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母がつくってくれた"うちのコロッケ"|ライター・本庄彩

  • 2023.12.24

ライターの本庄彩さんのひと皿は、実家のコロッケ。特別なときに食べるハレの料理でもなく、いつもの普段の食事でもなく、ただ美味しいとか、好きだとか、ということでもなく、常に身近にあって食べ続けたいもの。人生や思い出と、いつも、いつでも結びついている。そんな、一生食べ続けたい「ひと皿」を食いしん坊に聞きました。

母がつくってくれた"うちのコロッケ"|ライター・本庄彩

■つくり、食べ続けたい鮭のコロッケ

実家のコロッケは俵型だった。そして具材は、ジャガイモに+挽肉ではなく、+塩鮭。これがどうやら、ちょっと変わっていると知ったのは、いい大人になってから。

ある日、話を聞いて興味を持った夫が再現してくれた。母がつくっている所を見たことがなかったので、すべて想像だ。ゆでてマッシュしたジャガイモに、焼いた鮭をほぐして混ぜて。

それはそれでとてもおいしかったのだが、改めて母につくり方を聞いてみると、鮭は焼くのではなくゆでる、ほぐすだけでなく、すり鉢でしっかりあたるのが肝要という答えが返ってきた。「よく潰さないと、細かい骨が残ってたりするでしょ」という親心にグッとくる。

そうして用意した自家製鮭フレークを、ジャガイモがピンク色に染まるぐらいたっぷり加える。味付けは鮭の塩気しだい。メークインを使うのでホクホクというよりクリーミーな中に、鮭の旨みが溶け込んでいる。

ここに合わせるのは、ソースではなく決まってケチャップ。バッドマナーを詫びておくが、こっそり中身を先に食べ、ケチャップにまみれた衣だけ味わうのも大好きだった。サイズはイメージしていたよりかなり小さめ。子どもが食べやすいようにと、小さな俵型をせっせとつくってくれていたのだなあ。

レシピを確認して以来、ふと恋しくなった時につくるコロッケ。今の自分なら、つまみにも最高の一品だと考えてしまう。ビールも間違いないし、ぽってりした感じの白ワインもいい。サクッとした揚げたてを口に運ぶと、“今日は鮭(シャケ)コロよ!”という母の告知に小躍りしていた記憶が鮮やかによみがえる。

思い出の味は、家族となった夫とも大切に食べ続けたい、そんな一品としてリバイバルを遂げた。

コロッケ
コロッケ

■本庄さんの“うちのコロッケ”のつくり方


◇材料 (2人分)

じゃがいも:一袋(約6個)(メークイン)
塩鮭:2切れ(中辛)
小麦粉:適量
卵:1個
パン粉:適量
揚げ油:適量


(1)じゃがいもの下準備
じゃがいもは皮をむいて一口大に切り、鍋に入れてかぶるぐらいの水を加え、箸がスッと通るまでゆでる。火が通ったら湯を捨て、再び火にかけて粉吹きにしてからマッシュする。

(2)鮭の下準備
鮭は少量の湯で(水が多いと塩気や旨みが抜けるため)ゆで、骨やアラを除いてすり鉢に入れて細かくすり潰す。

(3)混ぜ合わせる
じゃがいもと鮭を合わせ、塩気が足りなければ塩を足し、胡椒を加えてよく混ぜ合わせる。

(4)揚げる
一口大の俵型に成形し(約20個程度)、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけて転がしながら揚げる。具に火が通っているので、衣がきつね色に色づけばOK。

文・写真:本庄彩

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