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お正月のおまじない

  • 2024.1.1

あらたまの新しい年のお慶びを申し上げます。

2023年の後ろ姿を見送り、除夜の鐘とともに新しい年がやってきました。 すがすがしい気持ちで新年を迎えていると思います。

二年参りをした方もいらっしゃるかな?

あけましておめでとうございます、エミールです。本年も宜しくお願い致します。

お正月といえば子供の頃、何故、元旦に若水を汲むの? とか、どうしてお屠蘇を飲むの? 鏡餅のお飾りってどうしてなの? おせち料理って…と延々質問責めをしては母を困らせていた覚えがあります。

そこで登場するのが物知りのおばあちゃま。 あれこれと飛んでくる孫の素朴な疑問を全て引き受け一本背負い。

「それはね。ぜーんぶ、おまじないでできているの」と快刀乱麻なこたえです。

え? おまじない? そう…おまじないなのです、お正月のアレコレは…。

そこで今回は、まずお正月ならではの習慣にまつわる「おまじない」のお話をしてみましょうね。

まず第一番目、どなたのお家でも頂くおせち料理。 由来はといえば、年神様をお迎えするために神饌(神様に差し上げるお食事)を、お供えし新しい年を神さまと共にお祝いします。 そして年神さまに一家の家庭円満・身体健全・金銭融通などの幸せを祈りながら食べるのがおせち料理です。

そこでそれぞれのお料理をのぞいてみると、まずは「黒豆」の黒が魔除けの色で邪気を払い、豆はマメに元気に頑張りがきくように。

数の子は子宝をはじめとして一家の繁栄を。

ごまめは「五万米」と書き、米という字が入っています。

かたくちいわしで五穀豊穣を願う意味がこめられているのですが、これは、かたくちいわしを田んぼに蒔いたところ豊作だったことからの縁起をかついで。

次にきんとん、「金団」見て字の通り黄金色の塊で財運のシンボルです。

かまぼこは紅白の薄鉾の形が日の出によく似ていることから初日の出を祝うためのもの。

昆布巻きは昆布が「よろこぶ」に通じるところからおめでたい行事には欠かせない縁起ものと…こんな感じで、おせちの一つ一つに「本年も元気で幸せに頑張ることができますように」と願いと祈りが込められているのです。

続いて、これもお正月には欠かせない、お屠蘇。

屠蘇酒の由来は遠く中国唐の時代にさかのぼり、日本には平安時代初期、嵯峨天皇の時代に伝えられ宮廷から始まり、やがて民間へと広がってゆきました。

みなさんはお屠蘇の中に何が入っているか知っていましたか?

興味があって調べたところ、白朮(びゃくじゅつ)、桔梗(ききょう)、防風、山椒、肉桂(にっけい)、丁子(ちょうじ)などの薬草。

これらをこまかく砕き、三角の紅絹(もみ)の袋に入れて、大晦日の深夜から井戸(現代ではもうありませんが)に吊るし、元旦にかけてお酒に浸したものです。

これを元旦の朝、一家そろって飲むことで一年中、無病息災で過ごせる「魔法の薬」だったのです。 屠蘇袋の「三角」「赤」が魔除けを表したというのですから、お正月はおまじないの日々だったというわけ。

ところで、屠蘇酒は年少者から先に飲み、最後に年長者が、しかも東の方向に向かって飲むと効果抜群とのこと。 せっかくなので今年は古来のしきたりにのっとり、粛々と屠蘇酒を頂きましょう。

(方向指定があるなんて恵方巻のようですね)

では〆は鏡餅のお飾りについて。

お正月の間飾っておく鏡餅は年神様へのお供えでもあり、依り代です。 依り代とは神様がよりつくものを示しますから、降臨してきた神様がその意思を伝えるためにリンクする場所。 その役割を果たすのが鏡餅です。

お餅はお米から作られ、米には穀霊が宿ると考えられているところから、お餅そのものがご神体であると考えられていたのです。

お餅は古来より神聖な食べ物であり祝食でした。 特にお正月のお餅は年神様の依り代であり、特別中の特別で晴れの日の祝食であった…そんな大きな意味があったのです。

鏡は三種の神器のひとつですから鏡餅もまた神さまが宿る神聖な空間なのです。

ところで、この鏡餅、丸く平たい鏡のような形が大小二つ重なっていますよね。 「重ねる」とは重ね重ねの吉事を願ってのおまじない。 そのためこのお餅を「重ね餅」と呼びます。

お飾りは橙・ゆずり葉・裏白・海老・扇・御幣(ごへい)昆布などの縁起ものと一緒に神様に供えられます。

こうして並べてみると、ひとつひとつに大切な意味があるのが分かりますね。

橙は冬の過日が黄色に熟しても実が落ちず、翌春になるとその実が再び青い果実に変わるので「回青橙」という別名もあるそうです。

先祖代々、家が続くようにとの言霊がこもっているので、できれば蜜柑で代用せずに橙を用意したいものです。

裏白はシダの一種で生命体としては人類よりもずっと古くから地上に生えているので、人類の永遠の繫栄や長寿を願ってのお飾りです。

その名の通り葉の裏が白いので裏を返しても変わらぬ清浄な心を願ったとも…。

ゆずり葉は毎年新しい葉が出て古い葉を落とすので新旧交代のさまを子孫繁栄に結びつけてお餅を飾ったのです。

お正月が明けると鏡開きをしますから、神様からのおさがりを感謝して頂きましょう。

今年の鏡開きの日は丁度、新月に重なりますので今年のお誓いを立てる日として、ふさわしい日付のようです。

1月11日ですからカレンダーに大きく丸をつけておくとよいですね。

さて、こんな風にお正月のおまじないを書いているとキリがありませんから、新しい年をスイスイ過ごせる心のおまじないで締めくくります。

新年を迎えて前の年を振り返ると、良かったことと辛かったことが色々思いだされると思います。

でも不思議なことに辛かったことも最初に感じていたほど、ひどくはないと分かってくることがあります。 これは時間の経過と共に新しい見かたができるようになるから。

時間が経つと動揺していた気持ちの中に、ゆとりが生まれて全体を広く見渡すことができる、これもまた心の法則を利用した「待ちのおまじない」。 昔の人たちは「時の薬」と呼んだそうです。

今年もいろんなことがあると思いますが、心がキリキリするようなアクシデントがあったときこそ、目の前の事実を正直に見つめて、時を味方につけましょう。

時の神さまが今年のあなたと寄り添っていい知恵をくれますように!

2024年1月 エミール

追記

今年のスタートは元日早々、初甲子、陽遁、一粒万倍、天赦日、十二直ではたつ(健)と、キラ星が如く縁起ものがそろっている大吉日。

西洋占星術では1/2、に12/23から逆行していた水星が順行に戻り、めでたしめでたしと素敵な三ケ日になりそうです。 もうこうなれば、ジッとしてないで是非お参りにでかけましょうね。

お話/神野さち(エミール・シェラザード)先生

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