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【注目商品】累計20万台以上販売「ミライスピーカー」何がすごい?他製品との違いは?メーカーに聞いてみた

  • 2023.12.16
曲面デザインが特徴の「ミライスピーカー・ホーム」(サウンドファン提供)
曲面デザインが特徴の「ミライスピーカー・ホーム」(サウンドファン提供)

テレビに接続することで、テレビの音声をより聞き取りやすくする「ミライスピーカー・ホーム」(メーカー希望小売価格で税込み2万9700円)というスピーカーが話題となっています。この製品は、音響機器メーカーのサウンドファン(東京都台東区)が製造、販売しており、同社によると2020年5月の発売以降、累計で20万台以上を売り上げているということです。

そもそも、ミライスピーカーは、一般的なスピーカーとは何が違うのでしょうか。開発経緯などについて、同社マーケティング本部の広報担当者に聞きました。

曲面の振動板を採用し音を広範囲に届ける

Q.そもそも、「ミライスピーカー」の開発経緯について、教えてください。一般的なスピーカーとは何が違うのでしょうか。

担当者「ミライスピーカーは、当初、法人向けの製品として販売していました。主に加齢を理由に聞こえに問題を持つ人が、空港や銀行などで流れるアナウンスを聞き取りやすくなるようにという目的がありました(現在、法人向け製品は製造完了)。

きっかけは、当社創業者のお父さまが難聴になったことで、言葉の聞き取りにくさを改善する音響機器を製造したいと考えて、2013年に開発を始めました。

試行錯誤を重ねる中で転機となったのは、音楽療法を研究する大学教授から『蓄音機の音は耳の遠い高齢者にもよく聞こえる』という話を伺ったことです。

その後、蓄音機のラッパ部分の曲面をヒントに、曲面型の振動板を採用したスピーカーを開発。2015年10月に『ミライスピーカー・ボクシィ』という製品名で発売。航空会社の空港カウンターや銀行の窓口などで、アナウンスの拡声器として採用されました。法人用のミライスピーカーは、これまでに計4種類を販売しています。

ミライスピーカーと一般的なスピーカーとの違いは、音の指向性です。一般的なスピーカーの場合、円すい型の振動板を採用しており、主に前方に向かって音が届く仕組みとなっています。当然のことですが、音は距離によって減衰し、遠くなるにしたがって小さくなります。

ミライスピーカーの場合は、独自技術による曲面型の振動板を採用しているため、言葉が聞こえやすい音質でより広く、遠くまで届くのが特徴です。

この現象は、オルゴールと下敷きを使って再現することができます。オルゴールと下敷きを密着させて、下敷きを曲げた状態と曲げない状態とでそれぞれオルゴールの音を出した場合、音の聞こえ方と音量にはっきりとした違いがあるのが分かります」

Q.2020年5月に家庭向けの「ミライスピーカー・ホーム」を発売したのはなぜなのでしょうか。発売後の製品の評判はいかがでしたか。

担当者「元々、小型タイプのミライスピーカーの開発にも挑戦していたのですが、2018年にミライスピーカーがテレビ番組で紹介された際に、『家庭向けのミライスピーカーを作ってほしい』というご要望を1000件以上いただいたこともあり、発売を決定しました。

聞こえに問題を抱えている人は、大音量でテレビを見る傾向にあり、家族や近隣住民とトラブルになるケースがあります。また、日本で難聴者は1000万人以上いるにもかかわらず、難聴者の補聴器の保有率は15%程度という調査結果もあり、製品の需要があると判断しました。

2020年5月に『ミライスピーカー・ホーム』を自社通販サイトのほか、アマゾンや楽天といった外部の通販サイトなど、ネット通販(EC)のみで販売を開始しました。

当時は新型コロナウイルスの流行による外出自粛の影響で、テレビの視聴時間が増え、通信販売を利用する人も増えたため、売り上げが順調に伸びました。その後、テレビ通販や家電量販店などに販路を拡大したところ、製品の認知度が急速に高まりました。

特に2022年は、高田純次さんが出演するテレビCMの放送を開始したことで販売数量が急増し、1年で約10万台を販売しました。現在も売れ続けています。

お客さまからは『ミライスピーカー・ホームで音の聞こえが改善された』という感想を多くいただく一方、言葉の聞こえにこだわり、あえてモノラルで開発したため、『モノラルなのが残念』『もう少し音声の質を上げてほしい』などのご意見もいただき、改善の余地がありました。

そこで、お客さまの要望に応えるべく、2023年10月にステレオタイプの『ミライスピーカー・ステレオ』(メーカー希望小売価格で税込み3万9600円)を発売しました。言葉の聞こえやすさはもちろん、映画や音楽がより立体感をもってステレオで楽しめるのが特徴です。

WHO(世界保健機関)が公表した報告書では、2050年に世界で約25億人が難聴を抱えて生活すると予測されています。当社がアメリカで市場調査を行ったところ、今後の需要が見込まれたことから、2023年11月には、同国でもミライスピーカー・ステレオの販売を開始しました。今後、ヨーロッパや中国での販売も検討しています」

どんな人が購入している?

Q.主にどのような人が「ミライスピーカー・ホーム」「ミライスピーカー・ステレオ」を購入しているのでしょうか。聴力に問題のない人が使った場合、メリットはあるのでしょうか。

担当者「自社の通販サイトを例に挙げると、両製品とも、ミライスピーカーを使用したい人が自分のために購入するケースのほかに、テレビの音量を大きくして見ている親にプレゼントをするという目的で購入するケースも多いです。

さらに、耳が聞こえにくくなった高齢の人だけでなく、聞こえに問題を感じていない人がミライスピーカーを使うケースもあります。

例えば、小さな子どもがいる人が、子どもが寝た後にテレビを見る際に使うケースのほか、台所で料理を作りながらテレビの言葉をはっきりと聞きたいときに使われたというケースなどを確認しています。このほか、外国映画の視聴時に使うと音声がクリアに聞こえるため、リスニング力の向上につながり、外国語の勉強に役立つという感想もいただいております。

ミライスピーカー・ステレオについては、広めの部屋でご家族と一緒にテレビで映画や音楽を楽しみたい場合に使うのもお勧めです。特に家族や親戚が集まりやすい年末年始やお盆の時期にぜひ使ってみてはいかがでしょうか」

Q.ワイヤレスイヤホンやワイヤレススピーカーを使う人が増えていますが、今後、ワイヤレスタイプのミライスピーカーを開発する予定はありますか。

担当者「今のところ、ミライスピーカーのワイヤレス化の予定はありません。ワイヤレスタイプのスピーカーの場合、電波によってうまくつながらないことがあるほか、接続する際のペアリング設定などの手順が必要です。

現行のミライスピーカーは、高齢の人にも簡単に使っていただけるよう、ケーブルでテレビとスピーカーをつなぐだけの仕様としています」

聞こえには個人差がありますが、同居する家族がテレビの音量を上げるようになったり、言葉が聞こえにくいと訴えたりするようになった場合、ミライスピーカーの購入を検討してみるとよいかもしれません。

オトナンサー編集部

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