1. トップ
  2. ファッション
  3. 『プラダを着た悪魔』鬼編集長のモデル"と言われる"ファッション界の女王 74年の歩み

『プラダを着た悪魔』鬼編集長のモデル"と言われる"ファッション界の女王 74年の歩み

  • 2023.12.7

世界のファッションシーンに絶大な影響力をもつアメリカのファッション・ライフスタイル誌「ヴォーグ」で、1988年から30年以上にわたって編集長を務め続けているアナ・ウィンターさん。

今年で74歳となった彼女の半生を、ゆかりの人々へのインタビューと膨大な資料から描き出した一冊『ANNA アナ・ウィンター評伝』(河出書房新社)が、2023年12月4日に発売された。

切りそろえられたボブヘアと、真っ黒なサングラスのトレードマークで知られるアナさん。小説『プラダを着た悪魔』の著者ローレン・ワイズバーガーさんの元上司でもあり、同作に登場する編集長のモデルとも言われている。

「ヴォーグ」の地位を押し上げ、2020年12月からは「ヴォーグ」版元コンデナストのチーフ・コンテント・オフィサーとして同社刊行のほぼ全ての雑誌を監修しているほか、1995年メトロポリタン美術館のチャリティーイベント「メット・ガラ」のホストを務めている。このような、まさに"女王"とも呼べる輝かしい功績の裏には、社会情勢の変化や、アナさん自身の価値観に対する批判にさらされ続けてきた険しい道のりがあった。

本書は、250人以上の関係者や友人へのインタビューと、関連書籍、雑誌、書簡などの膨大な資料をもとに執筆された。アナさん本人へのインタビューは「丁重に」固辞されたものの、コンデナスト広報部からは、編集部スタッフや友人の連絡先を多数紹介してもらえたという。

世間では「冷酷」というイメージを持たれがちだが、インタビューや資料から浮かび上がる人物像は、美しいものをひたすら追い求めて奔走する姿。『プラダを着た悪魔』映画版の試写会にプラダを着て出席したことや、1989年に当時批判を受けていたマドンナを表紙に起用した経緯など、人間味がうかがえるエピソードも詰まっている。

【目次】
イントロダクション
1 出自 Origins
2 制服を脱いで Beyond School Uniform
3 解雇と採用 Fired and Hired
4 ファッション・アシスタント、アナ・ウィンター Anna Wintour, Fashion Assistant
5 ニューヨークでの新たな門出 A New Start in New York City
6 『ヴィヴァ』と人生経験 Viva la Vida
7 賢明(サヴィー)な行動 A Savvy Move
8 『ヴォーグ』への道 In Vogue
9 次善のポスト Second Best
10 二つの『ヴォーグ』の物語 A Tale of Two Vogues
11 ハウス&ガーメント House & Garment
12 編集長アナ・ウィンター Anna Wintour, Editor-in-Chief
13 織り込み済みのリスク Calculated Risk
14 「イン」対「アウト」 "In" versus "Out"
15 第一アシスタント、第二アシスタント First Assistant, Second Assistant
16 新しいプロジェクト、古い友 A New Project, an old friend
17 金銭の追求 Follow the Money
18 離婚 The Divorce
19 ドット・コム Dot.Com
20 新たな盟友 A New Alliance
21 互いの利益 Mutual Benefit
22 ビッグ・ヴォーグ Big Vogue
23 危機 The Crash
24 政治と痛み Politics and Pain
25 アーティスティック・ディレクター、アナ・ウィンター Anna Wintour, Artistic Director
26 変化 Changes
27 メット・ガラ The Met Gala
エピローグ パンデミック Epilogue: The Pandemic

〈著者プロフィール〉
■著:エイミー・オデルさん
ファッション・文化ジャーナリスト。『ニューヨーク』誌、『エコノミスト』発行の『1843』誌、『タイム』誌、『コスモポリタン』誌その他多数の出版物に寄稿。著書に『後列からの物語(Tales from the Back Row)』があり、本書は初の評伝である。夫と二児と共にニューヨーク州ウェストチェスター在住。

■訳:佐藤絵里さん
さとう・えり/英語・仏語翻訳者。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業。訳書にマーニー・フォッグ編『FASHION 世界服装全史』、パスカル・ボニファス『最新 世界情勢講義 50』などの他、共訳書にスヴェン・ベッカート『綿の帝国 グローバル資本主義はいかに生まれたか』(鬼澤忍との共訳)がある。

元記事で読む
の記事をもっとみる