1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【南青山】根津美術館 企画展「繡と織 -華麗なる日本染織の世界-」

【南青山】根津美術館 企画展「繡と織 -華麗なる日本染織の世界-」

  • 2023.12.25
  • 3869 views

繡(ぬい)と織(おり)の華麗なる染織品コレクション

根津美術館で開催中の企画展「繡と織 -華麗なる日本染織の世界-」[2023年12月16日(土)-2024年1月28日(日)]を見て来ました。 奈良時代の上代裂(じょうだいぎれ)や、桃山~江戸時代の能装束(のうしょうぞく)、小袖(こそで)など、400余点を超える染織品コレクションから選んだ優品が並ぶ展覧会です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

 

出典:リビング東京Web

根津美術館

仏を荘厳する《上代裂 緑地草花文刺繡(じょうだいぎれ みどりじくさはなもんししゅう)》

三角形の緑色の綾地に、刺し縫(さしぬい)で、色彩豊かに宝相華(ほうそうげ)をあらわした《上代裂 緑地草花文刺繡》。 宝相華や葉の輪郭をぼかす配色は奈良時代の刺繍の特徴の一つ。仏殿を荘厳する幡(ばん)の最上部を飾った幡頭と考えられています。

正倉院宝物の中にも、同様の色や模様の幡頭が数点あるそうです。

 

出典:リビング東京Web

上代裂 緑地草花文刺繡 絹 日本・奈良時代・8世紀 根津美術館蔵

桃山の豪華さ、江戸の粋、能装束《着付 紅地鱗向い鳥丸模様(きつけ べにじうろこむかいとりまるもよう)》

三角形の鱗文が連なる所々に、向い鳥の丸文が配されている大胆なデザインの能装束《着付 紅地鱗向い鳥丸模様》(手前)。初公開です。

表着(うわぎ)の下に隠れる着付(きつけ)でありながら、全身に文様を施しているところが桃山の豪華さか、江戸の粋でしょうか。 袖幅が身頃よりも狭い形は、桃山時代から江戸時代初期の小袖の特徴を示しているそうです。

 

出典:リビング東京Web

手前、着付 紅地鱗向い鳥丸模様 絹 日本・桃山~江戸時代・17世紀 根津美術館蔵

小袖《振袖 綸子地桐鳳凰模様(こそで りんずじきりほうおうもよう)》

能装束や、小袖は、一領(いちりょう)、二領(にりょう)と数えるそうです。

紅白、黒地と地色を変えて、同じ模様を刺繍と鹿子絞(かのこしぼり)であらわした三領(さんりょう)一式の振袖《振袖 綸子地桐鳳凰模様》。 背と袖には優雅に舞う鳳凰(ほうおう)、右の袖から胴、裾にかけて配された桐(きり)の模様が豪華です。

武家(ぶけ)の婚礼儀式を模倣した裕福な町人の婚礼衣装(こんれいしょう)と考えられているそうです。 武家の婚礼では、花嫁は式の合間に、白無垢(しろむく)、赤無垢(あかむく)から黒地の打掛へと着替えたとか。色鮮やかなお色直しです。

 

出典:リビング東京Web

右側三領、振袖 綸子地桐鳳凰模様 絹 日本・明治時代・19世紀 根津美術館蔵

多彩な同時開催展を楽しむ 平安仏教美術、中国故事、青銅鏡、茶事

多彩な同時開催展も、根津美術館の楽しみの一つ。企画展にちなんだ展示や、干支にちなんだモチーフなど、様々な展示を楽しむことが出来ました。

展示室3 仏教美術の魅力-平安時代後期の仏像-

衣に美しい截金(きりかね)文様が残る不動明王立像(ふどうみょうりゅうぞう)(左)。縫と織の染織品コレクションとの競演です。

右側は、定朝様(じょうちょうよう)の典型的な作風を示す平安時代後期の和洋彫刻の菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)。 平安時代後期の彫刻は、時の宮廷や貴族の美意識が反映されているそうです。均整の取れた優美なプロポーションです。

中央は、素朴な彫りが味のある薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)。

 

出典:リビング東京Web

左から、不動明王立像 木造彩色、薬師如来坐像 木造彩色、菩薩立像 木造彩色 平安時代後期・12世紀 全て根津美術館蔵

展示室4 青銅鏡「辰年だ!龍が来た!」

古代中国の青銅器(せいどうき)は、根津美術館の白眉とも言えるコレクションです。 今回は「辰年だ!龍が来た!」と題して、中国・後漢時代(2~3世紀)から唐時代(8世紀)の龍をモチーフにした青銅鏡が展示されていました。

