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【日本橋】三井記念美術館「国宝 雪松図と能面×能の意匠 特集展示 新寄贈能面」

  • 2023.12.22

国宝《雪松図屛風》に映える華やかな能装束と能面の美

三井記念美術館で開催中の「国宝 雪松図と能面×能の意匠 特集展示 新寄贈能面」[202312月8日(金)〜2024年1月27日(土)]を見て来ました。

年末年始恒例の国宝《雪松図屛風》の展示と共に、同館所蔵の能面と能装束が華やかに会場を彩ります。 能面と能の意匠をテーマとして、能の奥深い世界が広がる展覧会です。

※※特別な許可を得て撮影しています。館内は一部を除き撮影禁止です。 ☆撮影可能エリア 展示室4 国宝雪松図屏風と能装束を展示しているエリア *動画撮影は不可。 *フラッシュ、三脚、自撮り棒などを使用した撮影はご遠慮ください。

出典:リビング東京Web

三井記念美術館「国宝 雪松図と能面×能の意匠特集展示 新寄贈能面」

豊かな表情を見せる能面の美

能楽は、室町時代、観阿弥・世阿弥親子が大成したと言われています。能装束と共に、能面が作り出す豊かな表情が、登場人物の奥深い心のひだを表現する仮面劇です。

見どころは、能面の「表情」。人間が持つ様々な感情は、顔の表情に現れますが、能面は、一見、無表情のように見えます。 能舞台では、一転して能面に刻まれた彫りの絶妙な造形が、深い心のひだが織りなす幽玄の世界を垣間見せてくれます。

能装束や、能舞台、謡(うたい)と共に、彼岸と此岸を繋ぐ幽玄の世界に誘う能面の表情の美に注目です。

重要文化財《翁(白色尉)(おきな はくしきじょう)》

天下泰平と五穀豊穣を祈る儀式的な演目『翁』の面、重要文化財《翁(白色尉)》。 白い眉に、への字に笑う目、深く刻まれた皺が穏やかな表情を見せます。口は「切顎」で表情も豊かに。

天から響くような声で、天下の安寧と豊かな実りを祈ってくれそう。 能面は、透明な板に展示されていますので、背後からも見ることが出来ました。

出典:リビング東京Web

重要文化財 翁(白色尉) 伝春日作 室町~桃山時代・14-17世紀 三井記念美術館蔵

重要文化財《孫次郎(ヲモカゲ)》

伝孫次郎作の重要文化財《孫次郎(ヲモカゲ)》。

気品のある若い女の面は、孫次郎が夭折した妻の面影を写したという伝承があるそうです。 愛する人の「ヲモカゲ」と共に美しい思い出として永遠に残そうとしたのかもしれません。

能面は、顔の左右が完全な対称ではないそうです。 無表情に見えて豊かな感情表現が出せるのは、人間の顔と同じ様に左右が微妙に異なるからかもしれません。

出典:リビング東京Web

重要文化財 孫次郎(ヲモカゲ) 伝孫次郎作 室町時代・14-16世 三井記念美術館蔵

出典:リビング東京Web

重要文化財 孫次郎(ヲモカゲ) 伝孫次郎作 室町時代・14-16世 三井記念美術館蔵

華麗なる競演、国宝《雪松図屛風(ゆきまつずびょうぶ)》と能装束(のうしょうぞく)

毎年恒例の国宝《雪松図屛風》の展示は、能装束との華麗なる競演でした。能装束の中でも特に豪華な唐織(からおり)と縫箔(ぬいはく)が屛風の左右に色鮮やかに並びます。

能装束には様々な種類があり、組み合わせや着方によって配役の性格を表すそうです。色彩や文様に注目して見ると、能の面白さが伝わって来ます。

江戸時代、京都の上層町衆だった三井家は、教養として能との関わりもあったとのこと。明治期以降も、三井家の人々は梅若実の能楽指南を受けて度々能をたしなんでいたそうです。 国宝《雪松図屛風》を能舞台の背景の松に見立てて、三井家の人々が能装束で華やかに舞う姿が、鼓や謡の音曲と共に浮かんできそうな展示風景です。

