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日本の世界遺産【22】密かに信仰を続けた人々の歴史「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」

  • 2024.1.3

17世紀から19世紀にかけて日本でキリスト教は「禁教」とされていました。そんな中、密かに信仰を続けた人々がいました。長崎と天草地方にいた潜伏キリシタンです。彼らは信仰と共同体を維持するために、さまざまな試みを行いました。今回は、そんな歴史を物語る「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に注目。概要や見どころをはじめ、行き方、周辺の人気スポット・グルメもわかりやすくご紹介します。

 

 

潜伏キリシタンの歴史を深く理解できる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」

日本におけるキリスト教の歴史は、大きく分けて伝来と繁栄、禁教と潜伏、解禁と復興の3つです。15世紀半、ポルトガル船が来航したことを機に、ポルトガルとの貿易が始まり、イエズス会の宣教師により、キリスト教が長崎や有馬を中心に広がっていきました。

しかし、天下統一を果たした豊臣秀吉により、1587年に「伴天連(バテレン)追放令」が発令され、1614年には江戸幕府が禁教令を発令しました。その後、一揆が起こったり、宣教師が殉教したりして、宣教師と日本人との交流による宣教は途絶えましたが、潜伏キリシタンの密かな信仰は続きました。

展海峰展望台からの景色

17世紀中頃までは全国各地に潜伏キリシタンが存在。しかし、大規模なキリシタン摘発事件により、潜伏キリシタンは主に長崎と天草地方にしか残りませんでした。18世紀末になると、五島藩の要請で大村(おおむら)藩外海(そとめ)地方の農民らが五島列島に移住。彼らは、狭い斜面を開墾して潜伏キリシタンの集落をつくっていきました。

大浦天主堂

そして、1854年に日本は開国。長崎に来た宣教師たちにより、1864年に大浦天主堂が建設されました。1873年には、明治政府はキリスト教禁止を撤廃。これにより、各地の集落では日本と西洋の技術と材料が融合した多彩なデザインの教会堂が建設されました。

そんな潜伏キリシタンの伝統について深く理解できる、12の異なる構成資産からなる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、2018年に世界文化遺産に登録されました。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の見どころは?

原城の本丸にある天草四郎像 ©️beibaoke / Shutterstock.com

島原の乱(島原・天草一揆)の舞台となった「原城跡」は必見です。ここは日本が鎖国体制を確立したきっかけになった場所でもあります。かつては別名「日暮城」とも呼ばれる美しい城が建っていましたが、今はその面影はありません。キリスト教を恐れた幕府により破壊されたのです。

しかし、現在は多くの観光客が訪れる人気のスポットに。海を挟んだ向こう側には天草を望むことができて風光明媚です。特に朝日や夕暮れ時は絶景を拝むことができますよ。

原城の本丸があった場所には、南島原市出身の彫刻家・北村西望がつくった祈りをささげる天草四郎像のほか、天草四郎の墓石も! ぜひチェックしてみてくださいね。

また、2010年に国の重要文化的景観に選定された「平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)」も見どころのひとつ。標高約534mの安満岳の裾野から海に向って広がる棚田は圧巻です。安満岳は神、仏、キリシタンが存在する平戸島の聖地で、安満神社のほか、廃寺となった西禅寺、教会の痕跡が残っています。

ここには、キリスト教解禁後もカトリックに復帰せず、信仰してきた人々が暮らし続けていましたが、現在では個人的に信仰具を祀る程度になっているそうです。

さらに1864年、パリ外国宣教会のフランス人司祭らにより創建されたカトリック教会「大浦天主堂」もぜひ訪れたいスポット。美しいステンドグラスが施された、現存する国内最古の教会建築です。1879年に増改築が行われ、内部、外観ともにゴシック調に統一されました。

1597年に殉教した日本二十六聖人に捧げられた教会で、大浦天主堂の正面は殉教地である西坂に向かって建てられています。

大浦天主堂は「キリシタン博物館」に隣接。同館には長崎のキリシタンにまつわる歴史上重要な資料などが展示されているため、こちらもあわせて訪れたいですね。

原城跡、平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)、大浦天主堂への行き方

今回、見どころとしてご紹介した3カ所への行き方は下記の通りです。

原城跡

島鉄バス「原城前」バス停から徒歩約15分

原城跡

住所:長崎県南島原市南有馬町

電話:0957-65-6333(南島原ひまわり観光協会)

平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)

平戸大橋から車で約30分

平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)

住所:長崎県平戸市春日町

電話:0950-22-9143(平戸市役所文化観光商工部 文化交流課 文化遺産班)

大浦天主堂

JR「長崎駅」から徒歩約35分、路面電車「大浦天主堂」から徒歩約5分、長崎バス「大浦天主堂下」下車徒歩約5分

大浦天主堂

住所:長崎県長崎市南山手町5-3

電話:095-823-2628

内覧時間:8:30~18:00(拝観受付・最終入館は17:30まで)、冬季(11月1日~2月末日)8:30~17:30(拝観受付・最終入館は17:00まで)

拝観料:大人1,000円、中高生400円、小学生300円

約60分で地獄巡りを楽しめる!雲仙温泉を代表する人気スポット「雲仙地獄」

©長崎県観光連盟

長崎を訪れたら「雲仙地獄」まで足を運ぶのもよさそうです。長崎空港から車で約1時間10分の場所に位置します。雲仙温泉を代表する観光名所で、硫黄の香りが漂い、地面から吹き出す蒸気と熱気にあたりが包まれていて、まるで地獄のような様相で圧倒されますよ。

大叫喚地獄やお糸地獄、清七地獄といった30余りの地獄があり、60分ほど地獄めぐりを楽しむことができます。また、ここはキリシタン殉教の舞台でもあり、殉職碑が建てられています。時間があれば、雲仙の温泉に浸かり、リフレッシュするのもおすすめです。

加えて、島原地方を訪れたら味わいたいのが、土鍋で作る「具雑煮」です。山の幸、海の幸がふんだんに入った雑煮で、食べ応え十分! 鶏肉、アナゴ、シロナ、レンコン、ゴボウ、凍り豆腐、椎茸、卵焼き、丸もち、春菊など十数種の具材が使われるのが一般的なのです。

そして、この雑煮を考案したのは、天草四郎時貞という説が! 島原の乱の際、幕府軍により兵糧攻めに遭った際、四郎の命によって急遽、作られたといわれているのです。使う具材からして、おいしいことに間違いなさそうですが、どんな味がするのか、ますます気になりますね。

雲仙地獄

住所:長崎県雲仙市小浜町雲仙

電話:0957-73-3434(雲仙温泉観光案内所)

交通アクセス:長崎市内から車で約1時間30分、長崎空港から車で約1時間10分、JR「諌早駅」からバスで約1時間20分

[参考]

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産

ながさき旅ネット

南島原ひまわり観光協会

九州観光情報サイト「九州旅ネット」

平戸市

長崎市公式観光サイト travel nagasaki

島原市

[Photos by Shutterstock.com]

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