空想上の動物と言われている龍ですが、雲を呼び天に昇る神秘的で力強い姿は、中国皇帝の象徴とされたことも。 令和6年の干支にちなんだ縁起の良いモチーフです。

 

出典:リビング東京Web

青銅鏡展示風景 根津美術館

展示室5 中国の故事と人物

絵画の画題として好まれてきた中国の故事。特に人物画は、後世の人々の模範や理想として愛好されたそうです。 可愛らしい童子の姿で描かれた《寒山拾得図(かんざんじっとく)》他、中国の故事にちなんだ絵画を見ることが出来ます。

 

出典:リビング東京Web

寒山拾得図 芸愛筆 紙本墨画 日本・室町時代・15~16世紀 根津美術館蔵 小林中氏寄贈他、中国の故事と人物 展示風景 根津美術館

展示室6 寿茶会-来福を願う-

季節の茶道具の取り合わせは、新春を寿ぐ吉祥の意匠や文様の取り合わせです。 《朱漆手桶水指》の朱色が、新春の茶席に華やかさを演出します。 松竹梅など吉祥の文様で埋め尽くされた《祥瑞蜜柑水指(しょんずいみかんみずさし)》(下)。江西省景徳鎮窯で日本向けに作られた染付だそうです。

 

出典:リビング東京Web

朱漆手桶水指 赤地友哉作 木胎漆塗 日本・昭和時代・20世紀他、茶道具取り合わせ 根津美術館蔵

 

出典:リビング東京Web

祥瑞蜜柑水指 景徳鎮窯 中国・明時代・17世紀 根津美術館蔵

晩秋、初冬の庭園

紅葉も終わりに近付いた根津美術館の庭園。 静けさに包まれた晩秋から初冬の冬枯れの庭園で、今年1年を振り返ります。

 

出典:リビング東京Web

根津美術館 庭園

日本染織の華麗なる繡と織を楽しむ

根津美術館、企画展「繡と織 -華麗なる日本染織の世界-」は、2024年1月28日(日)まで。 金糸銀糸の唐織(からおり)の豪華な能装束。刺繍と鹿子絞の婚礼衣装など、繡と織の技法が魅せる華麗なる日本染織の世界。 年末年始を飾るのに相応しい展覧会です。是非お出かけください。

 

出典:リビング東京Web

左から、着付 紅地流水源氏車花模様 絹 日本・江戸時代・18 ~ 19世紀、舞衣 薄紫地葡萄栗鼠模様 絹 日本・江戸時代・19世紀、折枝散蒔絵衣桁 柴田敬哉作 木胎漆塗 日本・大正時代 大正9年(1920)、唐織 金地枝垂桜花車模様 絹 日本・江戸時代・19世紀 全て根津美術館蔵

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、卓上カレンダー2024(1‚100円)、御題銘香 和(550円)を購入。 御題銘香 和は、毎年宮中の歌会始のお題にちなんだ、新春のおたきものとして調合されたそうです。

 

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 根津美術館

〇根津美術館 NEZU MUSEUM URL:https://www.nezu-muse.or.jp/ 住所:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1 TEL:03-3400-2536 開館時間:午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで) 休館日:毎週月曜日、ただし1月8(月・祝)は開館し、翌9日(火)は休館 ※年末年始 12月25日(月)から1月4日(木)まで休館 展示室 / ミュージアムショップ /庭園 / NEZUCAFÉ

〇交通:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分 都バス渋88 渋谷~新橋駅前行〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分 駐車場:9台(うち身障者優先駐車場1台)

〇企画展「繡と織 -華麗なる日本染織の世界-」 会期:2023年12月16日(土)-2024年1月28日(日) ※日時指定予約制です。 入場料:オンライン日時指定予約 一般 1,300円(1,100円)、学生 1,000円(800円) ・( )内は障害者手帳提示者及び同伴者1名の料金。中学生以下は無料。 ・当日券(一般 1,400 円、学生 1,100 円)も販売しています。 (予約優先。当日券は待ち時間が発生することがあります。混雑状況によっては当日券を販売しないことがあります。) ・1グループ 10名まで予約可能。

元記事で読む
の記事をもっとみる