1. トップ
  2. 『ブギウギ』終戦後、楽団には依頼が殺到…!休みなく歌うスズ子(趣里)が下した決断は…?

『ブギウギ』終戦後、楽団には依頼が殺到…!休みなく歌うスズ子(趣里)が下した決断は…?

  • 2024.1.12

戦争が終わった。スズ子(趣里)たちにとって、まさに苦渋を舐め続けるような時期は、終わりを迎えようとしている。未だ物資は行き届かず、愛助(水上恒司)や小夜(富田望生)とともに庭で育てたジャガイモを、ありがたく食べる日々だ。そんななか、ついに歌姫・福来スズ子が持ち歌『ラッパと娘』で完全復活を果たす。

堂々たるステージ、羽鳥の帰還も

undefined

たくさんの大切なものを根こそぎ奪っていき、何一つ残していかなかった戦争。スズ子たちをはじめとする市政の人々にとって、戦争にはどんな意味があったのだろう。

かつて、特攻隊員のために『別れのブルース』を歌い上げた茨田りつ子(菊地凛子)は、飛び立つ若者たちから「思い残すことなくいけます」と言われた。人を生かすために歌う彼女に向けられた、死にゆく者の言葉。受け取った側にとって、どれほどの重さを持つか知れない。

茨田も、スズ子も、それぞれの想いを胸に圧巻のステージを披露した。苦しい時期を耐え抜き、これからも生きていくことを心に決めた者たちの、強い歌声だった。

彼女たちの歌を聞くため、無事に上海から帰還した羽鳥(草彅剛)の姿も見られた。彼とその妻・麻里(市川実和子)との間には、無事に生まれた第三子が。ともに抱き合い、互いが生きていることを確認し合うシーンは、いかにこの戦争が過酷なものだったかを示しているようにも見えた。

依頼殺到の楽団に、スズ子が下した決断

undefined

完全復活を果たしたスズ子と、その楽団の元には、公演依頼が殺到。少し前まで、自ら歌う場所を探して歩きまわっていたにも関わらず、歌っても歌っても足りない日々がやってきた。楽団員たちを含め、スズ子本人にも少々の疲れが見える。それでも、満足に歌う場所と時間がなかった時期を知っているから、スズ子は喜んで歌う。

しかし、そんな「福来スズ子とその楽団」にも、転機がやってきたようだ。戦争が終わり、少しずつ景気が上向いてきて、楽団の評判も上がってきたのだろう。楽団員たちは、ほかの楽団と掛け持ちを始めた。中には、引き抜きの声がかかっていると打ち明けた者も。

楽団を立ち上げて、4年が経つ。楽団の様子を客観的に、冷静に見つめたスズ子は、解散を決意した。歌わせてもらう、演奏させてもらう場所を探し回っていたような自分たちが、引くて数多の状態になっている。そんな現状に感謝しながら、それぞれ“次の場所”へ進むためのきっかけを、スズ子自身が作りだしたのだろう。

そんなスズ子にとって、まさか小夜まで自分の元を去ってしまうとは、予想外だったのではないか。この頃、アメリカ兵のサムと交流を重ねていた小夜。彼と会ううちに、歌手になりたくてスズ子の付き人を志願したことを思い返したのかもしれない。

1月15日から放送される第16週「ワテはワテだす」の予告を見る限り、サムとの間に何か事件が起こり、小夜はふたたびスズ子の前へ姿を表すようだが……。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_