\一部写真撮影OK📷✨/

※国宝雪松図屏風と能装束を展示している展示室4は撮影可能エリアです。撮影に際しては会場の注意事項をご確認ください。

出典:リビング東京Web

中央、国宝 雪松図屏風 円山応挙筆 江戸時代・18世紀、左右、能装束展示風景 全て三井記念美術館蔵

出典:リビング東京Web

左から、紅白萌黄段亀甲石畳雲板蝶火焔雲笹模様厚板唐織 明治時代・19世紀、国宝 雪松図屏風 円山応挙筆 江戸時代・18世紀 どちらも三井記念美術館蔵

琳派の意匠のような《紅繻子地観世水扇面散模様縫箔(べにしゅすじかんぜみずせんめんちらしもようぬいはく)》

観世水に大きな扇面をあしらった琳派風の意匠を感じさせる《紅繻子地観世水扇面散模様縫箔》。

出典:リビング東京Web

紅繻子地観世水扇面散模様縫箔 明治時代・19世紀 三井記念美術館蔵

能面作家・橋岡一路(はしおか かずみち)氏、新寄贈能面

ヲモカゲを写した《孫次郎(まごじろう)》、《獅子口(ししぐち)》

能面作家・橋岡一路(はしおか かずみち)氏より新寄贈の能面が公開されていました。 伝孫次郎と伝わる重文《孫次郎(ヲモカゲ)》の写し、橋岡一路作《孫次郎》(中央)。古面の持つ面影を、孫次郎の思いとともに優しく大切に写し取った面です。

右は、能の宝生宗家の許可を得て写した《獅子口》。大きく開いた口と、頬の盛り上がり、鋭い眼光は威厳と迫力があります。 左は、室町時代、伝日光作の《翁(白色尉)》。

出典:リビング東京Web

橋岡一路作 右から、獅子口 平成14年(2002)1月1日、孫次郎 平成2年(1990)11月27日、伝日光作 翁(白色尉) 室町時代・14~16世紀 全て三井記念美術館蔵

感情まで写し取る卓越した技巧、橋岡一路作、古面の写し

明治時代、京都の三井家に出稽古で出入りをしていた橋岡家は、三井家の東京移住後も深い繋がりがあったそうです。

橋岡一路氏は、昭和6年(1931)に観世流の名家である橋岡家に生まれましたが、戦後は能楽の衰退により能面作家の道へ。

多くの能面の制作、修復も手掛け、三井記念美術館所蔵の能面の修理も行っているそうです。 展示室に並ぶ橋岡氏の手による古面の写しは、どれも表情豊かで深い奥行きを感じさせる、圧巻の展示風景です。

出典:リビング東京Web

橋岡一路作 新寄贈能面展示風景 三井記念美術館蔵

心惹きつける能面と能の意匠が持つ魅力

三井記念美術館「国宝 雪松図と能面×能の意匠 特集展示 新寄贈能面」。 能面の「表情」に注目した本展は、能をよく知っていても、初めて能面を見たとしても、能の持つ心を惹きつける深い魅力を伝えてくれます。

国宝《雪松図屛風》と共に、能の世界を堪能できる展覧会です。屏風図のある展示室4は撮影可能エリアになりました。 是非お出かけください。

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、ひとくちミニ羊羹 ほうじ茶(250円)、国宝《雪松図屛風》(部分、三井記念美術館蔵)の榮太郎あめ(540円)、青海波文様の懐柄紙(440円)、A5クリアファイル 能面3種(275円)を購入。

榮太郎あめの箱は、裏面が葉書になっています。青海波(せいがいは)は、お正月に丁度よいおめでたい文様です。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 三井記念美術館

〇三井記念美術館 URL:https://www.mitsui-museum.jp 住所:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階 ハローダイヤル:050-5541-8600 交通:東京メトロ銀座線三越前駅A7出口より徒歩1分、東京メトロ半蔵門線三越前駅徒歩3分A7出口より徒歩1分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B9出口より徒歩4分、都営浅草線日本橋駅徒歩6分B9出口より徒歩4分

◯「国宝 雪松図と能面×能の意匠 特集展示 新寄贈能面 会 期:202312月8日(金)〜2024年1月27日(土) 開館時間:10:00〜17:00(入館は 16:30 まで) 休館日:月曜日(但し1月8日は開館)、年末年始 12月25日(月)~1月3日(水)、1月9日(火) 入館料:一般 1,000(800)円、大学・高校生 500(400)円、中学生以下 無料 ※70歳以上の方は800円となります。(要証明) ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。 ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。 ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。

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