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最強の武神を祀る下総国の一宮「香取神宮」に詣で、恋に仕事に勝ちに行く

  • 2024.1.10

香取神宮は、三重県の伊勢神宮、茨城県の鹿島神宮とともに、平安の昔から「神宮」を名乗ることを許された古社。下総国の一宮にして全国に約400社ある香取神社の総本社です。勝負、厄払い、縁結びにご利益があるとされ、そんなさまざまなご利益を通じて、つまりは「意を決する場所」とされています。新しい年を迎えた今、香取神宮にお参りをして、決意新たに道を開きましょう。

どんな神さまをお祀りしているの?

『日本書紀』に登場する高天原(たかまがはら)の神々のひとりで、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)という武神です。天照大神(あまてらすおおみかみ)の命を受け、利根川をはさんで対岸に鎮まる鹿島神宮のご祭神・武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)と一緒に出雲国に赴き、大国主神(おおくにぬしのみこと)に国を譲るよう交渉。見事に成功しました。布都御魂(ふつのみたま)とよばれる霊剣そのものの化身ともいわれ、武芸を志す人々からも篤い信仰を集めています。経津主大神を祀る社として初代神武天皇の御代18年に創建されたのが香取神宮。地元では親しみを込めて「香取さま」ともよばれています。

香取神宮奥宮近くにある、室町時代の剣豪・飯篠長威(いいざさちょうい)の墓所
香取神宮奥宮近くにある、室町時代の剣豪・飯篠長威(いいざさちょうい)の墓所

お参りの順番とみどころをチェック

ご祭神の別格の強さがわかったところで、いよいよお参りを始めましょう。

参道商店街

表参道に続く道路は、昭和の面影が残るノスタルジックな商店街。香取神宮のご利益のひとつに厄除けがあることから、厄落しだんごが名物です。

賑やかな参道商店街の入口
賑やかな参道商店街の入口
名物・厄除け団子。香ばしくておいしい
亀甲堂の「厄落しだんご」140円と「草だんご」200円。香ばしくておいしい

表参道

朱塗りの大鳥居をくぐると、ゆるやかにカーブしながら上る表参道に入ります。左右から枝を差し交すのはサクラやカエデ。季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。

秋は紅葉の名所。奉納された大きな石灯籠もみごと
秋は紅葉の名所。奉納された大きな石灯籠も見事

楼門

石造りの鳥居、朱塗りの総門をくぐると、堂々たる楼門が見えてきます。元禄13年(1700)に五代将軍徳川綱吉(つなよし)が奉納したもので、扁額は日露戦争でロシアのバルチック艦隊を破った海軍大将・東郷平八郎の手になるものです。

堂々たる楼門。国の重要文化財に指定されている
堂々たる楼門。国の重要文化財に指定されている

楼門は華麗な彫刻に彩られています。粋な計らいで地元の名物が彫り込まれているので、探してみましょう。

霞ヶ浦界隈の水郷の名物・花菖蒲
霞ヶ浦界隈の水郷の名物・花菖蒲

ご神域に入る前に、傍らの手水舎で手や口を清めてから楼門をくぐりましょう。

流れる水の音がすがすがしい
流れる水の音がすがすがしい

手水舎のすぐ脇の巨大な樹には「木母杉」と書かれています。徳川光圀が「宮地の数多(あまた)の杉の母であろう」と名付けたそうですが、現在の樹木はスダジイ。でもこの言葉から、境内にたくさんの杉があることが予想されます。願いを叶えてくれる杉もあるそうで、期待が高まりますね。

千葉県の天然記念物に指定された巨樹
千葉県の天然記念物に指定された巨樹

拝殿

金の装飾を施した黒漆の社殿と檜皮葺の屋根は、鳥居や門など朱塗の建造物を見てきた目にハッとするほど新鮮です。境内の深い緑に映える力強さと美しさ! 厳かで身が引き締まる思いです。昭和15年(1940)に国の予算で建てられたものだそう。心を鎮めてお参りしましょう。作法は二礼二拍手一礼です。

