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一生ひとりのパートナーを愛し続けることはできる?

  • 2024.1.9
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いま、フランスのカップルたちはどんなことに悩み、どんな恋愛観を持っているのか?恋愛に求めることや別れ方など、時代によって変わるリアルな恋の在り方を見ていこう。

カップルは長続きを求める。

何が起きようとずっとカップルでいたい。そう願うことはダメなのだろうか?そもそも生涯ひとりのパートナーを愛し続けることはできるのか?

ミドルエイジャー

マリオン(38歳/出版社勤務)の場合:10年前から一緒に暮らしている50代の弁護士オリヴィエとずっと一緒にいたいと思っているマリオン。「老いて互いの身体が変化し体形が崩れても、若い頃を知っているパートナーと生涯愛し合うのは素敵なことだと思う」。そう感じたきっかけのひとつが、90歳のアメリカ人数千人を対象に、人生を振り返ってもらう調査だ。それは、"人生で最も幸せな瞬間"が、ほとんどの人が恋愛の思い出だったという結果。以前、ふたりは別れかけた危機があった。オリヴィエが仕事を辞め、精神的に不安定だった時に距離ができてしまった。彼がカウンセリングを受け、仕事を再開して関係は復活したが、「その時は真剣に話し合ったし、危機のおかげで絆は強まりました。周りには、相手の浮気に目を光らせるカップルがたくさんいます。私たちにもそうしたことが起こるかもしれないけれど、そうなっても、いい関係を築き続けるためにお互いに何も言わないと決めたのです」

ソアジグ(40歳/元弁護士)の場合:「軍医である夫のアルノーが、『長期不在になる任務の多い軍医は離婚することが多い』と言い出しました。その日から、心のどこかで離婚の覚悟をしていたのかもしれません。ですが19年経ったいまも離婚していません。お互いに仕事もあるうえ、子どもは4人。自分のことと家族のこと、両者のバランスを取るのが難しかった。彼はカイトサーフィンが趣味で、結婚当初はいい風が吹くと家族そっちのけですぐに出かけてしまうような自分勝手。たくさん話し合いながら調整していくことが必要でした。相手を労わらなくてもカップルなら大丈夫と考えられがちですが、そんなことはありません。子どもの世話をするようにカップルにもケアは必要。自分ひとりで解決できなければ、カップルの先輩やカウンセラーに相談し、助けてもらえばいいと思います」

心理療法士 アンヌ=マリー・ヴォルスフェルの見解:「カップルの危機のきっかけは、出産、不在がち、そして定年退職。60代の人の多くの相談は、『これからも一緒にいたいと思うけれど、何もかも変えたい』というものです。一方で30〜40代の人は、『もう一度情熱を取り戻したい』と相談に来ます。私のアドバイスは、恋心なんてひとまず脇におき、まずは行動すること。どうしたらもっと楽しくなるかをポイントに、これまでのやり方をがらりと変えてみましょう。『もうあなたを激しく愛しているわけではないけれど、あなたと一緒にいるとほっとする』と思えるように導くことで長続きに繋がるはずです」

ティーンエイジャー

フランス国立科学研究センター(CNRS)研究部長のイザベル・クレールは10代の恋愛について、20年間研究してきた。「15~20歳の若者はカップルという規範にしがみつきます。若者にとってカップルというのは性的ステータス。インスタグラムにツーショットを投稿し、互いの家族に紹介する。結婚がその延長線上にあるという意識です」

若者は愛が長続きすることを信じている?

「今日のティーンエイジャーは大人になるまでずっと付き合い続ける人などほとんどいません。ですが、彼らもまた大人と同様に長続きする恋に憧れてはいるのです。中学生で『君が運命の人』と言われて、本当はあり得ないことなのに信じてしまう。若者は結婚を理想化し、『大きな家で寄り添って暮らす』ことを夢見ます。自立しておらず、将来が不確定にもかかわらず、将来に関して具体的な計画を立てていることもあるのです」

「落ち着きたい」が若者の口癖。

「確かに現代の若者はこの表現をよく使います。ティーンエイジャーのカップルにとって、落ち着く=長続きすることは、自分の評判を守る武器であり、『素敵な』女の子や『本物の』男の子と見なされるための社会的ステータス。安定を求めてマンネリを体験しながら、絆を維持するために日々努力しています」

それでも別れたら?

「若者は別れることを常に恐れています。思春期のカップルは性的欲求と恋愛感情だけで結びついている、非常に不安定な気持ちの繋がりです。ふたりの関係を蝕む失望や退屈は、ちょっと話したりメッセージを送ったりするだけで解消する程度のもの。ただ正直なところ、この年代の未来はまだまだ長い。別れたとしても、再び新たな世界が広がるのです。性的な面でも感情面でもさまざまな体験が待っているのですから」

*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋

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