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「もう、大変な思いをしなくていい」ベビーカーのまま入れる“設置型授乳ブース”が東京駅の地下1階に設置された理由

  • 2023.12.22
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小さな子どもを連れて外出した際、安心して授乳できる空間があると、心強いですよね。 しかし、日本では赤ちゃん100人に対して、授乳室はわずかに3%程度しかありません。 ※出生数が約810,000人に対し授乳室は約30,032室(引用:Babypeko HPより)

「従来の授乳ブースはカーテンタイプが多いからセキュリティ面が不安」 「多目的“トイレ”で授乳なんて……」 などと悩む方が多いのが現状です。 これらの課題を解決するために、ベビーカーのまま入室できる鍵付きの設置型授乳ブース『Babypeko(ベビペコ)』が、東京駅の地下1階に設置されました。 今回MOREDOORでは、販売元のGREATEST DAY株式会社の代表取締役CEO・中塩屋久美子さんに、インタビューを実施。 導入にいたるまでには、中塩屋さんご自身のママとしての経験と、授乳ブースをめぐるさまざまな葛藤がありました。

Babypekoを設置することになった背景

ーーーBabypekoを新丸の内ビルディング地下1階に設置することになった背景を教えてください。 ●中塩屋さん:Babypekoをデビューさせるなら、公共交通機関に近くどこからでもアクセスしやすい場所がマストだと考えていました。 そこでターゲットを東京駅周辺と定めて、多くのビルを所有する『三菱地所』へダメ元でコンタクトを取りました。 すると奇跡的にも弊社の要望を聞いて頂けるチャンスをいただき、たくさんの障壁を乗り越え、今回の設置に結びつけることが出来ました。

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●中塩屋さん:多くの商業施設では授乳スペースが配置されているも、あるのは上層階。 泣いている子をあやしながらエレベーターを探したり、ベビーカーを持ち運ぶのって本当に大変ですよね。 そのため、ママやパパが電車を降りてすぐにほっと一息つける場所として利用できるよう、三菱地所との連携で、丸ノ内線東京駅の改札からすぐの通路に授乳スペースを設置することに。 実際に利用した方からは「駅から出てすぐがありがたい」「しっかり授乳ではなくちょっとした休憩所としても使える点がいい」といった反響を頂いています。

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特に力を入れたのは安全面

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ーーー『箱型タイプ』と『円柱型タイプ』を提供しているBabypeko(ベビペコ)。設置型授乳ブースがカタチになるまでに力を入れたことや大変だったことはありますか? ●中塩屋さん:まず大切にしたのは、ベビーカーのままでの入室が可能という点です。 また私自身、育児をしながらカーテンの授乳室で「他の人に見られてしまう不安」を感じた経験から、鍵をかけられるという安全面に力を入れました。

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●中塩屋さん:さらに防犯システムとしてセコムを導入しました。 貧血になってしまったり、妊娠中のママさんなどが体調を崩されてしまった際に、ブース内のボタンひとつでセコムの担当者へ直接連絡することができます。

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●中塩屋さん:また、設置場所が多くの人が行き交うことから、授乳ブースに「天井がないのは不安」「背の高い人から覗かれてしまうのでは」と声がありました。 しかし、消防法という高いハードルにぶつかり……。 利用者からの不安な気持ちと消防法のどちらもクリアするために解決策を模索し、『目隠し板の増設』をすることにしました。 火災が起きた時のことを考慮するため、天井に格子状の板を取り付けていましたがそれを外し、スプリンクラーの水が室内に入り込むように工夫。 また従来のBabypekoの高さをさらに高くするため、約40㎝の目隠し板を取り付けました。 全体の高さが約2.5mとなり、天井との隙間を狭くすることで、外部から覗き見されない安全な授乳ブースを実現。 「もう、大変な思いをしなくていい」と世の中の親御さんたちに伝えていきたいと思っています。

背景には歯がゆい経験が

ーーー今回の取り組みに至ったきっかけは? ●中塩屋さん:実は以前、他社(業界最大手)が展開している個室のベビーケアルームの販売代理店をしていました。 その時の活動を通じて、施設の方が「子育て世代に必要なものではあるけれど……」と必要性を認識いただく一方で、高額な費用や決裁権の問題に直面し、モヤモヤしていたんです。 さらに従来の授乳ブースは、ベビーカーを外に置く必要がありました。 授乳をするとき、ベビーカーを置いて、荷物を全て持ち、さらに赤ちゃんを抱っこして中に入るママたちの状況をみて「一人で利用することのハードルの高さ」を感じ“どうにかしたい”と。

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私にできることは、デザイン性や最先端の技術を敢えて取り入れず、少しでも施設側が導入しやすいよう価格を抑えた商品を作り提供することではないか。 そうすることで施設側の選択肢を広げ、ママやパパが安心して利用できるようなブースを全国にたくさん増やしていけるのではないかと思いました。 そうした思いから理想に近い商材を探し、宮城県の『みやぎ・どこでも授乳室プロジェクト』にたどり着いたんです。

宮城県のプロジェクトとは

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ーーー宮城県のプロジェクトはどのように知りましたか? ●中塩屋さん:まずは自分の理想に近しいブースを作っている企業がないか、授乳室などのワードをしらみつぶしに検索しました。 そして宮城県内で試験的に運用していた『みやぎ・どこでも授乳室プロジェクト』にたどり着き、この授乳ブースの販売をさせてもらえないかと直接交渉。 その後、製作を担当された木材会社を紹介してもらい、何度か打ち合わせを重ね、ようやく自身の理想に近いプロジェクトの展開につながりました。 その時は、素直に「嬉しい!これだ!」と思いましたね。

今後のBabypekoについて

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ーーー今後の展望はどのようにお考えですか? ●中塩屋さん:施設側に負担をかけたくないため、広告収入を導入しました。 授乳スペースの設置を無料で行っていただけるので、スピード感をもってどんどん全国に展開していきたいと思っています。 また、授乳スペースをカスタマイズできるようにしていきたいです。 利用者や施設側の要望に合わせて、壁面の色やデザインを調整し、安心できる空間を提供したい。 ママやパパがほっこりする色合いや、お子さんにも楽しんでもらえる絵本のようなデザインを取り入れ、居心地のよい授乳スペースをお届けしたいです。 そして、鍵付き授乳ブースといえばベビペコと認識してもらい、全国の駅や施設に設置してもらいたいですね。 どこかでベビペコを見かけたら、SNSなどを通して発信してくださると嬉しいです!

子育てをする家族や社会に伝えたいこと

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ーーー最後に、子育てをする家族や社会に対してメッセージをお願いします。 ●中塩屋さん:現在、育児をされているママやパパの中には、SNSやニュースで育児に関する不安な出来事を耳にすることがあるかもしれません。 「一人で階段で困っているとき周囲の手を借りていいのかな?」 そんな時、周りを見回してみてください。 手を差し伸べてくれる人がいるかもしれません。 周りにいる人に助けを求めることをためらわなくても大丈夫です。

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また上の世代の方の中にも、見守りたいと思ってくださっている方もたくさんいるはず。 「お節介なんじゃないかな」と感じている方もいるかもしれませんが、子育て中のママやパパはきっとちょっとしたことで手助けしてもらえると温かい気持ちになると思います。 私自身も、困っている方を見かけたら声をかけたいと思っています。 怖い出来事ばかりではなく、優しい世界もあります。 一緒に育児を支え合っていけたら嬉しいです。 ※画像出典:GREATEST DAY株式会社様、PRTIMES (MOREDOOR編集部)

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