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「何であの子ばかり……許せない」苦しい嫉妬心への対処法とは【臨床心理士が解説】

  • 2024.1.9
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まずは、嫉妬を受け入れることからがスタート。

RealPeopleGroup

嫉妬の正体とは?

嫉妬を対処するために、まずは嫉妬の正体を理解していきましょう。嫉妬とは、私たちの中に起きる感情のひとつで、他人が自分より恵まれていたり、優れていることに対してうらやんで妬むこと、あるいは自分が愛する者の愛情が他に向くことを恨んで嫉む(そねむ)ことを表します。

心理学的には、嫉妬とはひとつではなく、いくつかの種類に分けられると言われます。様々な説がありますが、例えば今回は、神野雄氏の論文から、嫉妬を4種類に分けたものを紹介します。そして、この4つの嫉妬について、恋愛を例に出して解説します。

(1)猜疑(さいぎ)的嫉妬
他者に疑いを持つ嫉妬のことを言います。例えば、「第三者が自分の恋人を奪おうとしている」というような、本当の話か空想なのかは関係なく、疑いの気持ちがこれに当てはまります。

(2)排他的嫉妬
何かしらの障壁になるものを排除したいと感じる嫉妬です。例えば、恋愛のライバルが相手に近寄らないようにしたいと思うのはこれに当てはまります。

(3)行動的嫉妬
嫉妬を実際に何かしらの行動に移すことを意味します。例えば、恋人のスマホをチェックする、SNSでリサーチする、相手の行動を制限するなどがこれに当てはまります。

(4)衝動的嫉妬
衝動的に自分の気持ちを爆発させる嫉妬です。例えば、相手の行動にカッとなって怒るなど、感情をストレートにぶつけることはこれに当てはまります。

Rafael_Wiedenmeier

嫉妬が強くなる原因になるものは?

(1)自分の中にある感情を見ないようにしている
人が嫉妬を感じている時、内側では焦りや不安などのネガティブな感情が起こっています。そういったネガティブな感情に対して向き合うことを避けると、その感情を他者に向け、否定・嫉妬するといった形で現れます。これを心理学では【投影】と言います。自分の中のネガティブな感情を相手に投影することで、ネガティブな感情と向き合わなくてもよくなるので、一時的には安心できますが、今度は嫉妬している自分に対して罪悪感を感じる、そしてまたそれを避けるために否定して相手に嫉妬するという悪循環に陥りやすいというデメリットも。

(2)他人と比べることが習慣になっている
他人と自分を比べてしまうのは、自己評価の低さが原因として挙げられます。自己評価が低いと、相手と自分を比較して安心を得ようとしますが、一方で、相手が成功している場合は、嫌悪感や焦り、不安の気持ちなどが高くなってしまうため、より自己評価を下げるということになってしまいます。

Javier Zayas Photography

嫉妬への対処法とは?

(1)嫉妬を感じている自分に気づいて、否定しない
嫉妬の感情が生まれた時、どんな対応をしていますか? おそらく多くの人が、「嫉妬を感じないようにしよう」とか「嫉妬をしてはいけない」と否定したり、なくそうとするのではないかと思います。嫉妬は非常に強い感情なので、そう思うと余計に気になる、罪悪感が増すといったマイナスの現象が起きがちです。まずは、「嫉妬の気持ちを感じている自分がいる」という事実だけ受け止め、それに評価をしないようにしましょう。

(2)嫉妬の裏にどんな感情があるのかに気づく
嫉妬を感じている時は、その裏側に何か他の感情が潜んでいたりします。例えば、自分を蔑ろにされている感じがして寂しいのかもしれないし、努力しているのに認められなくて悲しいのかもしれません。何が嫉妬を起こすきっかけになっているのか、そこに潜む感情は何かについて目を向けていくと、嫉妬の気持ちが軽くなることがあります。

(3)どんな人、状況に嫉妬しやすいのかを知る
誰に対しても嫉妬するという人はあまりいなくて、嫉妬するとしたら恐らく、ある特定の場面や人物であると思います。例えば、自分とレベル感が同じかあるいは下だと思っている人、他者と自分を比べられて評価される場面など、嫉妬を感じる対象は個人によって違うと思いますので、自分はどんな人に嫉妬の感情を抱きやすいのか理解しておくだけでも、嫉妬の感情に飲み込まれずに済みます。

(4)自分にできていることを探してみる
嫉妬の感情を覚えている時はどうしても、「あの人と比べて自分は、できていないことが多い」と思いがちですが、他者と比べて自分ができていること、1つくらいはあるはずです。思いつく自分にできていることをノートやスマホのメモ機能などに書き溜めていきましょう。最初はそういった思考をするのが難しいかもしれませんが、続けていくことで徐々に慣れていきますし、自分の良いところが書き溜まっていくのを目にすることで、自分に対する自信が少しずつついていくと思います。

Kelvin Murray

嫉妬から解放されるには、受け入れること

嫉妬を感じることは生物学的な観点から見ても、決しておかしいことではない、むしろ生き延びるために起きうる当然の反応だそうです。なので、今後も私たちの中に嫉妬の気持ちが起きる可能性があること、それを排除せずにうまく付き合っていくという前提を持つことが、嫉妬の苦しみから解放される一歩です。

また、嫉妬の気持ちに支配され、日常生活に支障が起きるのは避けたいところ。幼少期からの影響も含めて、何が嫉妬の気持ちを駆り立てているのかを知る、それとどう向き合っていくのかを自分で決めるということも必要になると思います。そうはいっても、1人で向き合うのには心細かったり、辛すぎることもあると思いますので、身近な友人やパートナーなど近しい心許せる人に打ち明けてみたり、あるいはカウンセラーなど心の専門家に話してみるなどして、嫉妬の気持ちを感じる自分を受け止めてもらうという体験をしてみることをオススメします。すぐには難しいかもしれませんが、嫉妬の気持ちとの付き合い方が少しずつ上手になっていくと、気付いたら嫉妬を感じる機会が減るということもあるので、気長に試してみてくださいね。

【参考文献】神野 雄『多次元恋愛関係嫉妬尺度の作成と信頼性・妥当性の検討』 パーソナリティ研究 25(1) p.86-88 2016和田 実『恋愛嫉妬時の情動とコミュニケーション反応―嫉妬の強さおよび性との関連―』応用心理学研究 40(3) p.213-223 2015大嶋信頼『消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法』すばる舎 2018

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