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【北九州市漫画ミュージアム】美しい原画を体感!「大乙嫁語り展」開催中

  • 2024.1.1

こんにちは。リビングふくおか・北九州Web地域特派員のもんちゃんです。

北九州市漫画ミュージアムで開催中の北九州国際漫画祭2023「大乙嫁語り展」へ行ってきました。実はこの『乙嫁語り』を読んだことがなく、大まかなストーリーを予習していた程度だったのですが、作品を知らなくても楽しめる、そんな展覧会でした。

直筆の原画と物語の世界観を体感

年末年始の恒例となっている「北九州国際漫画祭」。今回で第8回を迎えます。「アジアの玄関口」として古くから栄えた北九州市の歴史風土と、国境を越えてグローバルに広がる漫画というメディアの特性をふまえ、「漫画を通じた国際文化交流」をテーマに、複数の展示やイベントを複合させ、毎年冬季企画展として開催しています。

そのメインの催しである「大乙嫁語り展」は、19世紀半ば、中央アジアを旅するイギリス人旅行者スミスが各地で出会った“乙嫁”(美しいお嫁さん)たちを描いた漫画『乙嫁語り』の原画展。作者である森薫先生直筆のカラー、モノクロ原稿を中心に、100点以上のボリュームで展示されています。迫力の生原画を通して、壮大な乙嫁の世界をじっくりと楽しめる見ごたえある展覧会です。森薫先生の肉筆イラストを通じて、スミス一行や、アミルら乙嫁たちの軌跡と中央アジアの空気を、ぜひ会場で体感してみてください。

出典:リビングふくおか・北九州Web

展示エリアの入り口では大きなパネルがお出迎え。どんな展覧会なのか期待がふくらみます!

今回取材させていただくにあたり、案内してくださったのは、北九州市漫画ミュージアムの学芸員、石井さん。 「“乙嫁語り”は読んだことありますか?この展覧会は読者の方はもちろん、“乙嫁語り”を知らない人でも楽しんでいただける展覧会となっています。森薫先生はすべてアナログ(紙とペン)で描いています。だからこれだけの点数の原画展ができるんです。原画展の醍醐味は、その作家・作品を知らなくても楽しめるところ。実際に生で見て、原稿に残っている筆づかいや先生の思いを感じてほしいです」と話してくださいました。

カラー原画の美しさに、思わずうっとり

まず最初のエリアは、「彩りの乙嫁たち」。 このエリアでは乙嫁語りの単行本で使用されたカバーイラストの原画を見ることができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

『乙嫁語り』の舞台は19世紀半ばの中央アジア。ロシアの南下政策など歴史的な時代背景の中で、乙嫁たちの日常生活やロマンスを描いた作品で、オムニバス形式で話が進んでいきます。 キャラクターと、背景となる暮らしている土地の風景が別々に描かれており、データ上で合成されて完成するというカバーイラスト。ここではキャラクターと背景の絵が合成される前の原画を並べて見ることができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

アクリル絵の具で描かれたという原画は、よく見てみると、筆のあとや洋服の細かい刺しゅうの柄や質感など、印刷では気付けない部分までじっくりと見ることができます。鮮やかなカラー原画はとにかくキレイでした。 「ここまで細かく描けるのは、森先生が膨大な資料を読んだり調べたりしている証拠。原寸大で細かいところまで見ることができるのは、原画の特権ですね」と石井さん。

出典:リビングふくおか・北九州Web

その時代背景が見えるくらい、細かい所まで描き込まれているカラー原画 日常生活のワンシーンを切り取ったようなリアルな世界観に引き込まれそうになりました

ネーム、原稿、印刷後を一度に比較できる!

次は、モノクロの直筆原稿のエリア。各キャラクターのエピソードごとに展示されています。

「原稿をよく見てみると、修正された跡がほとんどなく描かれています。森先生は大変な描き込みでも苦にならないそうで、とにかく描くことが好きな方なんです。展示を見ていくと、作品初期から話が進むにつれて、背景や細かい模様など手で描ける幅が広がっているのが分かります」と教えてくれた石井さん。

出典:リビングふくおか・北九州Web

また、原画の下には同じシーンの小さなパネルが2種類並んでいます。これは、“ネーム”と“印刷されたもの”で、原稿が中間制作物なら、いわば“ラフ案”と“完成品”。今までいくつか原画展を見たことがありますが、この3つが並んで同時に見ることができる展覧会は、あまりなかったように思います。そんな貴重な展示に感動していると、「注目してほしいのが目の表現です。森先生の絵は、目で感情を伝えるパワーがあるんです」

出典:リビングふくおか・北九州Web

強い思いを感じるキャラクターの目。うっすらと見える青い線は、アシスタントさんに指示を出すためのもので、印刷では消えるそうです

出典:リビングふくおか・北九州Web

緊迫したシーンは、黒い画面になったり、集中線が増えたりするそう

森先生は動物を描くのも好きで、作品の中にもたびたび登場します。特に馬が好きで得意なんだそうですよ。

出典:リビングふくおか・北九州Web

展覧会のキービジュアルになっているイラスト。真ん中にあるのが原画です

キャラクターの特徴によって描く道具を使い分けている森先生。 「細いスタイルのキャラクターは、細い線で繊細に描かれていたり、黒い髪がきれいなキャラクターは、髪の毛の表現にこだわり、髪の毛だけで数種類の画材を使って描いています」と石井さん。

出典:リビングふくおか・北九州Web

数種類の画材を使って描かれている髪の毛のツヤの表現は必見!

