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【吉田羊さんの着物と12のアソビゴコロ】 第6回 柄でアソブ

  • 2024.1.18

アンティーク着物を愛する吉田羊さんが、四季折々に着物のおしゃれを楽しむ様子を撮り尽くしたフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)を発売。その至極の着こなしの数々から、「着物で遊ぶ」をテーマに切り取ったアソビゴコロあふれる着物語りを12か月にわたって綴っていきます。第6回で遊ぶのは「柄」。

こんにちは、吉田羊です。
着物スタイルだからこその「アソビゴコロ」をお伝えする連載です。
新しい年になりましたね。年初めといえば着物を着る絶好の機会。
「わたしも着たよ!」という方が一人でも増えたらうれしいなと思います。
出演しているNHKの大河ドラマ『光る君へ』でも、
着物の色合わせや柄合わせがたくさん見られると思うので、楽しみになさってください。
さてさて、今回のテーマは「柄」。
洋服だと「難しい」と思いがちな柄物も、着物なら躊躇なく楽しめます!

どんな大胆な柄でも、品よくまとめる着物の力。

季節の花鳥風月はもちろん、幾何学柄、さまざまなイベントモチーフの柄、身頃や袖など全てのパーツを使って絵を描いたものなど、多種多様な着物の柄。その昔、着物が普段着だった頃は、それはそれは街が華やかだったことでしょう。そして、どんなに色や柄で遊んでも、品よく見せてくれるのも着物のよさ。シルエットの規則性と着付けにかける時間の厚みが、装いに品格をプラスしてくれるんです。

柄の形を「見立てて」楽しむコーディネート。

こちらは珍しいパズルのピース柄の着物。白い丸が雪の玉にも見えるってことで、雪の日に着たくて求めたお着物です。季節は問わずなので通年着られるお着物。春先にも着られるピンク色の花模様がところどころに入っています。

この日は雪つながりで帯留めも雪の結晶がモチーフのものを選んで。帯は野菊をぎっしり集めた「雪輪」という柄。足もとが悪いので、靴はブーツにしました。パズルのピース柄にはバラバラのものを一つにするという意味もあるとか。一致団結の願いを込めたい席にもいいかも。

アートを身につける気持ちで着物を。

ロートレックの絵を思わせる着物。パリのバーで思い思いに楽しむ紳士淑女が描かれていて、エスプリが効いています。気分はパリジェンヌとばかりに、細部まで意識してコーディネート。着物の柄の色から、帽子、手袋、中に着たタートルネックニットを深いグリーンに統一。帯、バッグ、ブーツは柿色、茶、オレンジでまとめました。手もとに持ったクラッチバッグはヴィンテージショップで購入したGUCCIのリメイクもの。

街並みからインスピレーションを得る柄選びも楽しい。

ユニークなシャッターのある街並みをぶらり歩く日。「あのシャッターの絵柄に合わせるならどんな着物?」という発想で、着物を選んでみました。その絵柄にある色から、全体を茶、ベージュ、黒を基調にまとめて。着物はエキゾチックな雰囲気のある柄に。手元は皮で編まれたバッグでイメージを統一しました。耳もとのピアスも、着物の柄の形に似ているでしょ?

タッチの違う絵柄なら柄オン柄もOK。

「芸術の秋」をテーマに考えたコーディネート。線画と油彩画、タッチの違う絵を組み合わせました。一方はモノクロで平面的、一方はカラフルで立体的な絵柄なので合わせてもしっくり。線画の着物は葉っぱ、油彩画調の帯にはブドウや栗、リンゴなど秋のフルーツが描かれています。耳もとの黒のボールイヤリングもブドウっぽい?と思って合わせました。帯の絵柄が洋画なので、インナーのブラウスやバッグ、ブーツで洋風の要素をプラスして、粋にいつもの立ち飲みへ。

洋服だと躊躇してしまいがちな柄on柄も、着物だと不思議と挑戦できるもの。着物ってそれだけで非日常のイメージがあるから、思いっきり冒険できるのかもしれません。形のある柄には自ずと意味が生まれます。着物と帯の柄に、その日の気持ちや遊び心をのせて組み合わせるのも面白いもの。例えば薔薇柄=愛+古典柄=普遍的。その心は「変わらぬ愛」、みたいに。

 

キモノ語り:Yoh Yoshida edit & text:Masaki Takeda(mineO-sha)
photograph:Emiko Tennichi、Kayoco Asai、Yuki Kosuge & Koji Fujii
※人物カットはフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)から
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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