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松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

  • 2024.1.15

山陰地方の冬の名物と言えば蟹料理。星野リゾートの温泉旅館【界 出雲】では、季節の会席料理の他に、ズワイガニ漁の解禁に合わせ2024年3月7日まで、山陰の「松葉蟹」を堪能する冬の特別会席「八雲立つ蟹会席(タグ付き活松葉蟹)」と「ひとり蟹会席」を用意。今回は「八雲立つ蟹会席」に加え、地元の味が楽しめる「ご当地朝食」と、出雲大社ガイド付きツアーに申し込んだ人に提供する「神饌朝食」も紹介します。

松葉蟹を多彩な味で楽しむ蟹会席

日本神話に登場する神様スサノオが、出雲に降り立った時に詠んだ日本最初の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」にちなむ冬の特別会席「八雲立つ蟹会席」。様々な調理方法を駆使して、多彩な味を楽しめる松葉蟹づくしのコースです。

はじめの一品は、宿のすぐそばに立つ「出雲日御碕(ひのさき)灯台」をイメージした「蟹の灯台盛り」です。蟹の身は取りほぐされているので食べやすく、松葉蟹の上品な味と甘味を堪能。付け合わせにはキャビアやウニ、蟹味噌を贅沢に用意するほか、すだちも添えられます。さらにつけだれは「橙酢(だいだいす)醤油」と「煎り酒」で、タグ付きの活松葉蟹を様々な味で楽しめます。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲最初に登場するのは、まさにメイン料理とも言える「松葉蟹の灯台盛り」

「松葉蟹の灯台盛り」には、食べ方の説明書もついます。まずは蟹そのものを堪能します。次は蟹を煎り酒や橙酢醤油につけ、次に雲丹やキャビア、蟹味噌などを試してから、それらを様々組み合わせて多彩な味を楽しみます。軽やかな橙酢醤油は甘味もあって蟹の風味も損なわず、すだちを絞ると爽やかな酸味も広がりました。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲「松葉蟹の灯台盛り」の、蟹とキャビアの組み合わせ

日本酒発祥の地とも言われる島根県。「八雲立つ蟹会席」をオーダーした人が注文できる日本酒のペアリングは、料理に合わせた地酒が5種類選ばれます。松葉蟹の灯台盛りには松江の酒店「酒屋の宇山」と山深い邑南町にある池月酒造がコラボした「神凪(かんなぎ)のしずく」をチョイス。2020年から本格的に作付けされている島根県独自の酒米「縁の舞(えにしのまい)」を、超軟水で仕込んだ純米吟醸です。ふくよかな旨味と軽やかな味わいは、多彩な味でいただく灯台盛りとも相性がよかったです。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲松葉蟹の灯台盛りにペアリングした「神凪のしずく」。ラベルに赤く “縁結” とあるのも出雲大社のある土地柄です

次に運ばれた煮物椀は「蟹真薯」。蟹の繊細さを損なわないよう、ふんわり柔らかい口あたりで、うぐいす菜と柚子が添えられます。優しい味わいの出汁とともに、蟹の甘味や香りを楽しめました。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲「蟹真薯 花人参 柚子」には吉田酒造の「月山 特別純米 出雲」をペアリング

「松葉蟹湯引き刺し 旬のお造り取り合わせ」は、打ち出の小槌や鯛など開運の絵柄の重ね器で運ばれ、上段には湯引きした蟹の刺身、下段は近海で獲れたお造りが入ります。蟹の刺身にはエディブルフラワーが飾られ薬味代わりに一緒にいただきます。橙酢醬油のほか、天保年間に創業した地元のちょっと甘めな紅梅醤油で、美しい冬の味覚を満喫しました。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲お造りは「松葉蟹の湯引き刺し 旬のお造り盛りあわせ」

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲ツルりといただける湯引き刺しは、松葉蟹本来の風味と甘味を堪能しました

お造りに合わせたのは、地元出雲市にある富士酒造の純米酒「出雲富士」。山田錦ならではの軽やかでふくらみを感じられる辛口です。お造りの美味しさを引き立ててくれるお酒でした。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲「出雲富士」の純米酒

松葉蟹のメスの香箱蟹をグラタン仕立てにした一品。蟹の甲羅をかたどった器には、蟹のほぐし身や蟹味噌が盛られ、内子と外子に合わせ味噌を加え、チーズの風味で奥行きを出した濃厚な和風グラタンです。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲焼き物は「香箱蟹のグラタン仕立て」