出典:リビングふくおか・北九州Web

乙嫁たちの美しい原画が100点以上! 見ごたえあります

そして、北九州会場から単行本14巻収録の新章「馬競(うまくら)べ」の原画の展示が追加! ここでは早くも「乙嫁語り」の新章の世界観を生で感じられます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

14巻表紙のカラー原画も展示

原画の他にも興味深い展示の数々

日本と中央アジア5か国の外交関係樹立30周年を記念した、外務省認定の森先生デザインのロゴマークや、各国の情報を伝えるパネル展示もありました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

世界中で愛読されている『乙嫁語り』は、さまざまな言語で刊行されています。日本の漫画とはまた違った単行本を見ることができます。実際に手に取ってその違いを感じてみてください。

出典:リビングふくおか・北九州Web

サイズや装丁も国によって違うのが面白いところ

会場内のいたる所にある小さなパネルには、森先生のインタビューが。こここでは影響を受けた漫画や、漫画家になるきっかけなど森先生のパーソナルな部分に触れることができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

実物のネームやインタビューノート(もちろん直筆!)

出典:リビングふくおか・北九州Web

森先生が愛用している道具と同じもの。描くモチーフによって道具も使い分けているのが分かります

森先生が来場した際のイベントで実際に描かれたイラスト。これを話しながらサラサラと描いてしまうというから驚きです。そのイベントの映像を見ることができるコーナーもありました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

いちばん左のイラストは実際にペン入れまでして45分くらい。その他は15分くらいで描いてしまったそう

最後に森先生へ向けたメッセージノートが設置されています。メッセージを書いているのは、なんと海外の方も多いそうです。世界で愛されている作品なんだなと実感しました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

展覧会の感想や森先生へのメッセージなど、ぜひ書いてみて!

グッズコーナー

展覧会の最後あるのが、グッズコーナー。『乙嫁語り』のきれいなイラスト満載のグッズが並んでいます。お気に入りの一品を見つけてみてください。

出典:リビングふくおか・北九州Web

見てると欲しくなってしまうグッズがたくさん!

つい買ってしまったのが、「刺繍缶バッジ」。缶バッジの表面に、刺しゅうが施された布が張られているのですが、その刺しゅうの柄がどれもかわいいんです。全6種でどれが当たるかはお楽しみ!

出典:リビングふくおか・北九州Web

どれが当たってもかわいい。私が当たったのは、「ティレケの鷹」でしたよ

北九州と釜山、漫画がつなぐ文化交流

同時開催されているのが、「日韓若手漫画家が描く! ワンダーシティ北九州 完成報告展」。 日本と韓国(釜山)の若手漫画家たちが北九州に滞在し、北九州を舞台にしたストーリー漫画を描くという企画。滞在中に北九州市内各地へ取材に行き、それぞれが思う北九州を舞台に漫画を描き上げたんだそう。

出典:リビングふくおか・北九州Web

日本の漫画家さんの作品。舞台は若松で河童が出てきます…

若松と河童が登場する漫画がいくつかあったのが、個人的に面白いなと思ったところ。よっぽど河童の印象が強かったのでしょうか…他にもラブファンタジーや近未来ものなど、バラエティに富んだ作品が完成したようです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

韓国の漫画家さんの作品。こちらは門司港が舞台

学芸員の石井さんは、「北九州と釜山で漫画を通じて文化交流ができました。また、北九州を紹介できる良い企画になったと思います」と語ってくださいました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

完成した漫画が一冊の本に! WEBでも読むことができます

北九州国際漫画祭2023 大乙嫁語り展 会期:1月28日(日)まで 時間:11:00~19:00 ※入館は閉館の30分前まで 場所:北九州市漫画ミュージアム 企画展示室(北九州市小倉北区浅野2-14-5 あるあるCity5階) 休館日:毎週火曜日、12月31日(日)~2024年1月3日(水) 入場料:一般 800円、中高生 400円、小学生 200円、限定グッズ付き入場券 2300円(割引・減免無し)フラットポーチと缶バッジ2個(缶バッジは2個セット5種ランダム)付き ※入場券は当日券のみ、会場にて販売 ※通常入場券は現金もしくはPayPayで購入可、限定グッズ付き入場券は現金払いのみ対応 ※本入場券で、6階常設展示室も観覧可能 ※当日に限り再入場可能 ※通常入場券とグッズ付き入場券の購入で入場者特典ネームリーフレット1枚(絵柄は日替わり)が付きます 問い合わせ:℡093-512-5077(北九州市漫画ミュージアム) 公式サイト:https://tokorozawa-sakuratown.com/special/otoyometen/

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