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【旬のスイーツ】心も身体も温まるミックススパイス“アップルパイスパイス”で作る「アップルパイジャム」

  • 2023.12.25
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冬はリンゴの美味しい季節。生で食べるのはもちろん、加熱してとろける美味しさを味わうのもお楽しみの一つです。今回は欧米ではスーパーなどで売られている「アップルパイ用スパイスミックス」を作り、それを使ったアップルパイジャムの作り方を神奈川県葉山で旬の野菜を育て、植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんに教えていただきます。中でも、アップルパイミックスに欠かせないオールスパイスは、心も身体も温まる冬の香り。5種のスパイスを使った奥深い香りをお届けします。

世界で愛されるアップルパイ

リンゴのレシピ

日本では、品種改良が進んだ「酸味をなくした」生食で美味しいリンゴが流通の大半を占めています。そのため、リンゴは一般的には、生で食べる機会が多いですよね。欧米では甘い「デザートアップル」(生食用のリンゴ)と、酸味の強い「クッキングアップル」(調理用のリンゴ)が区別され、種類が豊富だからなのか、リンゴを使ったデザートのレシピをよくみかけます。

アップルパイ
アメリカンスタイルのアップルパイ。

リンゴといえば、やはりアップルパイ! デザート界のクィーン♡ 世界各地で作られ、多種多様なレシピが存在します。「たかがアップルパイ、されどアップルパイ」。地域性が強く、生地やリンゴの違い、味付け、焼き方など、さまざまな違いが見られます。

編み目のようにパイ生地をかぶせたアメリカンスタイル、フランスでは「タルトタタン」や「ショソン・オ・ポム」、イギリスの「アップルクランブル」は温かいカスタードソースを添えて。「アップルパイ、ところ変われば」なのです。共通する点は、どれも美味しいってことかしら。

アップルパイ

私にとってイチバン馴染みがあるのは、アメリカ版のアップルパイ。酸味の強いゴロッとしたリンゴにザクッとしたパイ生地、ビックリする程大きな1ピースに、アイスクリームをドーン! と1スクープのせて食べるのがアメリカンスタイル。どんなにお腹がいっぱいでも、こればかりは別腹。家庭的なデザートなので、各家庭でなんとなくおばあちゃんやお母さんのレシピがある。そんなケーキです。

旬のリンゴの味を堪能する、シンプルなアップルパイもいいですが、リンゴはスパイスとの相性が抜群。ひと手間スパイスを加えることで、奥深くリッチな味わいになります。

「アップルパイスパイス」とは

スパイス

今回は欧米ではスーパーのスパイスコーナーで「アップルパイ用スパイスミックス」というものが売られています。アップルパイに合うスパイスが何種か調合された、便利なものです。日本では見かけませんし、そもそも単純なスパイスが混ざったもの。簡単に家庭で作れるので、あれば何かと便利。焼き菓子には大体使えちゃうし、濃く淹れたミルクティーに加えてスパイスティーにも! なんならカレーの隠し味にも使える優れものなのです。

アップルパイスパイス
市販のアップルパイスパイス。

基本的には、シナモンがベースとなり、そこにナツメグやオールスパイス、カルダモンなどが入ります。自分で調合すると、お気に入りの香りが作れるのがいいところ。

中でも、今回覚えていただきたいのが「オールスパイス」です。

心も身体も温まる「オールスパイス」

オールスパイス

オールスパイス、あまり馴染みのないスパイスかもしれません。でもね、じつはホリデーシーズン、a.k.a. ベーキングシーズンには大活躍のスパイスなのです!

