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『カラオケ行こ!』2024年の“初映画”はもう決めた?【ものかきSYOがスウィートガールに捧ぐ今月の推し映画】

  • 2024.1.13

sweet誌面で映画や小説・漫画を毎号紹介している物書き・SYOさんが今月の推し映画を紹介する連載【ものかきSYOがスウィートガールに捧ぐ今月の推し映画】

vol.11の2024年の1本目で紹介する映画は、2024年1月12日(金)より公開する『カラオケ行こ!』

スウィートガールの皆様、2024年の“初映画”はもうお済みでしょうか。「この映画のために取っておいた」方も多いのではなかろうか……と思っている、笑ってほっこりする1本を今回はご紹介。和山やまの人気漫画を綾野剛×齋藤潤の共演で実写映画化した『カラオケ行こ!』(1月12日公開)だ。

ある悩みを抱える中学生・聡実(齋藤潤)。合唱部部長の彼はある日「歌が絶対に上手くなりたい」ヤクザ・狂児(綾野剛)に目を付けられてしまう……。なんでも、狂児が属する“組”で行われるカラオケ大会で最下位になると、組長に恐ろしくダサい刺青を彫られてしまうらしいのだ。半ば強引に狂児の歌のレッスンに付き合わされる聡実。しかし彼は歌に関しては相当な毒舌で――。

「夢中さ、きみに。」や「女の園の星」等々、学校を舞台にしたコメディ漫画で知られる和山ならではの「そんなん聞いたことない!」な設定の上手さが光る「カラオケ行こ!」。あらすじを読んだだけでも展開が気になったり、想像して吹いてしまったりするだろうが、それを本気で実写映画化したのが『カラオケ行こ!』だ。

監督は『リンダ リンダ リンダ』『1秒先の彼』の山下敦弘監督、脚本はテレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の野木亜紀子とガチメンバー。しかも『ヤクザと家族 The Family』で名演を見せた綾野剛がファニーなヤクザを演じ、組のメンバーには北村一輝や橋本じゅん、やべきょうすけといったメンバーが揃い、綾野がX JAPANの「紅」を熱唱すれば、強面の面々がももいろクローバーZの「行くぜっ!怪盗少女」や「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)を歌い上げると来たら……もう笑うしかない。ただふざけて面白おかしいことをやるのではなく、一線を走るプロたちが己のスキルやテクニックを存分に発揮して大真面目に全力投球するからこそ、こちらも爆笑してしまう。すでに予告編などを観てニヤニヤしてしまった方もいるだろうが、クオリティがしっかりと担保され、安心して楽しみまくれる『カラオケ行こ!』は初笑いにはぴったりな作品といえるだろう。

しかも、オーディションで選ばれた新星・齋藤潤の存在感がベテランたちにまるで負けていない。綾野との競演シーンはもちろんだが、ヤクザたちの歌声を講評するシーンでも一切忖度せずに「声が汚いです」「うるさいです」「カスです」とぶった切る聡実の“強さ”を違和感なく体現しており、実に小気味よい。

そして、オリジナル要素や実写でより掘り下げられた部分にも注目いただきたい。それは「失われゆくもの」。どんどん日陰に追いやられてゆく者たち、再開発で消えてゆく古き良き町の風景、映画という存在、聡実と狂児の奇妙な友情、学生生活や部活動という居場所――。永遠なものは少なく、いま経験している多くが期間限定なのだ、という事実をコメディの中にそっと混ぜ込み、ただ笑えるだけでなくどこかノスタルジックな切なさが香る『カラオケ行こ!』。熱と笑いと寂しさを内包した青春映画としても楽しめることだろう。

『カラオケ行こ!』

story:合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が・・・。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?

公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/

text : SYO

web edit : KAREN MIYAZAKI[sweet web]

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