肉料理は牛鍋です。島根和牛はレアでも美味しく、好みの火加減で食べられます。スープは肉の旨味がたっぷり。そこへ出雲市の海沿いにある十六島(うっぷるい)町で手摘みされる稀少な十六島海苔が入ります。奈良時代の8世紀に編纂された『出雲国風土記』に登場し、朝廷に献上された日本最古のブランド海苔。格別な鍋を満喫しました。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲千年の歴史を味わう「和牛と十六島海苔の小鍋」。奥出雲にある簸上清酒の純米吟醸「七冠馬 山廃仕込み」といただきました。

「松葉蟹と三つ葉の土鍋ご飯」は、出雲大社の大しめ縄を連想する特注の土鍋で炊かれます。ご飯が炊けると蒸した松葉蟹のほぐし身をたっぷり追加。蟹の旨味が凝縮した絶品のご飯です。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲出雲大社のしめ縄を思わせる土鍋

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▲松葉ガニのほぐし身はホクホクの美味しさ

土鍋ご飯と合わせたお酒は、山口県との県境に近い酒蔵「桑原酒場」の「扶桑鶴 純米吟醸」。酒米は島根県だけで生産される佐香錦で、清流日本一に輝いた高津川の伏流水で仕込まれます。お米の香りと穏やかな甘味、まろやかなコクと酸味で、主張しすぎない分、絶妙な味わいの炊き込みご飯によく馴染む美味しさです。

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▲古酒のような色づきの特徴的なお酒「扶桑鶴 純米吟醸」

デザートは、ブリオッシュに洋酒入りのシロップを染み込ませるフランスの伝統菓子サバランを思わせる一品。イチジクを練り込んだパウンドケーキに、ベリーを漬け込んだ島根県産ワイン「葡萄神話」をかけていただく「界 出雲」流サバランです。

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▲デザートは「葡萄神話といちじくのサバラン仕立て」

出雲大社にほど近い「島根ワイナリー」では、県内産の葡萄を使用。デザートのシロップは、アルコールを飛ばした「葡萄神話」のロゼワインに、ミックスベリーを漬け込みます。初めはそのまま飲んで味を確かめ、パウンドケーキにかけていただきます。

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▲ワイン入りシロップをかけてデザートが完成

山陰の冬の味覚「松葉蟹」。旬の松葉蟹を様々な調理法と多彩な味で満喫できる「八雲立つ蟹会席」。いつまでも想い出に残る夕食です。

出雲ならではの朝食

界 出雲では宿の「出雲大社ガイド付きツアー」に申し込んだ方に、神様に献上する「神饌(しんせん)」から着想を得た朝食を提供します。米・塩・水のほか、酒、餅、野菜、海草、魚、鶏、果物などを、三方のお膳にのせて運ばれます。よく見ると、お膳のつなぎ目が宿泊客に向けて置かれますが、これは神様が向こう側にいらっしゃるという考えのもと、神様に継ぎ目を見せないように置かれます。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲出雲大社に参拝する前に神様と同じ食事を摂ることで、ご縁増し増しの「神饌朝食」

神饌朝食を食べ終えると運ばれるのが、界 出雲の「ご当地朝食」。隠岐の島名産の海藻「あらめ」をはじめ、アナゴなど海の幸が入った「あらめ磯鍋」の和食膳です。この日の魚は赤魚の西京焼きで、ほんのり甘いお味噌の味わいに、出汁巻き玉子が添えられます。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲ご当地朝食「あらめ磯鍋」の和食膳

海藻の「あらめ」は、わかめよりも肉厚で食べ応え十分。煮穴子やサザエなどが入ったすき焼き風味で、溶き卵を流し入れて出来上がり。

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▲「あらめ磯鍋」

船形の器にのった練り物は、左から「赤天」、トビウオのすり身で作る松江名物「あご野焼き」、「厚焼き」。特に「赤天」は島根県浜田市のソウルフードで、魚のすり身に赤唐辛子を練り込んで、ピリ辛に仕上げます。

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲ご当地練りもの三種

お豆腐は神饌で用意されたお塩で食べるのもおすすめ。この日の塩は島根沖60キロの隠岐諸島にある中ノ島の海士町で、天日干しで手作りされたミネラル豊富な「海士乃塩」でした。

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▲神饌の塩でいただいたお豆腐

松葉蟹を贅沢に使った冬の味覚。【界 出雲】の会席ディナーと神様の朝食

▲しじみのお味噌汁は島根ならでは

旬の蟹料理を満喫する星野リゾートの温泉旅館【界 出雲】の蟹会席。歴史ある出雲の地ならではの美味しいお酒や古くから伝わる食材、そして神様に捧げられる朝食など、興味の尽きない料理が並びます。出雲の歴史に思いを馳せながら食べてみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:界 出雲 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiizumo/>

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