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お金持ちの家の床には家具の足しかない…片付けのプロが指摘する「年収と見える床面積」の密接なカンケイ

  • 2024.1.1

片づけられる人とそうでない人は何が違うのでしょうか。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「経済状態、特に収入と、見える床面積は密接に関係しています。実際、高収入の方の家にうかがうと、床の上に置かれているのは家具の脚だけだったりします。片づけの副産物として、収入が増えたという人が多いです」といいます――。

※本稿は、西崎彩智『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)の一部を再編集したものです。

箱にファイルを整理する女性
※写真はイメージです
高年収の家は床にモノを置かない

経済状態、特に収入と、見える床面積は密接に関係しています。実際、高収入の方の家にうかがうと、床の上に置かれているのは家具の脚だけだったりします。部屋の面積が大きくても小さくてもです。

床が見えているということはモノが管理できている証拠。モノの管理ができるということは自己管理もでき、時間やお金のムダも少ないのでしょう。反対は、もうおわかりですね。

乱雑な部屋がさらに乱雑になることは、物理学的にも証明されています。「エントロピーの増大法則」をご存知でしょうか。エントロピーは“乱雑さ”の概念ですが、いったん乱れると、その後は乱れる方向にしか進まない、決して元の整然とした状態には戻らないという物理の法則です。

片づけが苦手な人は肥満にもなりやすい

イギリス人の生活評論家カレン・キングストンの考察です。ため込みやすい人の、モノにあふれた部屋を毎日見ていると、脳にも影響が出てきます。「自分の体にもため込んでいいのだ!」と思い込んでしまうのです。そして欲望に任せてため込み始めます。つまり、食べるばかりで消費しない。

散らかった部屋はそれだけでストレスになりますから、その解消のためにも、食べる量が増えます。甘いものをチョコチョコ食べたり、暴飲暴食に走ったり。私の経験上、この考察は的を射ています。肥満気味の人の家は、モノにあふれていることが多いです。

片づけられない人には大きく分けて3つの心理が働いています。「ため込もうとする心理」「取捨選択できない心理」「モノを捨てられない心理」です。ひとつずつ解説します。

片づけられない人の「3つの心理」
1.ため込もうとする心理

モノをため込んでしまう人に共通しているのは、「心に不安がある」ことです。不安やさびしさをまぎらわすためにモノに頼ってしまう。身の回りにあるモノに愛情を抱いたり、異常に執着したりするのです。

わかりやすい例が、買い物依存です。同じブランドバッグを、使いもしないのに10個以上買っていた女性がいました。買っても使わずに押し入れにしまっていたので、片づけを始めたら10個以上も出てきて驚いたということです。

なぜこんな行動をしてしまうのか。心理学的に見るとわかります。この女性にはまだ言葉のしゃべれない幼児がいて、日中はずっと家の中でその子とふたり。育児と家事のいわゆるワンオペ状態でした。幼児と会話はできません。夫は忙しくて話を聞いてくれません。

そんなストレスフルな状態で、ときどき母親に子どもを預けられる日があり、その日は大好きなブティックに飛んで行きます。その店のスタッフと話をする時だけが、彼女にとって普通の大人として話せる唯一の時間だったといいます。その時間と引き換えに、彼女はバッグを買っていたのです。ため込んだ高級ブランドのバッグは、心にため込んだ不安そのものです。

このようにため込もうとする心理には、モノそれ自体を見えなくさせる作用もあります。

2.取捨選択できない心理

捨てていいモノかどうか決められない人に共通しているのが、「自分の判断に自信が持てない」ことです。

これ、いるかな? どうかな? そう考えた時に、「捨ててしまったら後で悔やむんじゃないか」とか、「もしもの時にこれがなかったら困るんじゃないか」などと考えてしまい、「やっぱり取っておこう」で終わります。片づけは自問自答の繰り返しですが、自問自答しても自分の判断に自信がないので、後悔を怖れて決断できません。

さらに、捨てられない自分に嫌悪感を感じてしまい、ますます自信を失ってしまいます。取捨選択できない人の心理は、「自分の判断に自信が持てない」負のループにもはまりやすいのです。

家の中の70%以上はほぼ使用しないモノ
3.モノを捨てられない心理

なぜ捨てられないのでしょう? そこには4つの心理が働いています。まず、「もったいない」心理。実際に、家の中の70%以上が、ほぼ使用しないモノだといわれています。「これ使う? 使わない?」と自問する時点で、今の生活には必要ないことが明らかなのですが、もったいないので捨てられないのです。

つづいて「いつか使うかも」の心理。これも「いつか使うかも」と迷いが生じた時点で今の生活に不要であることを物語っています。

次に「モノは大切にしなくてはいけない」という罪悪感。たとえば、いただいたプレゼント。自分の趣味とは合わないんだけれど、捨てたら悪いと思って手放せない。でも、プレゼントは気持ちを受け取るものです。だから気持ちを受け取ったら、モノに執着する必要はないはずです。モノを大切にしないとバチが当たる的な考えは、本当にモノがなかった時代の価値観の名残です。もうそろそろ手放しましょう。

