1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 【エシカルな暮らしのヒント集】 中村暁野さんの家族みんなでつくる、地球に自分にやさしい暮らし

【エシカルな暮らしのヒント集】 中村暁野さんの家族みんなでつくる、地球に自分にやさしい暮らし

  • 2023.12.19

神奈川県の自然豊かな里山で、夫と2人の子ども、愛犬と一緒に暮らす中村さん。家族みんなで相談しながら、無理なく楽しく続けられるエシカルな暮らしを実践中。身近なところから今すぐできる、地球にも人にもやさしいエシカルな暮らしのアイデアやヒントをご紹介します。一人ひとりの小さな積み重ねが、日々の暮らしを豊かにし、よりよい未来へとつながります。

お話を伺ったのは……中村暁野さん

PROFILE

文筆家・小商店主。2017年より東京から少し離れた里山に家族4人で移住。ひとつの家族を一年間にわたって取材し、丸ごと一冊家族を取り上げる雑誌『家族と一年誌 家族』を創刊以降、さまざまな媒体で家族や暮らしをテーマに執筆活動を行う。2021年には5年間自身と家族のことを毎日綴った日記をもとに書籍『家族カレンダー』(アノニマ・スタジオ)を上梓。エシカルグッズを扱うショップ「家族と一年商店」も営む。13歳の女の子、7歳の男の子の母。

家族で相談しながら、無理なく続けるエシカルライフ

元々エシカルな暮らしに関心があったという中村さん。「プラスチックのゴミを捨てる人がいなくなりますように」と、娘の花種(かたね)さんが七夕の短冊に願い事を書いたのは8歳のとき。娘の思いや言葉を「そうだね」と言って流したくない、「願い事が叶わない世界なんだ」と思って大人になってほしくない。そんな思いから、身近なところからプラスチックの削減を始めたそうです。

「ペットボトルをまずはゼロにしようと思い『プラスチックペナルティポイント』を作りました。そのポイントを溜めてしまった人は、ペナルティで家族になにかおごるとか。そんなゲームのような目標を立てたら、買う必要があるときってほぼなくて、結局買わなかったですね。意識して『買わない』と決めたらマイボトルを必ず持って行くし、買わずにすむようになりました」

「プラスチックペナルティポイント」を最初のきっかけに、キッチンペーパーやラップはサラシや蜜蝋ラップで代用するなど、キッチンまわりの使い捨てのものを減らしたり、スキンケア用品をノープラスチックに、掃除機をほうきに……と、できるところから今までの習慣を変えたそう。そんな無理なくエシカルな暮らしを続けるには、家族との対話が大切だと中村さんは語ります。

「いつでも家族で相談しますね。母である私が猛烈に傾倒してしまうと、夫や子どもがついてこれなくなることもあると思います。それぞれが譲れるところと譲れないところがあるなかで、何だったらやめられるかをみんなで相談。でも手放すことばかりを考えると窮屈になるので、手放すものと取り入れるもののバランスも大事にしています。夫は買い物が好きなので、やめようやめようとディフューズしていくのではなく、『エシカルなアイテムを取り入れよう』とか、DIYなど夫の得意なところを発揮してもらったり。お互い歩み寄れるラインを常に探るのは大変ですが、それこそが今世の中の縮図そのものなのかなと思うので、家族との対話は常に大切にしています」

もともと別荘だった一軒家を日々リノベーション中。水場跡にはキッチンストッカーを製作。棚には量り売りで購入した瓶の食材や、エシカルな調味料などが並びます。黒板には息子の樹根(じゅね)くんによる、中村家の台所の哲学「NO PLASTICS」とお魚の絵が描かれています。すぐ目にとまるところに目標を掲げることで、普段から意識を。

【Ethical Action 01】 毎日使う暮らしの必需品を環境にやさしいものに変える

いきなり実践するのは少しハードルが高く感じてしまうエシカルな暮らし。まだ何も行動に移せていない人でも、最初のアクションとして取り組みやすいのが、生活必需品の見直し。日々の生活で必要になる日用品や消耗品を見直し、環境に配慮したアイテムを選ぶことで、脱プラスチックやゼロウェイストにつながります。小さな行動や心がけ次第で、地球も人も心地よくいられるエシカルな暮らしにシフトすることができます。

■ 掃除機をやめてほうきでいつでも気軽にお掃除

「家電は必要最低限なもののみで、掃除機、エアコン、テレビはありません」。
掃除には、棕櫚(しゅろ)のほうきを使っているという中村さん。ほうきはプラスチックごみになる消耗品が出ないばかりか、充電したり、コードを引きずって掃除をする煩わしさもなく、手軽でお手入れも簡単! しなやかな棕櫚から作られたほうきなら、ホコリが舞い上がりにくく、掃き心地もふわっとやわらか。床面を傷つけることなく、細かいゴミまでよくとれて、お部屋の隅々まで掃除することができます。

■ 洗面まわりやコスメ・スキンケア用品も脱プラスチック!