厳かな雰囲気に包まれた拝殿
厳かな雰囲気に包まれた拝殿

本殿

香取神宮では拝殿本殿のまわりをぐるりと一周することができます。拝殿に隠れていた本殿も、横からは見ることができます。楼門と同じときに五代将軍徳川綱吉が造営したものです。

瑞垣に沿ってぐるりと回ることができる
瑞垣に沿ってぐるりと回ることができる

本殿の力強い屋根に注目してみましょう。千木が外削ぎになっているので、男神が祀られていることがわかります。

交差した木の先端が地面に対して垂直になっている外削ぎ
交差した木の先端が地面に対して垂直になっている外削ぎ

三本杉

本殿の脇にあるビックリするほど巨大な杉は、根本から三つに分かれていることから三本杉とよばれています。源頼義が参拝した折には一本の杉だったのですが、「天下太平、社頭繁栄、子孫長久の三つの願いが成就するなら、杉よ三つに分かれよ」と祈願したところ三枝に分かれたそう。この伝説から願いを叶えてくれる強力なパワースポットとされています。写真に撮るといっそう効果があるそうですよ。

少し離れないと全体像が見えないほど巨大
少し離れないと全体像が見えないほど巨大

ハートを探して、恋の勝負運UPを期待!

香取神宮の拝殿本殿には、実はたくさんのハートマークが隠れています。たくさん見つけられたら、恋の運気も上がるとか⁉ じっくり探してみましょう。

本来は猪目(いのめ)と呼ばれる図柄で、魔除けや招福の意味がある
本来は猪目(いのめ)とよばれる図柄で、魔除けや招福の意味がある

ついでに、辰年にちなんで辰っぽい意匠も探してみると……発見!
蜃気楼を作り出すといわれる霊獣の蜃(しん)です。龍(たつ)の仲間という説もあります。

口から吐いているのが蜃気楼。ファンタジックな霊獣
口から吐いているのが蜃気楼。ファンタジックな霊獣

帰路は旧参道の神秘的なスポットへ

楼門を出たら総門に進まず右に折れて旧参道へ。香取の森と名付けられた木立の中にミステリアスなパワースポットが点在しています。

要石(かなめいし)

旧参道の途中で標識に従って左へ曲がると、地震を起こす大鯰を押さえているという伝説を秘めた要石があります。鹿島神宮にも要石がありますが、あちらは中央が凹んでおり、こちらは凸型。鹿島神宮の要石は鯰の頭を、香取神宮の要石は鯰の尾びれを押さえているとか。徳川光圀が大きさを確かめるために7日7晩掘らせたといわれているのも、鹿島神宮と香取神宮で共通の言い伝えです。

ミステリアスな霊石・要石
ミステリアスな霊石・要石

奥宮(おくのみや)

旧参道に戻ってゆるやかに下ると、木立の中に奥宮が見えてきます。本殿が経津主大神の穏やかな和魂(にぎたま)を祀っているのに対して、こちらに祀られているのは荒ぶる荒魂(あらたま)。そのせいか、簡素な社殿ですが、なんともいえないミステリアスなパワーがあふれているようです。

香取神宮一のパワースポット
香取神宮一のパワースポット
昭和48年(1973)の伊勢神宮ご遷宮の際に出た材で作られた社殿
昭和48年(1973)の伊勢神宮ご遷宮の際に出た材で作られた社殿

香取神宮、香取神社と関わりの深い鹿島神宮、そしてもうひとつ千葉県の息栖神社を地図上で結ぶと、直角三角形になります。これは古代の謎を秘めたパワースポットの指標となるレイラインと結びつきが強いともいわれています。東国三社とよばれるこの三社に詣でれば、辰年は向かうところ敵なしというところでしょうか。

Text:松尾裕美
Photo:村岡栄治

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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