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【おすすめ映画】命を懸けた北朝鮮からの脱出を捉えたドキュメンタリー『ビヨンド・ユートピア 脱北』 1/12公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.1.19
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映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、1月12日(金)公開の『ビヨンド・ユートピア 脱北』。サンダンス映画祭USドキュメンタリー部門で観客賞を受賞し、オスカー最有力と言われる傑作ドキュメンタリー。5人の家族が移動距離1万2千キロ、4つの国境を越え、50人のブローカーが協力し、脱北する様を捉えたリアルスリラー。


隠しカメラや携帯電話により、脱北の全行程を撮影

壮絶なドキュメンタリーを発見! しかもこれは観ておいた方がいい! 世界を知る、いや今の日本の状況や世界情勢を知る映画。それは未だベールに包まれた北朝鮮の状況を肌で感じながら、北朝鮮とその他の国との関係も垣間見られ、脱北を試みる家族の姿や、それに関わる人々、更には北朝鮮に残した息子を脱北させたい脱北者の女性の状況を捉えたドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』です。

北朝鮮、なかなか足を踏み入れることが出来ない国であり、日常的にミサイルがこちらに向かって飛んでくる国。幼い子供たちも驚くほどピッタリと息を合わせたマス・ゲームを披露し、軍事パレードが開催されるあの国。その支配的教育から逃れるには死と背中合わせの脱北しかない。それでも脱北者は後を立たず、今も多くの人が試みる生死を賭けた長い旅。今までも北朝鮮強制収容所での日々を告発した人の半生を3Dアニメで映画化した『トゥルーノース』などがあったけれど、まさか脱北中に立ち会う映像を見られるとは!!

しかも脱北するのは簡単ではなく、多くのブローカーの手助けにより成り立つのだけれど、隣接する韓国へすぐ渡れることはなく、様々な国を経て、悪徳ブローカーに騙されないよう注意を払い、密告者に見つからないよう身を潜め、ジャングルの中を彷徨い、大きな川を息を潜めて渡るんです。見つかれば強制送還され、死にも繋がる虐待などを受けるそう。 この撮影に成功したのは、韓国の監督ではなく、マドレーヌ・ギャヴィン監督率いるアメリカ人クルーと手助けした人々の力によるもの。しかもコンゴで性暴力を受けた女性たちを保護する為に設立された団体「シティ・オブ・ジョイ」の活動をカメラで捉えたNetflixドキュメンタリー『シティ・オブ・ジョイ〜世界を変える真実の声〜』の監督です。彼女たちが脱北中の家族と会い、脱北の様子をカメラで撮っているんですが、途中、インタビューでカメラを向けられた祖母と娘とのやりとりは、洗脳の恐ろしさと最高指導者・金正恩を讃えなければ罰せられる恐怖政治の一端を垣間見る瞬間でした。もちろん言葉(インタビュー映像)だけではなく、脱北中の苦労もリアルに見られてしまう貴重な映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』。ひとつの国の恐怖ではなく、この国が世界に圧力をかける意味や、暴走したら何が起こるかに気づくこと、それだけではなく難民や移民に対して私たちが簡単に否定してはいけないことを痛感する、今、観るべきドキュメンタリーです。
——伊藤さとり

☑1月12日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開 『ビヨンド・ユートピア 脱北』

【あらすじ】韓国で脱北者を支援するキム・ソンウン牧師の携帯電話には、日々何件もの連絡が入る。これまでに1000人以上の脱北者を手助けしてきた彼が直面する緊急のミッションは、北朝鮮から中国へ渡り、山間部で路頭に迷うロ一家の脱北だ。幼い子ども2人と80代の老婆を含めた5人もの人たちを一度に脱北させることはとてつもない危険と困難を伴う。キム牧師の指揮の下、各地に身を潜める50人ものブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す決死の脱出作戦が行われる――。 2023/アメリカ/115分
監督:マドレーヌ・ギャヴィン『シティ・オブ・ジョイ~世界を変える真実の声~』
製作:ジャナ・エデルバウム『大いなる遺産』、レイチェル・コーエン『ダンシング・ハバナ』、スー・ミ・テリー(元CIA) 配給:トランスフォーマー
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