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自宅でつくる"ウスターソースと中濃ソース"

  • 2023.12.27
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寒い冬には、野菜とりんごをコトコト煮て、自家製のソースをつくってみませんか?手づくりできることにも驚きますが、その簡単さにも驚きますよ。料理研究家の荻野恭子さんから、日々役立つ調味料を習いました。

自宅でつくる"ウスターソースと中濃ソース"

■ウスターソースと中濃ソースのつくり方

料理研究家・荻野恭子さん
料理研究家・荻野恭子さん

スーパーの売り場を覗けば、ありとあらゆる調味料が並んでいます。ウスターソースや中濃ソースもそう。どの家庭にも常備しているなじみのある調味料の一つですから、毎回、次はどれにしようか迷う方もいれば、わが家はこれ!と決めている方も多いでしょう。

実はウスターソースって、びっくりするくらい簡単に手づくりできるんですよ。こうした、買うのが当たり前の調味料を自分でつくってみると、私たちがふだん何気なく口にしているものが、どんなふうにつくられているのかはもちろんのこと、必要なもの、よけいなものもくっきりと見えてきます。

私の自家製ソースづくりは、女子栄養大学に通っていた学生時代から、かれこれ半世紀。子供たちもこのソースが大好きで、この味で育ったおなじみの調味料なの。

野菜や果物、スパイスなどの材料を揃えたら、水を加えてコトコトと煮込むだけ。食材からゆっくりと抽出されたエッセンスを漉したものがウスターソースです。さらに、漉した後の材料をミキサーでピューレ状にすれば、中濃ソースまで一緒につくれて一石二鳥。市販のものと比べて色が淡いのは、カラメルを入れていないから。その代わりに、ビネガーを黒酢にして、少し色を濃くしています。

手づくりソースはフライにかけるだけではなく、和洋中さまざまな料理に使える万能調味料。レシピを見て、ぜひ覚えてくださいね。

今回のもう一つの調味料はアンチョビ。魚を塩漬けにした発酵調味料は世界中にありますが、イタリアやスペインでは片口いわし、北欧ではにしん、カンボジアなどでは淡水魚と、国によって原料の魚はいろいろ。ここでは真いわしを使ってご紹介しますが、脂が多く酸化しやすい魚なので、仕込む前に水でよく洗うのがポイント。「鰯七度洗えば鯛の味」ということわざもあるくらいなのよ。こちらも、アンチョビと同時に副産物として魚醤がつくれます。

料理に塩気と旨味をプラスするアンチョビは、使い慣れるととても重宝するもの。レシピを参考にしながら、ソース同様に、活用してもらえるとうれしいです。


◇材料 (つくりやすい分量)

玉ねぎ:1/2個
にんじん:1/2本
セロリ:1/4本
りんご:1個
にんにく:1片
生姜:1片
煮干し:10g
塩:100g
きび砂糖:150g
黒酢:1/4カップ
トマト水煮:1缶(400g)
オールスパイス:大さじ1/2
タイム:小さじ1/2
セージ:小さじ1/2
黒胡椒:小さじ1/2
ローリエ:1枚
赤唐辛子:1本


(1)下ごしらえ
玉ねぎ、にんじん、セロリ、りんごは角切りに。にんにく、生姜はすりおろす。煮干しは頭と内臓を取る。

下ごしらえ
下ごしらえ

(2)材料を中火にかける
鍋に下ごしらえした材料すべて、さらに残りの材料をすべて入れ(砂糖のみ2/3量を入れる)、水5カップを注いで弱めの中火にかける。

材料を中火にかける
材料を中火にかける

(3)煮込む
ポコポコと小さく沸く火加減を保ちながら、20〜30分ほど煮込む。アクが出てくるが、スパイスまですくってしまうので取らないのがポイント。

煮込む
煮込む

(4)漉す
野菜や果物がくったりと柔らかくなったらザルで漉す。ここで材料を押したりして汁を漉しすぎないこと。

漉す
漉す

(5)ウスターソースの完成
漉した液体を鍋に戻し、軽くとろみがつくまで火にかけたら、ウスターソースの完成。

ウスターソースの完成
ウスターソースの完成

(6)中濃ソースをつくる
④で漉した材料からローリエと唐辛子を取り除き、⑤のウスターソースから1カップを取り分け、ミキサーにかけてピューレ状にする。

中濃ソースをつくる
中濃ソースをつくる

(7)仕上げ
⑥をあいた鍋に入れ、砂糖の残りを加えてひと煮立ちさせたら、中濃ソースの完成。

仕上げ
仕上げ
完成
完成

――教える人

「料理研究家 荻野恭子」

料理研究家。世界中を旅しながら現地の家庭やレストランで料理を習い、食文化を研究するのがライフワーク。これまでに訪れた国は65カ国以上。特に“塩”は長年追いかけ続けているテーマの一つで、近著に『塩ひとつまみ それだけでおいしく』(女子栄養大学出版部)がある。ほかに『手づくり調味料のある暮らし』(暮しの手帖社)など著書多数。自宅で料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」を主宰。


※この記事の内容は、『四季dancyu 2022冬』に掲載したものです。

文:鹿野真砂美 撮影:伊藤徹也

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