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原作漫画家がまさかのボロ泣き…月10ドラマ『アンメット』制作の中で「心残り」と語るのは?

  • 2024.5.11
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ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』 (C)カンテレ

カンテレ・フジテレビ系で月曜22時に放送中のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』は、講談社『モーニング』で連載中のマンガが原作。今回は、原作漫画家・大槻閑人さんにドラマ化された背景や率直な気持ちを伺ったインタビューをご紹介します。

『アンメット ある脳外科医の日記』あらすじ

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ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』 (C)カンテレ

将来有望とされてきた脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)は、不慮の事故をきっかけに記憶障害を患います。過去2年間の記憶がないうえ、新しく得た記憶は明日には忘れてしまう…。そんな重い障害を背負った彼女の1日は、「前日までに書き留めた“日記”をすべて読み直すこと」から始まります。

記憶をなくす前の研修先だった病院で、医療行為を行わない看護助手として働くも、ミヤビは「私はまだ医者なのだろうか」という葛藤を抱えたまま生活します。

しかし、変わり者の脳外科医・三瓶友治と出会うことで、ミヤビの心は動かされていく——。

原作漫画家・大槻閑人さんが放送を観た、率直な感想は?

すごく上質なドラマ」、その一言に尽きると思います。
昨今の日本のドラマは、もっと分かりやすくライトなものが受け入れられやすいのかなと思っていましたが、SNSに寄せられたコメントを読むと、後遺症の恐さや登場人物たちの複雑な心情など、原作で大切にしてきたことは視聴者の方たちにきちんと伝わっていて、『アンメット』の世界が受け入れられたことがとてもうれしかったです。

そこには、医療のリアリティーを追求する制作スタッフの本気とキャストの皆さんの素晴らしいお芝居があり、なかでも、杉咲花さんと若葉竜也さんのお芝居からは、僕も毎回目が離せないです。

第1話を観て、まさかの号泣?そのワケは

出版社の担当編集さんをはじめ8~9人で見ました。屋上でミヤビが「今日が明日につながらない」と三瓶に苦しい胸の内を吐露する場面では、作者として2人の過去を知っているからこそ、そこに言葉以上のものを感じて、人目もはばからずボロボロ泣いてしまいました

そのあと、残されたミヤビが1人で泣くシーンも、医者でいたいけれどいられないミヤビの気持ちがひしひしと伝わってきて、杉咲さんが神々しく見えるほど素晴らしいシーンでした。

「正直、ドラマで評価されなくてもいいと思っていた」

正直にいうと、ドラマ化のお話をいただいた当初は、実写化することで原作をもっと多くの人に知ってもらえたら…というくらいの気持ちでした。僕としては、ドラマと漫画は完全に別もので、スタッフの方たちが真摯に向き合ってドラマを作った結果、それが世間からの評価を得られなくても、僕が心血注いで描いた漫画が傷つくわけではないと思っているんです。

それでもやはり、自分が描いた漫画をこれだけ上質なドラマにしてもらえたことは素直にうれしいですし、反響も大きくて驚いています。

三瓶役・若葉竜也さんからの質問にドギマギ?

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ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』 (C)カンテレ

偶然にも、僕がここ1~2年の間に観た映画は若葉さんが出演されている作品が多かったので、現場ではドキドキしながら若葉さんに声をかけました。クールな方だと思っていたのですが、とてもフランクに話してくださり、そのギャップにやられてすっかりファンになってしまいました(笑)。

若葉さんは、原作の三瓶の表情をとても熱心に研究してくださっているようでした。たとえば、患者さんにとってすごくつらい宣告をしなければならないとき、三瓶は冷たい顔をするのですが、それはあえて、きついときほど機械的に、ロボットのように振る舞うという感覚で描いているのですが、若葉さんはそういった細かい描写にも理解が及んでいるようで、「たまに三瓶がすごく恐い顔をするんですが、あれはどういう気持ちなんですかね」と質問してくれました。

とっさのことで、どの場面のことを指しているのか聞き返す余裕がなく、すごく曖昧な返事をしてしまったことが心残りなのですが、その質問を聞いて、一見、表情が乏しいようで実は多彩な表情を持つ三瓶をすごく研究されているんだなと感じました。

「『いつかドラマになるといいね』が現実になり、本当に幸せ」

放送後、「ドラマもおもしろいけど、漫画もおもしろいよ」とSNSに投稿してくださっている読者が想像以上にたくさんいて驚きました。そういった生の声を聞いたのが初めてだったので、こんなにたくさんの人たちが原作を読んで支持してくれていたんだと、感動で胸が震えました。

僕は長いこと『コウノドリ』の鈴ノ木ユウ先生のアシスタントをしていて、そのときに、自分には医療ものは描けない、プレッシャーが恐くて無理だと思っていたんです。それが、ご縁あって医療もののお話をいただき、「原作者は元脳外科医の先生ですよ」と言われて、それならできるかも!と。以来、原作の子鹿(ゆずる)先生に甘えっぱなしで描いています。

担当編集者さんと狭い部屋で煙草を吸いながら、「いつかドラマになるといいね」なんて夢を語ったこともありますし、それが今現実になって、本当に幸せです。ドラマを100%楽しんだあと、気が向いたら原作の漫画もぜひ読んでみてください(笑)

■インタビュイー・大槻閑人

第73回ちばてつや賞一般部門準大賞。代表作は『アイターン』(全4巻)。漫画を担当する『アンメット―ある脳外科医の日記—』が『モーニング』(講談社)で連載中。


作品概要

【タイトル】 『アンメット ある脳外科医の日記』
【放送枠】毎週月曜よる10時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
【出演】杉咲花 若葉竜也 岡山天音 生田絵梨花 山谷花純 尾崎匠海(INI) 中村里帆 ・ 安井順平 野呂佳代・千葉雄大 ・ 小市慢太郎 酒向芳 吉瀬美智子 井浦新
【原作】子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)「アンメット-ある脳外科医の日記-」 (講談社「モーニング」連載)
【脚本】篠﨑絵里子
【音楽】 fox capture plan
【主題歌】あいみょん「会いに行くのに」(unBORDE/Warner Music Japan)
【オープニング曲】上野大樹「縫い目」(cutting edge)
【演出】Yuki Saito 本橋圭太
【プロデューサー】 米田孝 本郷達也
【制作協力】MMJ
【制作著作】カンテレ