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日本と戦うイラク代表。たぶん誰も知らない「謎すぎるユニフォームのハナシ」

  • 2024.1.19
日本と戦うイラク代表。たぶん誰も知らない「謎すぎるユニフォームのハナシ」
日本と戦うイラク代表。たぶん誰も知らない「謎すぎるユニフォームのハナシ」

Text by 立野敦史(Qoly LFB Vintage)

日本代表が19日にアジアカップのグループステージで対戦するイラク代表。

ここでは、そのイラクのユニフォームにまつわるトリビアをご紹介しよう。

その前に、今大会でイラクが着るユニフォームはこの2着だ。

緑がホームユニフォームで、白がアウェイユニフォーム。イラクサッカー協会は昨年末にadidasと契約し、1月から同ブランドのキットを使用している。

いち早く黒ユニを着ていた

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イラク代表 2000 アウェイ ユニフォーム(自社ブランド製)

今では当たり前のようにキットカラーとして使われる黒。かつてはレフェリージャージの色だった黒がサッカーのユニフォームに使われ始めたのは1990年代終盤からだったが、イラクは2000年のユニフォームにいち早く取り入れている。

2000年のアジアカップ(レバノン大会)では黒をアウェイユニフォームに採用。タスキのように配する国旗と胸の「IRAQ」が強烈なインパクトを放っていた。黒は国旗の色で「過去の抑圧」を意味するとされる。

ファッションブランドがサプライヤーだった

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イラク代表 2004 Jack & Jones ホーム ユニフォーム

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イラクのサプライヤー遍歴はわりと派手なもの。adidas、Jako、Umbroとは結婚と離婚を繰り返し、その合間にGivova(イタリア)やPeak(中国)などのローカルなブランドとも関係を持っていた。

そんな歴代サプライヤーで異彩を放つ存在が、2004モデルを担当したJack & Jones(ジャック&ジョーンズ)。デンマークのファッションブランドである。

イラクのサプライヤーとなった理由は不明だが、2004年は五輪イヤーで宣伝効果も期待できただろう。イラクはこのブランドのユニフォームを着てアテネ五輪を戦った。フセイン政権崩壊(2003年)の後というタイミングもプラスだったのかもしれない。

ちなみにJack & Jonesがサッカー界に足を踏み入れたのは、このユニフォームの時だけのようだ。

最高レベルの美しさを誇るユニが存在する

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イラク代表 2021 Umbro ホーム ユニフォーム

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イラクは2021年にUmbroと再々婚。3度目のパートナーシップを締結している。その最初のユニフォームはパッとしないものだったが、次に出てきたこのユニフォームは、その美しさに世界中のマニアックなユニフォームファンが驚嘆した。

緑を基調とした中に、イラクの象徴とも言える椰子の葉(バビロン・パーム)のグラフィックを落とし込む。このデザインは、世界4大文明のひとつでイラクが発祥の地である「古代メソポタミア文明」に触発されたものだった。

背面首元にはアラビア文字最古の書法である“クーフィー体”で国名をレタリングし、独特な雰囲気を醸し出す。2021モデルはアウェイとサードも同様のテーマを持つ美グラフィックなデザインだった。

謎のキットカラーが存在する

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イラク代表 1986 adidas メキシコW杯 アウェイ ユニフォーム

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アルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナが「神の手」と「5人抜きゴール」で魅せた1986年メキシコワールドカップ。この大会でイラクはW杯初出場を飾った。が、その記念すべきW杯で着たユニフォームの色が、いまだに謎と言われている。

イラクといえば常に緑と白。2000年代以降は黒も使うが圧倒的に少数派だ。そんなイラクがこの大会では、なんとホームに黄、アウェイに青を採用した。

この色について公式には語られていないが、一説には独裁政治で知られた大統領サダム・フセイン(サッダーム・フセイン)が、ブラジルの強さにあやかって同じ色を使えと命じたという噂話がある。

だが、真の理由は別に存在するようだ。

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このエンブレムは、かつてイラクに存在したアル・ラシードSCというクラブチームのもの。ご覧の通りエンブレムカラーは黄と青である。そして1986年大会のメンバー22名中8名が、このクラブの所属選手だった。他のクラブからの選出がせいぜい3~4名であることを考えると明らかに多い。

実はこのクラブの創設者は、サダム・フセインの長男であるウダイ・フセインだ。サッカー選手への拷問でも知られる悪名高き人物で、当時はイラク・オリンピック委員会会長も務めていた権力者である。

記念すべき初のW杯には、ウダイがその影響力を行使して自らが創設者であるクラブの選手を大量に送り込み、さらにクラブの色をキットカラーに採用させた。真相は闇の中だが、そう見ることも出来るのだ。

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