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特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」が開催中― 「空を飛ぶこと」に挑んだ夢のかけらを観に行きませんか?

  • 2016.1.29
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世界中でその名が知られているレオナルド・ダ・ヴィンチ。画家であり、発明家であり、建築家、研究者・・・その多岐に渡る才能の数々は幾度となく展覧会で披露されています。 天才が挑んだ「空を飛ぶこと」、「見えない世界を描くこと」。 その一端に触れたくて、両国・江戸東京博物館で開催中の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」へ行ってきました。

美少年レオナルドはどんな顔をしていたのか?

レオナルド・ダ・ヴィンチというと、たいていの人は髭がモジャモジャと生えた老人の姿を思い浮かべるのではないでしょうか。でも、それは晩年の姿。若いころのレオナルドは美少年で有名でした。

展覧会のスタートは、そんなレオナルド自身の容姿と生涯にフォーカスを当てます。

“自画像を描く人は本人も優美さをもっているもの”という考えを持つレオナルドは、身だしなみにも気をつけていたよう。絵や彫刻のモデルもつとめていました。

そんなレオナルドはどんな人物だったのでしょうか?書籍の挿絵や版画からひも解いていきます。

鳥のように空を飛びたいという夢

レオナルドの生きた16世紀には、「人間が空を飛ぶ」なんてことは思いつきもしない時代でした。レオナルドはそんな常識を破ろうとします。

この展覧会の目玉のひとつ『鳥の飛翔に関する手稿』には、膨大な量の鳥の飛翔の観察記録や、解剖学・建築・水力学などの分析がまとめられています。それは、バードウォッチングという類のものではなく、いかに翼を動かすと高く上昇できるのか、墜落しないにはどうしたらいいのか、といったことが記された、人工の鳥(=飛行機)の構造と操縦法の研究でした。

“人間が空を飛べるはずがない”というのが常識だった時代に、人間が飛ぶ夢を描いた。その常識の壁を壊した瞬間と言われているのが、この手稿です。

手稿(ファクシミリ版)は見開きごとに解説付きで壁沿いに配置され、また、手帳自体も展示されているので、間近でじっくりと眺めることができます。

目に見えるものを越えたものを描く

展覧会のもうひとつの目玉が貴重な東洋初の出展となる《糸巻きの聖母》という作品です。

聖母マリアと糸巻き棒を持った幼子イエスを描いたもので、背景には地質学研究もしていたレオナルドらしい、生命を持ったかのような岩が描かれています。

近年の科学調査では、レオナルド自身が人物の顔や糸巻き棒の位置などを消して描き直した跡も見られ、背後にはかつて歩行器もあったことが判明しました。

作品をじっと見つめると、ヴェラトゥーラ(薄い塗り重ね)というテクニックと、《モナ・リザ》に通じるスフマート(ぼかし)という繊細な技法が生かされており、そのなめらかさは、まるで肌が発光しているかのような美しさ。

また、レオナルドは目には見えない心の動きや感情といったものを、手の動きで表現しようと熱心に研究しました。“見えるものを越えたもの、精神的なものを描く”。レオナルドの目指した世界がこの小さな絵画に詰まっているのかもしれません。

発明家レオナルドの不思議な装置たち

レオナルドは軍事技術の開発や、都市計画の構想にも熱心でした。そういった研究や考察を元に、図面や模型を制作しています。

展示の最後には、レオナルドの図面に基づいて再現された、模型の展示もされています。凡人には到底理解のできないレオナルドの発想力には驚かされるばかりです。

レオナルド人形もお出迎えのおみやげショップ

最近の展覧会はオリジナルグッズの豊富さが魅力です。今回も会場限定のグッズがよりどりみどり。

『鳥の飛翔に関する手稿』や素描《花の研究》をモチーフとした折り紙には、レオナルド独特の鏡文字やスケッチがデザインされています。

会場である両国・江戸東京博物館にちなんだ、そばちょこや手ぬぐい、瓦せんべいなどもあり、工夫が凝らされたアイテムの数々に思わずくすりと笑ってしまいます。 最初から最後まで気を抜くところがなく楽しめるこの特別展。天才レオナルドが抱いた壮大な夢のかけらを少しだけ拾えるかもしれません。

ぜひ会場へ足を運んでみてくださいね。

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