プラスチックのパッケージが使われがちなコスメやスキンケア用品。「歯ブラシや歯磨き粉、リップや下地などのメイク用品も環境にやさしいものを選んでいます」 #01:柄の部分にプラスチックを使わない、バンブー(竹)製の歯ブラシを使用。歯ブラシとしての役目が終わったらお掃除用に。 #02:天然原料のみをベースとしたDavidsのハミガキ粉。リサイクル可能なアルミ製のチューブも◎。 #03:100%自然由来成分で作られた沖縄発の「サンゴに優しい日焼け止め」。パッケージはスチール缶を使用。 #04:アルミニウムフリー、パラベンフリーで敏感肌にもやさしいNOOSA BASICSのオーガニックデオドラントクリーム。 #05:ニュージーランド発のサステナブルブランドethiqueのプラスチックフリーのリップバーム。紙製のパッケージで、中身を使い終わったら、家庭でコンポスト(堆肥化)が可能。

■ キッチンまわりの掃除も地球環境にやさしく

キッチンまわりに多いプラスチックのパッケージや合成洗剤なども、環境に配慮したものや手作りのものにチェンジ! #01:エシカルクリーニングに欠かせない、産業廃棄物であるホタテの貝殻をアップサイクルしたマルチパウダー。「掃除、洗濯、消臭など家中どこでも使える万能選手です」。 #02:「ガラス製のスプレーボトルにアルコール度数の高いウォッカを入れて除菌・消毒スプレーとして使っています」。ノズル部分とスプレー部分は真鍮製でプラスチック製のものより丈夫。 #03:遮光瓶には、みかんなどの柑橘類の皮を活用した自作のオレンジクリーナーを。手にも環境にもやさしく、水に入れて煮出すだけだからお手軽で簡単!

■ 日々のお買い物もゼロウェイストを意識

梱包材や包装材、容器など、ゴミが出てしまいがちな日々のお買い物。中村さんは、量り売りのお店なども積極的に利用し、買い物時のゴミを出さないように心がけています。 :「陶器製の卵ケースは夫が見つけて買ってきてくれたもの。この卵ケースを持参して、週に一度、自然農を営むファームの平飼い卵を購入しています」 :柿渋染めのオーガニックコットンに蜜蝋コーティングが施されたバッグ。「蜜蝋コーティングされているので、油分の多いドーナツや惣菜パンなどを買って入れても油が染み出さず安心! マルシェやイベントのときのテイクアウトにも便利です」

【Ethical Action 02】 家族みんなで手作りやDIYを楽しみ愛用する

バブル時代に別荘として建てられた一軒家を自分たちの手で改装しながら暮らしている中村家。「子どものおやつなども、自分たちで作るとゴミを減らすことができるので、作れるものは作るようにしています」と中村さんは語ります。自分で手作りをしたり、修理をすることも、エシカルな暮らしの醍醐味です。

■ 夫作のレコードプレイヤー&本棚

存在感抜群の本棚もおしゃれなレコードプレイヤーも、空間デザイナーとして活躍する夫・俵太さんの手作り!

玄関を開けてまず目に飛び込んでくるのが、天井までの高さを誇る大きな本棚。家族全員本が大好きという中村家にぴったり。それぞれのお気に入り本がずらりと並び、廊下がライブラリーのような素敵な空間に。

ドイツのインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムスのデザインによるBRAUN社製のレコードプレイヤーを彷彿させる白のレコードプレイヤー。アトリエに放置された板の中から状態のよいものを選んで制作。ブルーを基調としたリビングに白のレコードプレイヤーが映えます。

■ 手作りチンキは毎日のスキンケアにも使える万能選手

「身近な草花をウォッカにつけて精製水でわり、チンキを作っています。化粧水がわりに使ったり、髪につけたりしています」
右:ヘビイチゴ&ドクダミ 中:ローズマリー 左:ミモザ

■ 息子手作りのランタンで癒やしのひとときを

息子・樹根くんが学校で作ったランタンは、自分たちで漉いた和紙を使用。アクセントになっている羊毛も自分たちで紡いだもの。ほんのりとした灯りに心も癒やされます。
「キャンドルは老舗の和ろうそくメーカーが手がけている、米ぬかを使ったお米のキャンドルです」。米ぬか蝋を100%使用したキャンドルは、環境にやさしいのはもちろん、蝋の垂れや油煙が少ないところもうれしいポイント。

■ 風合いのあるソファーカバーは自分たちで藍染め

「ソファカバーも自分たちで藍染めしました。色がだいぶ褪せてきたので、もう一度染め直したいですね」。経年変化を楽しみながら長く愛用できる藍染め。使うほどに少しずつ色が抜け、その独特の風合いも魅力。リネンのカーテンは中村さんのお母さんの手作り。

photograph: Mari Yoshioka edit & text: Mina Ota
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる