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菅野美穂と訪れる「ザ・ホテル青龍 京都清水」。90年前に建てられた小学校がモダンなホテルとして蘇る

  • 2023.12.16

今回小誌撮影チームが滞在したのは、1933年に建てられ、2011年に閉校となった京都市立清水小学校を保存・再生した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。講堂や校長室など、当時の面影をそのまま残しつつも、モダンに生まれ変わったこちらのホテルは、オトナミューズ世代の京都旅の拠点にぴったり。雰囲気、居心地、立地、食事と全てが揃った理想のステイがここに……。

京都の「町衆」の心意気を 未来につなげていきたい

明治2年に下京第二十七番組小学校として開校し、昭和8年に現在の場所に移転・新築された清水小学校。平成23年3月に小学校としての幕は閉じたが、その歴史を受け継ぎ、「ヘリテージホテル」として生まれ変わったのが、ザ・ホテル青龍 京都清水。ここでは、このホテルのコンセプターを務めた川村裕文さんに、お話を伺った。

「もともと番組小学校は当時の地元の人・町衆の寄付によって建てられたものなんです。こんなハイカラな小学校を作るの、かっこいいよね。スペイン瓦とか、ほとんどそのまま。タイルも焼き直して使っているし、フロントは用務員室だったんですよ。階段とかもね、子どものサイズに合わせているから大人が歩くのは結構大変。でもあえて当時のまま残してるんです。手すりとか傷だらけでしょ(笑)。ホテルを訪れたアラン・デュカス(編集注:フランス出身でモナコ国籍の有名シェフ)が、“この傷がいいね”って言ってくれた。僕が一番こだわったのもその部分で、全体の歴史とかヨゴレをどうやって残すか。この空間が何より一番じゃないですか。空とか緑とか学校のにおい。それをどうやって残すか、心休まる施設にするか。見せ場でドーンと驚かせるのではなく、じわじわ記憶に残るような、味わいのあるホテルにしたかった」

コの字型に配された3棟をつなぐ大階段。傾斜地に建てられているため、それぞれの棟の階層が異なる。正面のテラスでモーニングコーヒーをぜひ。

小学校だったころの写真や地域にまつわる資料などが展示されている「アーカイブコーナー」。驚く程当時の姿が残されていることが分かり感動。

シンプルで居心地のいい48の客室を揃える。写真の「テラスツイン パゴダビュー」からは、法観寺・八坂の塔や京都の街並みを望むことが。

全面ガラス張りが気持ちのいいゲスト専用のラウンジ。法観寺・八坂の塔と四季折々の自然を眺めながら軽食やドリンク、お点前体験などが楽しめる。

食を通して学びを得る小学校の「給食」をテーマとしたコース料理「九食」。京都及び近隣県の食材を用い、一品ごとに想いを込めて。

―当時の小学校の写真を拝見すると、非常にモダンで驚きます。

「京都の町衆の文化はやっぱり粋だよね。当時は文化的にも経済的にも豊かだったんだと思う。街のためとかカルチャーっていう意識が大きかった。この小学校を見ても“これからの若い人たちにどう育ってほしいか”という願いが形に表れているなと。今回のコンバージョンも、“残す”ことを再優先とした。正直ゼロから作るほうがお金も時間もかからないんだけどね(笑)。いいチームに恵まれたと思う。このプロジェクトに携われたことは、僕の人生にとってすごい経験。僕には4歳の孫がいるんだけど、自分がいなくなった後も“おじいちゃんがやったこと”って言ってくれたら嬉しいよね。この小学校を建てた町衆も、同じように思っていたんじゃないかな」

元講堂を保存・活用し、1100冊もの書籍が並ぶ「restaurant library the hotel seiryu」では、メイン料理を7種から選べる極上の朝食を提供。

廊下や階段といった共用部には、梁や腰板張りなど小学校だった当時をしのばせる装飾が多く残る。目を閉じると子どもたちの声が聞こえてきそう。

中央階段の最上部に設けられたテラスからの眺望。トワイライトタイムに沈む夕日を眺めながら旅の思い出を語り合う、そんな幸せな時間を。

夜にはまた別の表情が。闇夜に浮かび上がるライトアップの効果で、アーチ状の連窓やスパニッシュ瓦葺きの屋根など、建物の意匠がより際立つ。

「ザ・ホテル青龍 京都清水」
住所:京都府京都市東山区清水二丁目204-2
電話:075-532-1111
客室数:48室

話してくれたのは…川村裕文さん
「閉校となった小学校をホテルとして再生させる」という本プロジェクトのコンセプターを務める。多くのホテルや店舗の開発を担当。また、京料理を提供する「祇をん 八咫」のオーナーでもある。

記事最上部の衣装クレジット
シャツ¥66,000、スカート¥94,600(共にオーガスト)、シューズはスタイリスト私物

photo:TISCH[MARE Inc.] / styling:CHIKAKO AOKI / hair & make-up:KEIKO CHIGIRA[cheek one] / produce:MAKI KONIKSON[Konikson Productions,LLC.] / model:MIHO KANNO

otona MUSE 2024年1月号より

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