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気鋭のクリエイターが作る台湾メイドの日用品が欲しい!

  • 2023.12.28
台北〈Kamaro’an House〉アミ族のナツ

Kamaro’an House

台湾原住民族・アミ族の伝統工芸を、現代の暮らしの中に

〈Kamaro’an〉は台湾原住民族・アミ族の伝統工芸に現代のデザインを加えることでモダンなプロダクト作りを行うブランド。

「豊かな水田が広がる花蓮に暮らすアミ族は、水稲と共生するシュロガヤツリという植物を乾燥させて編み、美しいゴザを作ってきましたが、徐々にその文化も失われつつあります」とは、自身もアミ族であり、クラフト製作を担当するナツさん。

台北〈Kamaro’an House〉アミ族のナツ
アミ族のナツさん。ゴザ編みの技術で作ったランプシェードは海外のデザインアワードも受賞している。
台北〈Kamaro’an House〉店内
台北のショップではバッグや雑貨が工芸品のようにディスプレイされている。

以前からアミ族の文化に興味を持っていたデザイナーの張雲帆さんの誘いを受け、ブランドの立ち上げに参加した。ナツさんが部族の工芸師から教わったゴザの作り方や、1本のラタンからカゴを編む技術、文化的な価値観。それらを最大限生かそうと生まれたデザインはシンプルかつ機能的で、美しい。

「生活から生まれた工芸には後付けしたデザインでは出せない機能美があります。伝統工芸はお土産のイメージが強いですが、暮らしに取り入れて日常的に楽しんでほしい。それを通して原住民族の文化に関心を持ってもらえたら最高です」(張さん)

台北〈Kamaro’an House〉革小物
革小物にはアミ族伝統の編み物技術を生かしたワンポイントの装飾が。下は携帯ポシェット3,900元。
台北〈Kamaro’an House〉。ペンケース
革製品はすべて植物性タンニンを使って鞣(なめ)したベジタブルタンニンレザー。ペンケース2,400元。
台北〈Kamaro’an House〉製作作業の様子
ショップでは職人が実際に手を動かす様子を見られることも。各種ワークショップも開催している。
台北〈Kamaro’an House〉ナツ、張雲帆
ナツさんと張雲帆さん(右)。今はアミ族に伝わる草木染めに夢中で、商品化を目指している。

Information

Kamaro’an House

カマロアン・ハウス
住所:台北市大安區新生南路三段11巷2號
TEL:02-2356-3616
営:15時~18時(土・日13時〜)
休:月曜・火曜、不定休
水曜~金曜はアポイント制。アポイントはHPから
イベント情報はインスタグラム(@kamaroan.studio)でも発信中
HP:https://www.kamaroan.com/

DESIGN PIN

先人の知恵から続々と生まれる、サステイナブルな日用品

台湾の優れたデザインに贈られるアワード「ゴールデンピン・デザイン賞」を受賞したアイテムを展示・販売する〈DESIGN PIN〉。中でも近年注目されているテーマは“循環”で、限られた資源を有効活用することで環境への負荷を減らそうとするサステイナブルな日用品が人気だ。

「土地が狭く、資源が乏しい台湾では昔からリサイクルが盛ん。その技術やシステムを生かして、若いクリエイターたちが環境に配慮したプロダクトを作り始めています。価格が高くなりがちなサステイナブルアイテムも、グッドデザインという付加価値のおかげで手に取ってもらえる機会が増えました」と広報担当の魏岑芳さん。

コーヒーかすを素材に使ったタンブラーやリサイクルガラスのカップ、海に廃棄された漁網からできたサングラスなど、それぞれのプロダクトが作られた背景やストーリーを知ると、アイテムへの興味がいっそう増してくる。買い物することで地球の環境問題解決に貢献できるのも嬉しい。

