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世界からお届け!SDGs通信メキシコ編。境界のない街づくりへ。中南米最古のエコビレッジ

  • 2023.12.11
世界からお届け!SDGs通信メキシコ編。境界のない街づくりへ。中南米最古のエコビレッジ

旅する劇団が築いたパーマカルチャーの輪を、世界へとつなぐ

メキシコシティから車で約1時間ながらも豊かな自然にあふれるモレーロス州テポストラン。人気の避暑地で、古来先住民ナワトルの居住区であった同所にエコビレッジの〈Huehuecoyotl〉がある。

メキシコを含む中南米、北米、欧州などの多国籍メンバーにより結成された移動劇団が、1960年代後半から世界のさまざまな場所を旅した末に1982年に設立。現住人は20人だが、エコビレッジを学ぶための生徒たちが滞在していたり、ビレッジ内の家を短期で借りて住む人たちもいて常に流動的だ。共同施設には、調理場、ワークショップやコンサートもできる講堂、菜園があり、ビレッジ内の14の住宅同様に滝の水や雨水利用や、排水のリサイクル、太陽光エネルギー、ドライトイレを使った宿泊施設もある。

近隣の先住民コミュニティ向けに、インターネットなどのテクノロジー面のサポートや、共助しながらの農業も行う。これまでに学校、民芸品職人の組合、地元の生産物を売るショップなどを立ち上げ、エコツーリズムを牽引。テポストランの観光業の促進にも貢献した。さらに一般向けにエコビレッジの作り方のセミナーや、内外のアーティスト、セラピスト、環境、生物学者など幅広いネットワークを駆使してのワークショップやイベントを行う。

今後〈Huehuecoyotl〉に影響を受けたエコビレッジが、世界のどこかで生まれることもあるだろう。彼らの街づくりは境界を超えて続いていくのだ。

アマテの樹の根と住人たち
ビレッジのシンボルである古いアマテの樹の根と住人たち。©︎Jan Svante Vanbart
エコビレッジの〈Huehuecoyotl〉講堂、宿泊施設
メインの建物には講堂、宿泊施設を備える。©︎Jan Svante Vanbart
エコビレッジの〈Huehuecoyotl〉
2.5ヘクタールの敷地内には14件の住宅と一般も宿泊できる施設が。短期間でもパーマカルチャー(持続的な循環型の農業をベースに、人と自然を豊かにするデザイン手法)に親しむことができる。©︎Jan Svante Vanbart
エコビレッジの〈Huehuecoyotl〉に三世代にわたって暮らす一家
ビレッジで三世代にわたって暮らす一家。近隣の先住民コミュニティとも共助しながら農業を行う。©︎David Atl Rybicki
竹を使って家を作るワークショップの様子
環境に優しい建材の竹を使って家を作るワークショップの様子。©︎Rebeca Perez Cid

Information

Ecoaldea Huehuecoyotl

グローバル・エコビレッジ・ネットワークにも登録される1982年創立の中南米最古のエコビレッジ。外部からの住人も常に受け付け中。宿泊施設もあり、パーマカルチャーを体験できる。

HP:https://huehuecoyotl.net , www.nomadliving.net
Instagram:@huehuecoyotlecovillage

profile

長屋美保

ながや・みほ/静岡県浜松市生まれのライター。メキシコシティ在住16年目。同地のダウンタウンの一角で、小さなアジア食堂を営む。

X:@mihonagaya

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