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「異動の可能性もありますが」に「問題ありません、どこでも行きます」はNG…面接官をうならせる"神回答"

  • 2024.1.15

転職の面接では、答えにくい質問をされることもある。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「答えにくい質問は、面接官の狙いを読んで対応することが重要。その質問を通じて面接官が何を知りたいと考えているのかを推測し、実直かつ前向きに回答するといい」という――。(第4回/全6回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

面接で握手をかわすビジネスマン
※写真はイメージです
内定を出したら、間違いなく入社していただけますか?

【面接官が知りたいのはココ!】
嘘はいらない。本音ではどう?
どんな条件をクリアすると、入社確定となる?

第1志望であれば、「はい、喜んで入社させて頂きます!」で終了です。

問題は、他に志望度の高い企業に応募しているケースです。

転職活動で苦戦中だと、「とにかく内定が欲しい。手段を選んでいる場合ではない」とばかり、第1志望は別の企業なのに「御社が第1志望ですから入社します」と答える人がいますが、絶対にNGです。

ここは、今の心境をプラス方向で実直に語ってください。

実直と言っても、「最終的には労働条件を比較して決めます。御社からの条件提示がどの程度かによります」といった愚直すぎる回答はNGなのは言わずもがなです。この企業に多少なりとも興味があるから面接に臨んでいるわけで、表現の工夫が必要になります。

たとえば、「今、ここで入社しますと即答はできませんが、私が培ってきたスキルを活かして、御社で○○分野の発展に貢献したい気持ちが強くあることは間違いありません」と、今の心境をプラス方向で語ることで、即答できない負い目を、大人の表現力でフォローすればいいわけです。

たとえばこういう人の場合

37歳女性。大卒後、証券会社3社でリテール営業職として勤務。4社目の転職で異業種(クレジット会社)・同職種(リテール営業職)への応募。

NG!

「仮定の話になりますので、内定を頂きましたら真摯しんしに考えたいと思います」

↑面接官は、必要があって聞いているのですから、はぐらかすのはやめましょう。

OK!

「正直に申し上げて、今の時点で間違いなく御社に入社するとは申し上げられません。もちろん内定を頂ければ、大変光栄です。
しかし不況やDXの影響もあって、今まで不本意な形で退職を余儀なくされ、結果として転職回数が多くなってしまったことを悔いております。次こそじっくりと根を下ろして働きたい、特に前職は短期間で退職になりましたので、次の進路選びを納得できるまでしっかりやりたいというのが、私の強い想いです。
わがままを申すようですが、どうかご理解を頂ければと思っております。
御社の場合、通常は内定通知後2週間以内に返答する旨、転職エージェントより伺っていますので、もし正式に内定を頂けましたら、期間内に精一杯悩み抜いて、悔いのない結論を出したいと思っております」

↑表現をこねくり回すよりも、一貫して実直に語る方が、潔くて面接官も納得してくれる可能性が高くなります。

将来、他部門への異動の可能性もありますが、問題ありませんか?

【面接官が知りたいのはココ!】
偏った回答をする人ではないよね?
改めて当社への入社意欲を聞きたい

ミドルの場合、職種限定採用が多いのですが、将来的に異動の可能性もあるので、会社の意向を受け入れる柔軟性があるかを、面接官はチェックしたいと思っています。

言うまでもなく「そのような異動はお受けできません」はNG。

受け入れるのは前提としても、「はい、問題ありません、どこでも行きます!」は浅はかで軽すぎます。「今までのキャリアにプライドがないのか?」という話になります。

ここは、問題ない旨を伝えた後に、問題がないことを証明するための自身の心境や覚悟等を説明する必要があります。

たとえば「この先はますますグローバル化が進み、経営環境が激変するでしょうから、会社もそれに合わせて柔軟に対応しなければ生き残れない時代だと思います。必要とあれば、どこでも働く所存です」といった具合です。

また、ここは求人企業への入社意欲を語るチャンスでもあります。「御社で働きたいという気持ちが強いので、本職とは別であっても、他部門で必要とされるのであれば本望です。しかし、まずは本職で成果を上げることが先決だと考えています」といった感じです。

たとえばこういう人の場合

41歳男性、大卒。これまで新卒入社した会社1社に勤務。今回は2社目の転職で同業種・同職種への応募。

NG!