台北〈DESIGN PIN〉店内
ファッション、文具、生活雑貨など、様々なジャンルのグッドデザイン・アイテムが大集結!
台北〈DESIGN PIN〉店内
飛ぶ鳥をかたどったペンなど、ユニークなものも。
台北〈DESIGN PIN〉店舗ファサード
ショップがあるのは台北のカルチャー発信地・松山文創園區。期間限定の展示やワークショップも行う。
台北〈DESIGN PIN〉オーガニック調味料
オーガニック食品や調味料などを扱うコーナーも。
〈CULTU-RE EXPERIMENT〉のノートカバー
〈CULTU-RE EXPERIMENT〉のノートカバー/革のような質感を持つペーパーレザー製のノートカバー。コピーやカレンダーなど不要になった裏紙を挟んでノートとして使えるアイデア商品で、紙の節約に一役買う。550元。
〈TZULAÏ〉のリサイクルタンブラー
〈TZULAÏ〉のリサイクルタンブラー/抽出後のコーヒー豆のかすなど、これまで使い道のなかった廃棄物から作られたタンブラー。プラスチックや人体に影響を及ぼすメラミンも不使用で、大部分は生分解可能。400ml。750元。
〈A Plastic Project〉のエコバッグ
〈A Plastic Project〉のエコバッグ/廃棄されたプラスチック袋から作った再生プラスチック素材のエコバッグ。大容量&肩掛けできるデザインで、買い物中もノーストレス。汚れても気軽に水洗いできるのがいい。129元。
〈W GLASS〉のカップ
〈W GLASS〉のカップ/廃棄されたガラスを原料に、台湾の人気デザインブランド〈HMM〉と国内のガラス職人がタッグを組んで作ったカップ。高い透明度と美しい色は熟練の職人技があってこそ。800元。
〈元泰竹藝社〉の歯ブラシ
〈元泰竹藝社〉の歯ブラシ/竹製品の老舗〈元泰竹藝社〉が自社で栽培した竹と馬毛で作った天然素材100%の歯ブラシ。好みで毛の硬さや細さを選べる。写真は弾力のある黒馬の毛を使ったタイプで120元。
〈Hibāng Youyu〉のリサイクルサングラス
〈Hibāng Youyu〉のリサイクルサングラス/海に廃棄された漁網を原料にしたサングラス。使わなくなった商品をリサイクルに出すと次回購入が25%オフになる循環システムも。専用ケースもリサイクル素材。2,800元。
〈re-ing〉のプレート
〈re-ing〉のプレート/生長が速い竹の繊維を100%使ったプレート。素材の竹は農薬不使用、着色にも化学物質を使わないなど、環境と使う人を同時に思うアイテム。廃棄後は土に還る。2枚セットで250元。

Information

DESIGN PIN

ショップが入っている松山文創園區は週末にはクラフト市が開催されるなど、若手作家に出会えるイベントも多い。

住所:台北市信義區光復南路133號(松山文創園區)
TEL:02-2745-8199(内線#279)
営:9時30分~18時
休:無休
HP:https://www.designpin.com.tw/

林靖蓉

台湾ガラス工芸の扉を開いた、若き職人

日本の大学でデザインを学ぶ中でガラス工芸に魅了され、東京の専門施設で技術を習得した林靖蓉(リン・セイヨウ)さん。台湾は昔からガラス産業が盛んだが、その多くは工業製品。工芸としてガラスを扱うクリエイターはほとんどおらず、林さんはその草分けだ。

「ガラスの最大の魅力は光と影」という言葉通り、林さんの作品はシンプルだが、光の具合によって多彩な影を作る。その濃淡や揺らぎも作品の一部なのだ。アトリエがあるのは台北の〈誠品生活〉松菸店内で、ガラス張りの工房では、林さんら職人が燃え盛る炉の前でガラス作りに向き合う姿が見られる。有料で皿やカップなど、吹きガラスの技法を使った器作り体験も可能。林さんの作品も一部販売している。

台北〈林靖蓉〉の「frozen」シリーズ
氷に気泡が入ったような「frozen」シリーズ。グラス3,300元〜。
台北〈林靖蓉〉林靖蓉
24時間火を絶やさない高温の炉。ガラス工芸は体力勝負。
台北〈林靖蓉〉製作作業の様子
熱して軟くなったガラスを素早く整形。これを何度も繰り返す。
台北〈林靖蓉〉ガラス制作に使う道具
炉以外に機械は使わず、製作はすべて手仕事。道具もシンプル。
台北〈林靖蓉〉ガラス作品
透き通る美しさが魅力の吹きガラス作品。中央のプレート1,980元。

Information

KUN’S CRYSTAL

工房は〈誠品生活〉松菸店内。フロアの片隅に突然燃え盛る炉が現れるインパクトがすごい!

住所:台北市信義區菸廠路88號2樓(誠品生活)
TEL:02-6636-5888(内線#1643)
営:11時〜22時
休:無休
Instagram:@kuns_crystal

NAKNAK

町工場×デザイナーが起こした化学反応

金属や木材加工など多分野で高い技術を持つ専門工場が多い台湾。その底力を生かしてプロダクト作りを行うのがデザイナーの曽文彦さんだ。2015年に始めたブランド〈NAKNAK〉は、町工場の技術を用いてデザイン性の高い商品を作ることがコンセプト。

「職人たちは細かいデザインのリクエストも忠実に再現できる頼もしいパートナー」と曽さん。スチールを極限まで薄くし、無数の穴を開けることで軽量化した収納ボックスを皮切りに、木材加工工場とコラボしたスツールなど、様々な台湾メイドのプロダクトを生み出している。町工場の活性化と産業技術の継承、そしてデザイナーの成長。三方よしの取り組みは、世界からも注目を集めている。

台北〈NAKNAK〉店内
鉄のワイヤーを折り曲げて作ったハウスナンバー各780元。
台北〈NAKNAK〉デザイナー・曽文彦
曽さんが座っているのは木材加工工場と作ったスツール。
台北〈NAKNAK〉傘立て
柔らかな曲線が美しい傘立てにも職人の技術が詰まっている。
台北〈NAKNAK〉アルミのハウスナンバー
くすみのあるメタリック感が渋いアルミのハウスナンバー。
台北〈NAKNAK〉鉄製の「THE BOX」
金属加工工場の技術が生んだ鉄製の「THE BOX」が最初の商品。

Information

Design Butik

インテリアショップが多い富錦街近くにあるデザインショップ。主に北欧のインテリアや生活雑貨を扱う。

住所:台北市松山區民生東路五段38號
TEL:02-2763-7388
営:10時30分~20時
休:無休
HP:https://www.designbutik.com.tw/

FENKO CATALYSIS CHAMBER

紙をアートに。製紙会社3代目の挑戦

日本と同様、台湾では古くから紙作りが盛んに行われてきた。その文化を新しい形で発展させようとしているのが、製紙会社の3代目のリノ・リーさんだ。時代とともに需要が減る国産の紙の魅力を伝えるため、アートと紙の可能性を探るプロジェクト〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉を始動。

紙を使ったインスタレーションの発表や、紙素材のファッションアイテムの製作など、斬新な紙の使い方を発信する。ショールーム兼ショップでは紙の販売も。「初めて触る質感の紙や見たことのない色、発見がたくさんあると思います。ブックカバーにしたりインテリアのアクセントにしたり。紙の使い方は無限大。その楽しさを体験してみてください」

台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉手漉きで作られた紙.jpg
伝統的な手漉(す)きで作られた紙も扱う。中国語の色の表現も美しい。
台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉リタ、リノ
製紙会社の2代目リタさん(右)と娘で3代目のリノさん(左)。
台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉紙おみくじ
紙に触れ、好きな質感を選ぶ「紙おみくじ」など雑貨も販売。
台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉店内
ショップの一角には様々な紙を展示・解説するコーナーも。
台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉ソックス
紙が原料のソックスは、もちろん洗濯OK。コートなども製作中。

Information

FENKO CATALYSIS CHAMBER(鳳嬌催化室)

引き出しに入ったサンプルを自分で取り出して見るスタイル。紙は1枚から購入可。

住所:台北市中山區長安東路二段74號
TEL:02-2515-0688
営:13時~18時
休:土曜・日曜
HP:https://fenko.com.tw/

羅翌慎

若手作家が生む、おおらかな台湾茶器

コロナ禍以降、台湾の若い世代の間では伝統的な茶道を習う人が増えているそう。羅翌慎(ルゥオ・イーシェン)さんは、台湾茶を楽しむ人々が熱い視線を送る作陶家の一人。伝統にとらわれない自由なフォルムの茶壺(ちゃふう)は、いい意味で台湾茶器のイメージを大きく変えてくれる。

「台湾茶は道具や作法に縛られない、自由な文化。だから僕も自由に茶器を作っているし、使う人にもそうであってほしい」と羅さん。釉薬の研究を日々続けながら、温かみのあるクリーム色やシャープな黒など、表情の異なる茶器を生み出している。「もちろん台湾茶以外に使っても楽しいと思うよ」と、至っておおらか。販売は個展やポップアップが中心なので、滞在中に巡り合えたらラッキー。

台北〈羅翌慎〉茶壺
羅さんが作る茶壺はデザインも色も大きさも様々で、表情豊か。
台北〈羅翌慎〉羅翌慎
台北郊外に窯を構え、静かに作陶する。残念ながら窯は非公開。
台北〈羅翌慎〉蓋付きの茶杯
「蓋付きの茶杯は一人用の茶壺としても使えるよ」と羅さん。
台北〈羅翌慎〉調合する釉薬
様々な材料を調合して作る釉薬。これは研究中のものだそう。
台北〈羅翌慎〉茶器
台湾茶だけでなく、紅茶やコーヒーにも使えるデザインのものも。

Information

無事生活(ウーシーシェンフォ)

完全予約制の茶芸館。茶器の販売も行い、運が良ければ羅さんの作品も。予約は館のSNSから。

住所:台北市信義區吳興街461號
TEL:02-2720-5070
営:13時~20時
休:月曜・火曜
HP:http://www.caketrees.com/

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