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大人が意外と間違える「少なくとも1枚が表になる確率」は?《5枚のコインを同時に投げる》

  • 2024.1.21
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ギャンブルやくじ引きなど「確率」というのは日常にも潜んでいます。

「すべての場合の数」を考え、そのうち「条件に当てはまる場合の数」がいくつあるかを考えることによって、確率を求めることが可能です。

しかし、状況が複雑になると、「何通りあるのか?」というのが難しくなってきます。

今回は「確率の計算の工夫の仕方」について考えてみましょう。

問題

5枚のコインを同時投げる。このとき、少なくとも1枚が表になる確率を求めなさい。

コイン投げの確率です。1枚あたりの表・裏が出る確率はそれぞれ1/2と考えましょう。

5枚のコインを投げるので、まずは表・裏のすべて組み合わせが何通りあるのかを考えなければいけません。

その上で、「少なくとも1枚が表」という確率がどうなるでしょうか。

 

さて、今回の問題の答えは、「31/32」です。

解説

まず5枚のコインの表・裏のすべての組み合わせを考えましょう。

1枚目のコインはもちろん「表と裏の2通り」です。

それに対して2枚目のコインも「表と裏の2通り」。3枚目も2通り・・・、となりますね。

つまり5枚のコインの出方は、2×2×2×2×2=32通りということになります。

では、この32通りのうち、「少なくとも1枚が表」というのが何通りあるのでしょうか。

「少なくとも1枚が表」というのは、「1枚だけ表」とは意味が違いますよね。

もし「表が2枚」となったとしても「少なくとも1枚が表」という条件を満たしています。

つまり「少なくとも1枚が表」というのを考えるには、「表が1枚」「表が2枚」「表が3枚」・・・と考えなければいけないということです。

これらを順に考えていくことも可能ですが、実はもっと簡単に求める方法があります。

それは「表が出ない場合」を考える方法です。

表が出ない、つまりすべて裏となるのは、5枚のコインが(裏裏裏裏裏)とならないといけないので1通りしかありません。

5枚のコインを投げた場合の数は32通りなので、そこから、すべて裏の場合を引けば「少なくとも1枚が表」ということになります。

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確率で計算すると次のようになります。

(少なくとも1枚が表の確率)
=1ー(すべて裏の確率)
=1ー(1/32)
=31/32

これは、数学的には「余事象」という考え方を使っています。

「Aが起こる」に対して「Aが起こらない」といい、確率は次のように計算できます。

(Aが起こる確率)= 1ー(Aが起こらない確率)

今回は、「少なくとも1枚が表」の確率を求めるところ、「そうならない(すべて裏)」確率を求めることで問題を解くことができました。

まとめ

確率の計算は、少し工夫するだけで簡単に問題が解けてしまいます。

「余事象」という考え方もそのひとつです。

知らなかった方は、ぜひこの機会に学び直しをしてみてください!


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」