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アマチュアはドライバーを1番練習すべき!目澤コーチがその理由とメリットを解説

  • 2024.1.12

スイング作りはアイアンで、と思っているゴルファーは多いだろう。ところが目澤は、ドライバーを練習してスイングを作っていくことを薦める。ボールをつかまえる動きが身につき、ショット全体の底上げができるという。

ドライバーでボールがつかまればショットは底上げできる

アマチュアはドライバーを1番練習すべき!目澤コーチがその理由とメリットを解説
フックよりスライスのほうがスコアアップに直結する。それを頭に入れてドライバーを練習しよう

「アマチュアは練習でドライバーばかり打ちすぎる」という意見もありますが、私はドライバーをガンガン練習して、そのスイングを他のクラブに適応させていってもかまわないと考えています。もちろんアイアンを軸にスイングを作ってもいいのですが、固執するとスキルに走りすぎて、知らないうちに思いきりの悪いスイングになってしまいます。

ボールがつかまるようになることも、ドライバーを練習するメリットです。最近のドライバーは重心距離が長く、重心深度も深くなっていますが、まだまだ正しくボールをつかまえられない方が多い。ドライバーで本当にボールをつかまえる動きができるようになれば、ショット全体の底上げが実現できます。

ドライバーの練習ではつねに、次打が打ちやすく、かつ、なるべく遠いエリアにボールを運ぶイメージをもちましょう。ついでにいうと、ドライバーの次に大事なのはアプローチとパット。ドライバー→アプローチ→パター→アイアン、最後にフェアウェイウッドやユーティリティという順で練習していくといいでしょう。女性の場合はドライバーからパターまでは同じですが、次にユーティリティやショートウッド、最後にアイアンという順になるかもしれません。

フックよりスライスのほうがスコアアップに直結する

ドライバーを打つ際にカン違いしていただきたくないのは、スライスがダメなわけではないということ。まずはスライスでもフックでも、それだけが出るようにするべきです。いただけないのは、スライスを打ちにいってフックやヒッカケが出たり、ドローを打ちにいってプッシュアウトするといったパターン。〝逆球〞さえ防げれば、スライスでもフックでもスコアアップにつながります。

ただし、フックよりはスライスのほうがスコアアップに直結します。 アマチュアゴルファーのなかには最初からフッカーの方もいます。いわゆる「飛ぶけれど曲がる」タイプですが、そんなゴルファーを日本のアマチュア競技会で見たら他の選手は「(自分が)勝てる」と思うでしょう。実際、スライスやフェードで低い球を打てる人でゴルフが下手な方はあまり見たことがありません。

飛ぶけれど曲がる方が、スライスに変えてうまくいっているケースもたくさんあります。フックは弾道が高く、スライスは低いですが、高い弾道を低くするのは容易なのに対し、低い弾道を高くするには時間と手間が必要です。インサイドからシャローアタックして高弾道のドローを打つのは、時代が変わろうが道具が変わろうが一番むずかしい技術。いわゆる下半身リードが不可欠で、クラブに対して大きなトルクがかかる動きでもあるのでパワーも必要です。

インパクトをゾーンでイメージする

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インパクトは点ではなく、体を回す方向や手の通り道、スイングプレーンなどを含めたゾーンとして考える

では、ドライバーショットの再構築に取りかかりましょう。アマチュアゴルファーの場合スコアが80を切るまではティーショットが大きなポイントになります。ドライバーの平均飛距離が伸びれば結果的にスイングは良化していると考えられますが、もしそうなっていなければ、打つ前にインパクトをイメージしてみてください。

狙った目標に向かってボールを飛ばすには、打球の方向性や高さをコントロールしなければなりません。それにはプロ、アマチュアを問わず「どんな高さのボールでどれくらい曲げるか」のイメージングが不可欠になりますが、それらのすべてを司るのがインパクトだからです。

イメージする場合には、当たった瞬間のフェース向きやスイングフォームを切り取って想起しがちですが、それだけではなく、インパクト前後のゾーンも含めてイメージしてください。体を回す方向や手の通り道、スイングプレーンなどをトータルで考えるわけです。

たとえばドライバーは、ややアッパー軌道でボールを打ち抜くインパクトイメージがほしいですが、ボールがつかまらない方は自らつかまえにいって、アイアン寄りのダウンブロー軌道でインパクトしていることがよくあります。ドライバーが苦手な方の多くは、こういったインパクトイメージの差を作りきれていないのです。

インパクトの胸の向きを意識してイメージ

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ヘッドの入射角はインパクトの胸の向きを意識するとイメージしやすい。アッパーブローのドライバーは振り抜き方向に向けて少し胸を開き、ダウンブローのアイアンは胸を開かない

ドライバーは、スイングプレーンの最下点を過ぎた直後に少しアッパーブローでインパクトしますが、そのイメージの拠り所になるのがクラブヘッドの入射角です。ヘッドが最下点を過ぎてからインパクトするということは、ティーアップしたボールに対してヘッドが下から入るということです。ショットを修正するときに「ヘッドを下から入れる感じで」といった感覚表現を使うことがありますが、実際にヘッドが下からボールに向かうのはドライバーだけ。ですから入射角はイメージしやすい要素になります。

入射角はインパクトの胸の向きを意識するとイメージしやすいと思います。ボールに対してアッパーに入るドライバーでは、振り抜く方向に向けて少し胸を開く、あるいは上に振っていくよう意識すると適正な入射角をイメージできるでしょう。ダウンブローのイメージだと、ヘッドがもっとも走るポイントとインパクトがズレるためエネルギーロスが生じてしまいます。

