活環境】・家事はパートナーと分担する・仕事の業務量を調整してもらう・家族、仕事と離れる時間を設ける

【心】・ストレスを発散する時間を作る・怒りや悲しみなどのネガティブな感情を押し殺さない・人に相談する

総じて「自分をいたわる」ことが大切です。月並みな言葉ですが、あらためて自分自身を振り返ってみましょう。

専門機関に頼ることも考えて

専門機関に頼ることも視野に
専門機関に頼ることも視野に

自分では解消できない問題を抱えたときには、病院や自治体の相談窓口など専門機関に相談することも一つの方法です。家事や育児については、家事代行やベビーシッターという選択肢があることを知っておきましょう。

30代は、身体や生活環境の影響を受けてストレスを抱えやすい時期です。家庭でも仕事でも役割が増えて大変ですが、自分を労う時間を意識的に作ることで、安定した心に近づけるでしょう。

参考:日本トレンドリサーチ『【出産後の変化】39.6%が、初めて子供が産まれてから「夫婦関係に変化があった」』

(甘中亜耶)

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