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月の光で服が色あせするってホント? お気に入りの服を色あせさせないための注意点は...

  • 2024.1.19
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太陽と同様、月も服の色を脱色させる力を持つという説がある。それはウソ? ホント?宇宙物理学者のファビエンヌ・キャゾリがその謎を解き明かす。

太陽の光は服に有害なのは知られているが、では月はどうなのだろう? photography: SOPA Images/LightRocket via Getty Images

天気が良ければ、バルコニーや庭に干す洗濯物。服を乾かすために、太陽の熱は乾燥機よりも環境に良い選択だ。しかし、紫外線で服が色あせしてしまったり、時間とともにくすませてしまったりもする。

では月の影響はどうなのだろう?ネット上での意見はさまざま。いまこそハッキリさせておこう。月は洋服の色あせに直接的な影響はない。しかし、いくつかの化学的な点は考慮しなければならないようだ。

問題は朝露。

夜、月が空を照らすと、空気は涼しくなる。満月の時にさらに増える湿気は、服にダメージを与える。そのため服の寿命を縮ませる。朝露こそが生地の色あせの主な原因なのだ。

「色あせの原因は月というよりは、朝露のせい。夜の方が温度は下がるので露も増える可能性があります」と宇宙物理学者でありパリPSL天文台長のファビエンヌ・キャゾリは説明する。

朝露には過酸化水素が豊富に含まれている。水より少し粘り気がある液体で、代表的な漂白剤だ。排水処理や髪の毛のブリーチ剤に使われている。ということは、色あせをなるべく避けたいなら赤色のセーターを一晩中外に干しておくのはやめた方がいいということだ。

月は窓越しで生地に悪影響を及ぼすことはあるのか?

では室内にある服はどうだろう。洋服や小物を一晩窓辺に置いておいても大丈夫なのだろうか?太陽の光は窓越しでも"攻撃"してくることを思うと、当然の疑問だ。

「窓ガラスはUV-B(日焼けの原因となり、そのほかの紫外線も含めた日の当たり過ぎに警告を発してくれるという意味で役に立つ)は遮断するが、UV-Aや可視光線は通す」とウエスト・フランス紙の記事に記載されている。UV-Aは皮膚の奥まで届き、肌の老化を促進する紫外線だ。UV-Bと違ってUV-Aは窓ガラスに遮断されない。そのため、室内でも洋服はダメージを受ける可能性がある。

その点、月に関しては心配ご無用。地球の唯一の衛星は、太陽の光を7%しか反射していない。「入射する太陽光に対して、反射する光の割合をアルベドと言います」とパリ地球物理研究所(IPGP)の研究員であり、月の地質学が専門のフレデリック・モアニエは説明する。

「月の表面は平均的には炭のような暗さなので、そのアルベドはとても低いのです。ですから服の色あせを起こすほどの力があるとは到底思えません」

月に当たった太陽光が地球に反射される量はとても低い。ということは月の明かりのせいで服が色あせる確率もしかり。それでも「試してみたい人はぜひ実験してみてください」とファビエンヌ・キャゾリはユーモアたっぷりに締めくくった。

 

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