「もういい年ですので、新天地で経験が薄い仕事に就くのは率直に申し上げて不安がありますが、そこで頑張るしかないと思います」

↑本音でしょうが、面接官が不安になるような回答は控えましょう。

OK!

「はい、問題ありません。事業会社で働く以上、どこでも何でもやる覚悟でおります。私の先輩や友人も、自分のキャリアとは違う部門に行ったり、子会社に出向する等、入社当時と働く場所が変わっていますし、組織を回していく以上このような異動は当然と考えます。
ただ、せっかく長年お世話になった職場を辞めて転職するのですから、後悔はしたくありません。希望する御社に入社が叶いましたら、まずは即戦力として期待されている以上の結果を出さないとと、意気込んでおります。その後に、組織最適化の観点から、私が役立てる部門が別にあるのでしたら、その異動を甘んじてお受けしたいと思います」

↑「問題ない」と伝えた後に、周りの状況や会社組織での役割などを語ることで、このような異動をごく一般的な話と捉えている旨を伝えるのは最善と言えます。これに加えて、入社への希望や先の見通しに触れておくことで、入社意欲も伝わることでしょう。

六角形のピースでイメージされたビジネスパーソン
※写真はイメージです
当社が求める資格を、お持ちでないようですが?

【面接官が知りたいのはココ!】
開き直ったり、ツベコベ言い訳するのはやめてね
現状を踏まえた上で、どう向き合っていくのか、聞かせてほしい

資格がないのは事実ですから、「言い訳をせず、指摘を潔く受け入れる姿勢を感じたい」と、面接官は思っています。

中谷充宏『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

取得できていない理由をこねくり回すのは最悪です。「資格はなくてもこの仕事はできますし、有資格者であっても経験がなければ実務はできません」等と、有資格者を蔑むような回答は厳に慎むべきです。

素直に受け入れるといっても「はい、持っていません」だけでは当然、不十分です。

過去にどういった取り組みをしたか、いま保有していないことをどう捉えているかをきちんと説明した上で、今後、取得に向けてどう進めていくのかを伝えないといけません。

将来のことは何とでも言えますから、「今年8月には取得予定です」と高らかに宣言してもかまいません(後述しますが、「勇み足」はNGです)。

しかし、取得に向けて具体的にどう行動しているのかを説明しないと、「軽口を叩く人」と見なされて終わりでしょう。脚色することなく、実直に現況を語ってほしいと面接官は思っています。

たとえばこういう人の場合

39歳男性、大卒後、新卒入社した人材紹介会社1社に勤務。今回は2社目の転職で同業種・同職種への応募。

NG!

「今までの職務遂行上、この資格の必要性を感じたことはありませんが、御社で必要ならば取得を前向きに検討したいと思います」

↑言い訳がましく、潔さを感じない発言は、低評価につながりかねません。

OK!

「仰る通りで、御社が求めるキャリアコンサルタント資格を取得しておりません。
私は以前から転職支援や職業相談業務に従事しており、この資格がなくても業務遂行上特に支障がなかったのが、取得しなかった最大の理由です。
ただし、今や業務経験の豊富さだけでは足りず、官庁や企業などの再就職支援事業等の入札や提案営業時にも、有資格者の数が一定数を満たさないと見積もりにすら参加できないと聞きます。
この業界でやっていく以上、この資格は必要だと、今回の御社の応募でも改めて認識いたしました。遅ればせながら、今パンフを取り寄せて通学先を検討している最中です」

↑取得しなかった理由をわかりやすく述べ、取得する方向に持っていく構成がベストです。

まだ検討中なのに、「講座に申し込んだ」、「来週から通う」と勇み足にならないようにしてください。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士
同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)勤務後、1社転職を経て2004年にキャリアカウンセラーとして独立。マンツーマンで依頼者の転職を支援する「就職&転職のパーソナルキャリアコーチ」。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績がある。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知。 著書に『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』、『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』『20代~30代前半のための転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)等多数。M&Nコンサルティング

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