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小池栄子のお悩み相談室 第24回:「物も人も、大切だった物を手放すことができません」 (25歳・人事)

  • 2023.12.6

――物が捨てられずに部屋が物で溢れてしまっている、別れるべきだと思う恋人と別れられないなど、何かを手放すことができないことに辛さを感じている方からの相談です。

本日のお悩み

憧れていたアイドルのグッズ、高校のときのイツメンでお揃いにしていたキーホルダー、好きだった人に貰ったマグカップ、もう会うこともない人が最後にくれた手紙。かつて大切だと思ったものを、手放すことがとても苦手です。
人には大切にできるもののキャパがあるらしいです。それは人でも物でも、たくさん持ちすぎてしまうと大切なものが見えなくなってしまうからだと思います。
今の私には必要のないものと心では理解しているものの、大切だった思い出を忘れたくないのか、大事に取っておいてしまいます。
いまは浮気性の彼の一番大切な人ではないとわかりながらも、離れる決断ができていません。一度大切に思った人のことを、自分から手放せないんだと思います。
今の私に必要なのは勇気なのか、覚悟なのかもわかりません。将来の自分のために一歩踏み出したいです。(25歳・人事)

――このお悩みは、掃除が苦手とか、捨てるなんていつでもいいから、というタイプとは違いそうです。手放すべきなのにそれができない苦しさがあるんでしょうね。

そう思うなら手放さなくてもいいんじゃないですか。そもそも、なぜ手放さなければいけないと思っているんでしょうか。キャパの問題?寝る場所もなくなっちゃうほど物で溢れてしまっているなら、手放していったほうがいいとは思いますが、そういうわけでもなさそうです。

――「人には大切にできるもののキャパがあるらしい」と考えているようですね。

うーん、そんなことはないと思うな。この方は、思い出深い物とか好きな物に囲まれているほうが、心が安定するという心理があるのかもしれません。それならそれで、いいのではないかと。

――「人でも物でも、たくさん持ちすぎてしまうと大切なものが見えなくなってしまうから」と思うのは、そういう話を見聞きしたからでしょうか。断捨離ブームがあったりしますし。

もしかしたら、見聞きした情報を信用しすぎなのでは。手放すことがブームかもしれないけれど、自分にとっては手放さないほうがしっくりくるのかも。そういった一般論に振り回されたり、人と比較するのではなく、自身の今の状態をよく知ることのほうが大事な気がします。浮気性の恋人が自分を一番大切に思っていないとわかりながらも離れられないのもそうだし、自ら手放せないことが悪いことじゃないと思うんですよね。だから勇気というより、覚悟の問題なんじゃないかな?

――それは、どういう覚悟でしょうか。

自分がどうしたいのか、と向き合う覚悟がないんだと思います。どうやって生きていきたいのかの覚悟が決まっていないから、周りと違うことに動揺したり、1番目の恋人じゃなくてもいいのかどうか、そこもわからないというか…。

――方向性が決まらないと、確かに簡単に手放せないこともあるかもしれないですね。

本当に好きな人だったら、周りから非難されようが一緒にいればいいし、どうしても側にいたいなら捨てられてもいいという覚悟でいるはずだから。自分と向き合う覚悟に加えて、世の中の情報や周りの目から距離を置く覚悟みたいなものも必要なのかな。

――なるほど。では小池さんのアドバイスとしては、覚悟が決まらないうちは手放さなくてもいいということですね。その前に、“なぜ自分は手放さなければならないと思っているのか?”と向き合うことだと。

そう思います。

私も決断が苦手なタイプ。 それをわかっているから人に委ねます。

――小池さんは、物を潔く手放せるタイプですか?

全部ではないですが、この相談者の方のように、大事なアルバムや手紙なんかを実家に持って行って、納戸に置いてありますよ。母親からは「年に一度しか見直さないのに、なんで取っておくの?捨ててよ」なんて言われますが、“あれが実家に残っている”という安心感はあります。それにじつは私も、決断するのが苦手ではあるんです。

――小池さんの場合、決断をしなければいけない時はどうされているのでしょうか。

信用できる人に委ねて、決めてもらったりします。たとえば夫に聞いてみて「やってみたら?」って言われたら「そうだね、じゃあやってみる」とか。決断できない自分を自覚している人は、自分のことをよくわかってくれている人に委ねていてもいいかもしれませんね。

――自分以外の人に委ねて決めたことも、やり遂げられるものですか?自分で決めていないと、つい「あの人のせいで引き受けたけど、やっぱりやらなきゃよかった!」とか思ってしまいそうで‥。

私の場合は、自分で決めるのがしんどいし、ビビっちゃう弱い部分もあるのがわかっているので、人に決めてもらう手段を取る以上、その人のせいにしないでちゃんとやり切ろう、頑張ろうって俄然やる気が出るタイプなんです。

――そうなんですね。そういうご自分を、どう自己分析していますか?

私は、なんでもいいという受身の姿勢がすごく強いんです。特に嫌なことも、絶対にこれやりたいということもない人間で。子供の頃から決めるのが苦手で、優柔不断な性格でもあるから、逃げグセがあることを自覚しているんです。決められることもあるけど、どちらかというとずっと誰かに決めてもらってきた人生でした。そんな自分を情けないと思うし、意思がないな…とも思います。だから、やりたいことがはっきりしていたり、すぐに決められる友人のことをいつも羨ましく思っていました。

――自分のことをわかっていらっしゃるから、信頼できる人を見つけて、その人に委ねることもできるんですね。この相談者も、アウトソーシングする人や、背中を押してくれる人がいてもいいかもしれませんね。

そうそう。誰かに決めてもらったほうが楽だって思う、私みたいな人間もいますから。入り口に立ったら全力で頑張ろうって思うけど、そこまで導いてくれる人がいてもいいと思います。

――そうやって、今のご活躍があるんですね。俳優、MC、バラエティ番組への出演など、いろいろなジャンルでお見かけしますし。

まあやってみて考えりゃいいんじゃない?っていうスタンスでやってきました(笑)。その結果、ありがたいことに今いろんなジャンルをやらせていただいていると思っています。

――それも、自分と向き合って覚悟を決めたからですね。

はい。だからこの相談者も、まずは自分の気持ちに正直に向き合ってみるといいんじゃないかな。

こいけ・えいこ/1980年11月20日生まれ、東京都出身。舞台、映画、TV、CMなど幅広く活躍。近年出演した主な作品は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『競争の番人』ほか多数。現在は『カンブリア宮殿』(テレビ東京)、『クレイジージャーニー』(TBS)、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)にレギュラー出演中。また、主演ドラマ『コタツがない家』は、毎週水曜日22:00〜日テレ系列にて放送中。来年2月から始まる舞台『骨と軽蔑』への出演も控えている。

Photo_Syu Yamamoto text_Aya Wakayama

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