コロンブスがオールスパイスを発見した時に、胡椒と間違えたため、「ピメント」として英語化されてしまった、という話があるように、見た目はなんとなく胡椒。オールスパイスの主要な産地「ジャマイカ」にちなんで、「ジャマイカンペッパー」と呼ばれることもあるようです。

オールスパイスとコショウ
左がオールスパイス、右が胡椒。よく見るとサイズも質感も別物。

肝心の味はというと、なんだか複雑で温かい香り。スパイスに馴染みがあれば、「ん? クローブ? シナモン? どっちなの?!」と答えてしまうかも。

オールスパイスは漢方でも重宝され、三香子(さんこうし)と呼ばれます。その名の通り、「クローブ・シナモン・ナツメグ」の3種の香りを併せ持つオールスパイス。爽やかな香りと、ほのかに甘く苦い後味が特徴です。

オールスパイス
ジャマイカではジャークチキンに欠かせないスパイス。

まるでミックススパイスのような雰囲気の名前で、一人三役をこなす名役者! 消化促進、血行促進、鎮痛作用、免疫力アップなど、嬉しい作用を持つオールスパイス。単品のクローブ、シナモン、ナツメグと併せて使うことで、それぞれのクセをうまく調和させることができます。心も身体も温まるオールスパイスは秋冬の焼き菓子にピッタリな香りと、効能を持ち合わせているのです。

自分流アップルパイスパイスを作ろう

アップルパイスパイス

とにかく簡単、混ぜるだけ。キッチンにこのスパイスを常備しておけば、きっと冬のお菓子作りが楽しくなるはず。シンプルなクッキーにこれを加えれば、「アップルパイクッキー」という名の、キャッチーなクッキーが作れます。

シナモンさえあればいいんじゃない? と思うかもしれません。もちろんそれでもいいのだけれど、スパイスを5種類使うことで、ミステリアスで複雑な風味と奥深さが出てきます。ツベコベ言わずにお試しを!

■ 材料

スパイス

(※以下全てパウダースパイス)

  • シナモン 大さじ3
  • ナツメグ 小さじ1
  • カルダモン 小さじ1
  • オールスパイス 小さじ1
  • ジンジャー 小さじ1/2

■ 作り方

① 材料を全て瓶に入れ、よく振って混ぜて完成。
※スパイス量の配合はお好みで調節してみてください。

アップルパイスパイスで作る「アップルパイジャム」

アップルパイジャムの作り方

さぁて、ここからが本番よ♡ 先ほど作ったスパイスミックスで、アップルパイ風のジャムを作ります。スパイスミックスを使うことで、味が本格的に!っていうか、もぅアップルパイです。毎朝アップルパイが食べられるとしたら、それってパラダイス。トーストに塗って至福の時をご堪能あれ! もちろんアップルパイのフィリングにも使えます。

日本のリンゴで作るなら、酸味と香りが強く煮崩れしにくい「紅玉」がおすすめです。

■ 材料

アップルパイジャムの作り方
  • リンゴ 6個 ※今回は紅玉。酸味のあるりんごを使いましょう
  • 砂糖 3カップ ※今回は三温糖
  • アップルパイスパイス 大さじ1〜2
  • レモン汁 1個分
  • レモンゼスト(レモンの皮) お好みで

■ 作り方

① リンゴは芯を除き、1cm厚と5mm厚の2パターンで切る。

アップルパイジャムの作り方
切る厚さを変えることで、薄いほうはトロっと溶けてソースに、厚いほうはリンゴの食感が残ります。

② 鍋に①と砂糖、アップルパイスパイス、レモン、レモンゼストを加え、よく混ぜて、30分置いて水分を出す。

アップルパイジャムの作り方
アップルパイジャムの作り方

③ 鍋に②を移して、強めの中火で絶えず混ぜながら15分〜20分ほど煮る。水分がなくなりトロっとしたら出来上がり。

アップルパイジャムの作り方
リンゴによって火の通りは違うので、様子を見ながら煮てください。

しっかりとトーストしたパンにバターと、このジャムをたっぷり塗ればアップルパイトーストに。

アップルパイジャム

市販のパイシートにアップルパイジャムを挟んで焼けば、お手軽アップルパイに早変わり。少し温めてアイスクリームにトッピング♡ 想像するだけでもほっぺたが落ちちゃう。

スパイスやハーブを使えば、レパートリーを増やさずに、毎日のメニューを豊かにすることができます。人間も料理も奥行きが肝心。本当に簡単だから、面倒くさがらずにLet’sトライ♡ 新しい経験はきっとアナタの知性となり、2024年を豊かに暮らす手助けをしてくれるでしょう!

Credit
制作・レシピ・写真・文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。

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