真っすぐ打つ意識はインパクトを窮屈にする

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ターゲット方向よりもやや右にクラブを振り出すプレーンでスイングするとインパクトが窮屈にならない

スイング軌道もインパクトをイメージする際に大切な要素です。結論からいうと、ターゲットのやや右に向かってプレーンをイメージするとよい軌道になります。ターゲットに対してスクエアなスイングプレーンを想定した場合、ヘッドの最下点より先でインパクトすると、フェースが閉じはじめるタイミングでインパクトすることになります。

わずかながらもフェースが左を向いたところで当たるので余計なスピンがかかります。その点、やや右を向いたプレーン上でインパクトすれば、フェースの向きがスクエアになり無駄なスピンが入るのを防げます。ターゲット方向の少し右に振り出すプレーンでインパクトをイメージするわけです。

アベレージゴルファーの多くは真っすぐ打とうと、ターゲットに対してスクエアに構えてスクエアなスイングプレーンを描くイメージをもつと思います。理論的には間違っていませんが、いざ動いてみるとダウンスイングが窮屈になって軌道がアウトサイド・インになりがちです。ボールを曲げる意識でインパクトをイメージするとこうはなりません。つまり、真っすぐ打とうとする意識がインパクトを窮屈にしているということ。プロが「どう曲げるか」と考えるのも、こういったことに由来しているのです。

プレーンの向きを変えてボールを打ち分ける

ターゲットに向かってスクエアなスイングプレーン上でインパクトをイメージするのではなく、ターゲットのやや右を向いたプレーン上でインパクトするイメージをもつべきだと話しました。これによりターゲットに対してスイング軌道がインサイド・アウトになり、かつスクエアからクローズドフェースになるタイミングでヒットできます。結果的に右に打ち出してフック回転がかかるので飛ぶわけですが、これはそのままボールを打ち分けるテクニックにつながってきます。

これとは逆に、ターゲットより若干左を向いたスイングプレーン上でのインパクトをイメージすると、スイング軌道はアウトサイド・インになります。インパクトではフェースが少し開き気味になってスライス回転がかかります。インパクトをイメージした場合、インサイド・アウト軌道になる前者では若干右向きに。アウトサイド・イン軌道になる後者では左向きのアドレスになってきます。

つまりはこれがフックとスライス、あるいはドローとフェードを打ち分けるときのアドレスおよびインパクトイメージになります。

フェード

ターゲットに対して若干左向きのスイングプレーンをイメージすると、アウトサイド・イン軌道になってフェードが打てる

ドロー

ターゲットのやや右を向いたプレーン上でインパクトすると、スイング軌道がインサイド・アウトになりドローが打てる

「逆さ素振り」でヘッドスピードをアップ

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腕でビュンビュン振り、風を切る音が一瞬だけするようになればスピードアップできている。左打ちでも右打ち同様に振る

ドライバーで飛ばすにはヘッドスピードを上げる必要がありますが、これは飛距離アップのみならず、打球を左右に曲げたり高低を打ち分けるなど、いろいろなシーンで役立ちます。ただ、こればかりは人に教えてもらってレベルアップするものではありません。かといって練習量が多ければつかめるということでもない。いわばコツをつかむことがポイントになります。

そこで、ヘッドスピードを上げるためのドリルとそのやり方を紹介したいと思います。やることは簡単、ドライバーを逆さまに持って振るだけです。ヘッド側を持つと先端側は軽くなりますから、振ると誰でも〝ビュン!〞と風を切る音がします。このように振るとクラブを振るというよりは、腕を振っている感じになりますが、それでOK。風を切る音が一瞬だけするようになればスピードアップできています。

ビュンビュン振ったら逆サイド、つまり左打ちの素振りもやってください。右打ちと同じように振れるようになるのが理想です。スイング=ボディターンと考えるせいか、アマチュアゴルファーの多くは体を回すことを意識しすぎて腕が振れていません。もちろんスイングには体の回転が不可欠ですが、ヘッドスピードに直結するのは腕の振り。これと体の回転量がマッチしてはじめてヘッドスピードが伴ったバランスのいいスイングになります。

逆さ素振りを繰り返していると、筋肉を緊張させて我慢するパートとそれを解放するタイミングがつかめて、お腹の回り、体幹で蓄えた力が腕からクラブへと伝わっていく感覚がわかってくるはずです。素振りを繰り返したら、普通にグリップしてヘッドスピードを意識してスイングします。右打ちと左打ちの素振りを繰り返すだけでヘッドスピードが上がってきます。

いかがでしたか? 目澤コーチのレッスンを参考にしてみてください!

ゴルフコーチ 目澤秀憲

●めざわ・ひでのり/1991年生まれ、埼玉県出身。5歳からゴルフを始め、プロゴルファーを目指す。日本大学法学部卒業後、「TPI」(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート。アメリカのインストラクター養成プログラム)を知り、セミナーを受講して感銘を受ける。24歳で指導者に転身後は、ボストンでの語学留学を経て、TPIの5つの資格のうち「ゴルフ」と「ジュニア」の最高水準であるレベル3を取得。一般ゴルファーへのレッスンをしながら、2021年には松山英樹と専属コーチ契約。松山のマスターズ日本人初制覇に貢献した。ゴルファー個々の身体的特徴に合った動きを教える「コーチング」をベースに指導。昨年から河本力のコーチも務め、ツアー優勝へと導いた。

文=岸和也
写真=高橋淳司、ゲーリー小林

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