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英国王室でハレの日も日常も受け継がれるジュエリー。

  • 2024.1.1
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長きにわたり富と権威の象徴であるジュエリーの歴史を支えてきた、世界の王室。歴史的なお宝から新世代のロイヤルセレブが纏うピースまで、華麗なる人々に寵愛された逸話とは?

極上のワインと極上の縫製は、常に英国王室にあるという。おそらく世界で最も多くの宝石を所有するであろう大英帝国のロイヤルファミリー。戴冠式に登場した王冠・王笏にセットされた伝説のダイヤモンドを筆頭にロイヤルメンバーが日々身に着けるジュエリーまで、数々の逸品を通して歴史と、愛と、継承の物語を感じたい。

Royal Asscher

王の座を象徴する、世界屈指のダイヤモンド。1905年当時世界最大であった3,106ctのダイヤモンド原石「カリナン」から現在のロイヤル・アッシャー社がカットしたダイヤモンドは、いちばん大きな「カリナンⅠ世」が王笏に、2番目に大きな「カリナンⅡ世」が大英帝国王冠にセットされ英国王室随一の至宝となった。

1952年、25歳の若さで英国女王の座についたエリザベス2世。戴冠式で手にした王笏と頭上の大英帝国王冠には世界有数のダイヤモンド「カリナンⅠ世」「カリナンⅡ世」が輝いていた。この王笏と王冠はイギリス君主の証としてチャールズ国王に受け継がれ2023年の戴冠式でも披露されたことは記憶に新しい。

ジュエリーの歴史は、王者の歴史でもある。支配者=王たちは自身の強さや権威の象徴として希少な宝石を身に着けた。特に古代インドではどんなものよりも硬いダイヤモンドを強さの象徴として尊んだ。その慣習は西洋に波及し、ギリシア語で「何よりも強い、征服されざるもの」を意味する「アマダス」が、ダイヤモンドの語源となっている。

13世紀頃からヨーロッパの王侯貴族たちは豪華なジュエリーで身を飾り立てるようになる。ただし当初はジュエリーや宝石はあくまで男性のもの。女性もジュエリーを身に纏えるようになるのはルネサンス後期の16世紀頃と考えられている。1558〜1603年に在位したイギリスのエリザベスⅠ世の肖像画を眺めると、全身が真珠と宝石で覆い尽くされ、その豪華さは驚くばかりだ。

王妃や宮廷の女性たちがジュエリーを楽しむ時代になる頃、王室はお抱えのジュエラーを持つようになった。マリー・アントワネットに見出されたメレリオ、ナポレオンとの出会いをきっかけに各国王室のティアラを手がけるようになったショーメ、英国王エドワード7世に「王の宝石商、宝石商の王」と評されたカルティエをはじめ、ジュエラーにとって王室は、産業革 命後に庶民が身に着けるジュエリーが普及するまで、最上にして唯一とも言える顧客でもあった。

21世紀の現代、私たちは王室が所有する国宝級のティアラや希少な宝石に憧れる一方で、プリンセスやプリンスのジュエリー使いをお手本にもできる。ロイヤルのジュエリーをウォッチして、その優雅さ、品のよさ、華やかさ、そして大切な宝物を次の世代へと受け継いでいく精神を学びたい。

キャサリン妃はジュエリー使いのお手本!

2023年5月、英国王チャールズ3世の戴冠式翌日に開催された祝賀コンサート。キャサリン妃はアレキサンダー・マックイーンのパンツスーツにヴァン クリーフ&アーペルの「マジック アルハンブラ」のネックレスとイヤリングをコーディネートして登場し、話題をさらった。顔まわりを華やかに演出するイヤリング遣いも絶妙なキャサリン妃は、アスプレイの「デイジーヘリテージ」やロビンソン ペラムの「スター」や「アスペン」などを装いやヘアスタイルに合わせてセレクトしている。戴冠式ではシャーロット王女とお揃いのヘッドピースにも注目が集まったが、イヤリングのコレクションも、きっといつの日かシャーロット王女や王子の未来の花嫁たちに受け継がれていくのかもしれない。

©︎Getty Images

Van Cleef & Arpels左:「マジック アルハンブラ」イヤリング(YG×MOP)¥924,000、右:同ネ ックレス(YG×MOP)¥1,478,400/ともにヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

Robinson Pelham

Asprey

ダイアナ元妃からキャサリン妃へ受け継がれたサファイア。

1981年にダイアナ元妃がチャールズ皇太子(当時)と婚約した際に贈られたのは、12ctのセイロン産のサファイアの周囲に14粒のダイヤモンドをあしらったガラード製のリング。古くから高貴な宝石とされるサファイアは特に英国王室で愛され、エリザベス王妃(クイーン マザー)やアン王女も婚約指輪はサファイアだった。時を経て2010年に、ウィリアム王子からキャサリン妃に婚約指輪として贈られたのが、ダイアナ元妃の形見のサファイアのリングだった。23年、キャサリン妃は初めてこのリングについてコメントし、譲り受けたまま一度もリフォームもサイズ直しもすることなく着け続けていることを明かしている。

●問い合わせ先:ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク0120-10-1906(フリーダイヤル)www.vancleefarpels.com/jp/ja/home.html

*「フィガロジャポン」2024年1月号より抜粋

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