最後に「見栄を張りたい」心理。モノを多く所有することで、本来の自分より良く見せたいと思っている。特にブランドものの洋服やアクセサリー、バッグなど人の目につきやすいモノを多く持ちたがります。でも、モノをたくさん持っていることが富の証しだった時代は遠く去りました。

部屋は心の鏡です。これは私が常に心に留めている言葉です。仕事が忙しくなったり、余力がなかったりすると、部屋が雑然としていきます。

そういう時は、いったん手を止めて先に片づけをすると気持ちがスッキリし、仕事に集中できたり、余力が生まれたりします。片づけられない人は図1のような負のスパイラルに陥りやすいのです。

片づけられない人の行動と状態
書籍「キッチン『から』片づければ、家は必ずキレイになる!」より引用
片づかない人と片づけられる人の違い

これまでは、片づかない理由やその奥にある心理についてお話ししてきました。ご自身への理解がだいぶ深まってきたのではないでしょうか。ここでもう一歩進んで、これまでの自分の“当たり前”を疑い、勇気をもっていったん捨ててみましょう。

1 買ったら捨てる →→→ 捨てたら買う

欲しいモノを見つけた時、「家に帰ったら古いのを捨てればいい」と言い訳しながら買っていませんか? それで実際、古いほうを捨てたことがありますか? 買ったら捨てるのではなく、捨てたら買うに逆転してしまえばいいのです。手放してから買う。気持ち的にも大きなチェンジになると思います。

2 好きだから買う →→→ これからの私に必要だから買う

好きだから買ってしまう。一見もっともですが、それ、買わないと夜も眠れませんか? これからのあなたに必要ですか? いったん立ち止まるクセをつけると、「好きだから」の衝動買いが減ります。片づけが終わった後のあなたの生活は今とは違うはずです。あなた自身が変わっているはず。片づけた後の「グレードアップした私」に必要なモノだけを買うことにしましょう!

3 大切に取っておく →→→ 使い切ってこそモノの役目と心得る

カワイイから、好きだから、思い出の品だから……大切に取っておいたはいいけれど、使わないので結局、押し入れの奥へ奥へと押しやられ、ある瞬間、見るとカビが生えていた……。悲しいですよね。取っておいた意味がありません。大切なモノは大事に取っておくよりも、使い切ってその役目を全うさせてやることが、本当に大切にしたことになるのだと思います。

4 すべて揃える →→→ 代用できるモノで済ませる

5客のカップ&ソーサーのセット。和洋中なんでも料理できるスパイスセット……。片づけられない人には完璧主義の方が多く、セットものは全部揃えないと気が済まないという人も多いです。数十年前のバブル期ならともかく、食器セットなんて場所を取るだけ。家族の人数分、あればよし。

調味料だって中華料理は甜麺醤と豆板醤とコチュジャン、全部揃ってなくても作れます。豆板醤がなくても、味噌、しょうゆ、一味唐辛子があれば代用できます。子どもの使う色鉛筆は36色セットでなくても12色で十分です。いろいろ混ぜ合わせることで、他の色が作れます。ないものを買って揃える前に、いったん立ち止まり「何かで代用できないかな?」と考えてみましょう。

片づいた部屋をキープするには、「あるもので済ませる」思考にチェンジすることも必要です。

今まで当たり前だと思っていた自分の中の常識を変えるのは、言うは易やすく行うは難かたしかもしれません。でも、片づけとは部屋をキレイにするだけではありません。自分を変えること。これまでの当たり前を打ち破ってこそ新しい発見があります。

片づけ前の「思考チェンジ」
書籍「キッチン『から』片づければ、家は必ずキレイになる!」より引用
片づけられるようになると「収入」が増える不思議

受講生のみなさんには、その後の様子も聞いています。片づけによって得られたことを生き生きと話してくれます。片づけの副産物として、収入が増えたという人が多いです。

西崎彩智『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)
西崎彩智『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)

ある女性は、それまで毎日残業しないと仕事が終わらなかったのに、家を片づけられるようになったら仕事の効率が上がり、定時に帰れるようになりました。夕食後の時間に、以前からやりたかったセラピストの勉強をし、やがて自宅にセラピーサロンをオープン。帰宅後や休日を使った副業で収入を得られるまでに成長しました。

また、ある女性はムダ遣いがなくなったことで使えるお金が増え、時間にも余裕ができたのでファイナンシャルプランナーの資格を取得し、独立も果たしました。もうすぐ1000万円プレーヤーになれそうです。

以上はほんの一例ですが、受講生のみなさんに会うと、表情はやわらかく、そしてキラキラと自信に満ちているのがわかります。片づけは人を変えられる最高のセルフコーチングだと実感しています。

片づけを実践していくことで、それまで顧みなかった家庭を振り返り、家族との絆を新たにできたと話す人も少なくありません。

モノに依存し、過去に執着していた私はもうおしまいにしましょう。

思えば、時間の使い方やお金の使い方が変わるというのは、人生が変わるのに等しいかもしれません。片づけは人生を変える力を持っています。片づけを通して、本当の自分を取り戻しにいきましょう。

西崎 彩智(にしざき・さち)
お片づけ習慣化コンサルタント Homeport代表
1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片付けを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で2000名を上回る。

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