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人づきあいが苦手な人にすすめたい「雑談力」が身につく5つのこと【コミュニケーションのプロ・齋藤孝先生に聞いた】

  • 2023.12.29

人と対面で会う機会も増え、改めて気づく雑談の難しさ。初対面だと気まずくなりがち……沈黙が怖い……そんな悩みを解決すべく、コミュニケーション論などを専門とし、多くの著書を執筆している齋藤孝先生に雑談力の大切さや、雑談力が身につく基本ルールを教えていただきました。
 

お話を伺ったのは……明治大学教授 齋藤孝先生

PROFILE

東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とし、多くの著書を執筆。『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)などベストセラーも多数。『図解 自省録 理性で運命を変える』(ウェッジ)が12月20日(水)に発売予定。

話し上手と雑談上手は違う! トーク術は必要ありません

雑談をテーマにした著書を多く執筆している齋藤先生。身近すぎて見落としがちだった〝雑談〞とは、一体なんなのでしょう。  

「雑談とは、会話ではなくコミュニケーションだと捉えてください。相手との距離を縮め、その場の空気をつかむ〝人間同士のおつき合い〞に近いもの。生活でのコミュニケーションはほとんど雑談で成り立っているので、とても重要なのですが、雑談の練習ってあまりしないですよね。歩き方も練習はしませんが、意識して歩くと体の使い方が変化するように、雑談も練習を重ねることで、どなたでも上手になっていくものです。書籍を出版した当時、実はそこまで雑談について皆さんが切迫した事情を抱えているようには感じていなかったのですが、発売後に大きな反響があり、少し驚いたというのが正直な感想です」

  SNSの普及やコロナ禍を経て、雑談への苦手意識が加速しているのではないかと先生は続けます。  

「行動制限のあった約3年間で人との接触が減り、雑談への苦手意識が助長されたという方は多いと思います。さらに急速に普及したSNS上で交わしている言葉も広くいえば雑談になります。情報の伝達だけではない、なにげないやりとりをする機会が急激に増えたといえるのではないでしょうか。メッセージアプリでは雑談をし続けているような状態です。そういった状況に負担を感じる〝雑談疲れ〞という現象が起きているようにも感じます」  

では雑談に苦手意識のある人は、まずどのように考え方を変えていけばよいのでしょうか。  

「雑談は、あいさつ+αだと考えてください。長い必要もなければ、おもしろさも求められません。中身がない話であることに意味があるのです。初対面の相手とならば、お互いが出会った理由を考えて話してみましょう。たとえばライブ会場で出会ったのなら、推しのことについて話すのがナチュラル。球場ならチームのこと。共通点を見つけると話しやすいですよね。数回お会いした人なら、前回会ったときに話した内容を振り返ってみましょう。あのときそうでしたよね、と続けてみる。私は1年前にお会いしたときの会話の続きから始めることもよくあります(笑)。 実は記憶しておくことは雑談においてとても大切なことです。その人の関心事や好きなことをひとつ覚えておくだけでも、雑談を続けることができます。冒頭でお伝えしたように、雑談はコミュニケーションです。人間関係を良好に保つという誠意の表れでもあります。その場の空気をなごませ、相手に安心感を与えることもできます。信頼を得て、社会性のある人だと認識されるような大切な意味を持っています。難しいからと拒否せずに、ちょっとしたコツを身につけて、雑談の苦手意識から卒業しましょう」  

知っておきたい、雑談の5つの基本

まずは雑談の正体を把握するべく、5つの基本をインプット。ひとつずつ解釈していけば、自然と雑談への恐怖心も薄れていきます。

【基本 1】 「中身のない」会話に意味がある!

会話は「要件を伝えるもの」と「要件以外のもの」に分けられます。「要件以外の会話=雑談、無駄話」はその場の空気を作るために必要なコミュニケーションなので、中身を求める必要はありません。

【基本 2】 「あいさつ+α」が雑談の基本スタイル

あいさつは雑談を始めるのに最適なタイミング。ただし、あいさつ=雑談と考えるのはNG。「近くにカフェができましたね」などと+αのネタを加えましょう。相手からひとこと返ってくれば雑談成立です。

【基本 3】 雑談の先に「結論」を求めない

結論が出てしまった雑談は、その時点で終了してしまいます。一般論を出して無理に話をまとめようとせず、結論が出る前に少しずつ話題をスライドさせていくことで、雑談は広がりを見せていきます。

【基本 4】 雑談はさっと終わらせてOK

雑談の終わらせ方がわからずにストレスに感じていたりしませんか? 結論がいらない雑談は、話の途中だとしても制限時間が来たら「それではまた」と切り上げる。これが〝心地よい雑談時間〞となります。

【基本 5】 コツを身につければ、誰でも上達するもの

雑談に話術やトーク力は必要ありません。場の空気をつかむためのコミュニケーションは、〝話を聞いて欲しい〞〝間がもつな〞と受け取ってもらうだけで十分。コツやノウハウを身につければ誰でも雑談上手に。

illustration:Kayo Yamaguchi edit & text:Hiroko Ishiwata web edit:Mina Ota
リンネル2024年1月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
 

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