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ワタナベマキさんの愛用する台所道具① 余宮隆のすり鉢

  • 2023.12.12
自然豊かな熊本県天草市で作陶する余宮隆の「片口すり鉢」はどっしりとした厚み。手で鉢を押さえなくても動きにくく、すりやすい。「食卓の上に置いても浮かないので盛り鉢としても活躍」。愛用のすりこぎは黒文字。

日本人のことを理解した老舗アイテムに信頼感。

2022年に自宅を引っ越したワタナベマキさん。断捨離を経て手元に残ったキッチン道具は、そのほとんどがこれまで長い時間を一緒に過ごしてきたもの。

「手に馴染んでいるというのもありますが、傷がついていたり、欠けていたり、それも〝自分の道具〞という感じがして。道具を新調するときは、鉄や銅、木など〝育つ素材〞を選ぶことが多いですね」

彼女がいい道具として紹介してくれたものは1908年創業の〈ニッコー〉や〈小泉硝子製作所〉、〈貝印〉など老舗の日本メーカーが多い。

「海外製も購入することはありますが、大きすぎたり、持ちづらかったりして良さを生かせないことも。日本製は長年日本人に合うサイズや動きを研究して作られている気がして、使いやすく感じます」

母や祖母から教えてもらったレシピに、独自のアレンジを効かせた料理を得意とするワタナベさん。その視点は道具選びにも通じている。

「人の手で作られた昔ながらの道具や伝統をベースにした現代作家の作品は温かみがあって和みます。調理道具のなかでも作家もののすり鉢が好きで、いくつか持っているのですが、するという行為自体が
プリミティブな感じがしますし、すりたての素材が入ることで料理が格段においしくなる。作ってそのままテーブルに出せるデザインを愛用しています」

最後にいい道具に出合うコツを聞いた。

「作っている人のこだわりが必ずあるので、それを事前に調べて自分が欲しい条件と合致したら買うようにしています。なぜこのサイズなのか、素材なのか、形なのか。それがわかると、道具をより生かせるようになる。こちらが想像していなかった使い方を知ると料理の可能性がより広がる気がします」

ワタナベマキ料理家

1976年神奈川県生まれ。グラフィックデザイナーを経て、2005年「サルビア給食室」を立ち上げ、料理家としての活動をスタート。著書に『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)など多数。

photo : Kohei Yamamoto text : Mariko Uramoto edit : Wakako Miyake

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