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【さいたま国際芸術祭2023/連携プロジェクト】「イン・ビトウィーン」@埼玉県立近代美術館

  • 2023.12.6

こんにちは。リビング埼玉Web・地域特派員パントリーカから、「さいたま国際芸術祭2023」のレポートをお届けします。

「さいたま国際芸術祭2023」は、メイン会場(旧市民会館おおみや)のほか、さいたま市内各地で、市民プロジェクトと連携プロジェクトを同時に展開しています。

出典:リビング埼玉Web

今回は連携プロジェクトのひとつ、埼玉県立近代美術館にて開催中の企画展「イン・ビトウィーン」を鑑賞してきました。

さまざまな境界線の間(あわい)で思索する4名の作家

この企画展では、早瀬龍江(Tatsue Hayase)、ジョナス・メカス(Jonas Mekas)、林 芳史(Yoshifumi Hayashi)と、ゲストアーティストに潘 逸舟(Ishu Han)を迎え、4名の作品による絵画、ドローイング、版画、映像など多様な手法の作品群と、各々の活動に即した関連作品・資料で構成されています。

出典:リビング埼玉Web

▲早瀬龍江「非可逆的睡眠」(板橋区立美術館所蔵)は1953年・国立近代美術館で開催された「抽象と幻想」の出展作品

「イン・ビトウィーン」あなたは何と何との間(あわい)を思い浮かべますか。見えるものと見えないもの?過去、現在、未来?地球と宇宙?

たとえば、他者と“わたし”の境界線

出典:リビング埼玉Web

▲制作のみならず美術評論家や文筆でも知られる、林芳史の和紙作品(いずれも埼玉県立近代美術館所蔵)

見つめているうち自分の心が無に向かいそうな作品。他者と自己のあいだの無意識に魂がほとばしる油彩画。言葉を超えた向こう岸とのあいだに「真実のリズムを探す」映像。

見る者の迎合を求めない作品を巡っていると、さいたま国際芸術祭2023のテーマ“わたしたち”に重ね合わせたくなりました。

出典:リビング埼玉Web

▲飯能にアトリエを構えていた早瀬龍江の「妖火」(埼玉県立近代美術館所蔵)

たとえば、親しい友人やお世話になった人へのギフトを選ぶ時間。相手が喜ぶ表情を想像しているあいだ(=In Betweenですね)、“わたし”の心に他者が宿る。

対して、見えないどこかで“わたし”のことを想像する他者と私の境界線にある“あわい”は、時に強く融合したり時に遠く変わる。それは形のない曖昧な距離感だけれど、とても有機的で神聖な世界に思えてならない。

出典:リビング埼玉Web

企画展のタイトル「イン・ビトウィーン」は、ジョナス・メカスの映像作品から着想を得ていて、4名の作家間に接点はない、と図録にありますが、作家が生きる時代とそれぞれの境遇に誘われたまなざしは、独自の狭間を表現していて、符合が感じられました。

名建築と公園のハーモニーを愉しめる小さな旅

出典:リビング埼玉Web

▲日本のファンが多い映像作家ジョナス・メカスによる版画作品(埼玉県立近代美術館所蔵)

とても濃密な企画展でした。案内してくださった担当学芸員の鴫原さんへ、この場を借りて心よりお礼申し上げます。

出典:リビング埼玉Web

▲「イン・ビトウィーン」展の図録に掲載された鴫原さんのイントロダクションを読むと、作家の個性により深く近づけますよ

私の琴線がビュンと波打った作品は60分を超える映像もあり、時空を超えた世界の続きは、日を改め再び訪れて常設展の鑑賞とともに愉しむことにして、この日は展覧会の余韻を味わいながら久しぶりに北浦和公園を散歩しました。

出典:リビング埼玉Web

「さいたま国際芸術祭2023」のメイン会場隣にも公園があるんですよね。文化施設と公園が接しているさいたまの街は、豊かだなぁと再認識。

出典:リビング埼玉Web

▲彫刻広場に寄贈展示された黒川紀章建築の代表作、中銀カプセルタワービルのカプセルは必見

「イン・ビトウィーン」展は2024年1月28日まで開催

出典:リビング埼玉Web

「さいたま国際芸術祭2023」の会期は12月10日(日)までですが、今回紹介した「イン・ビトウィーン」展は、2024年1月28日(日)まで開催予定。学芸員によるギャラリートークなど、展覧会をより深く咀嚼できるイベントの予定がいくつかあるので、お出かけ前に美術館の公式サイトをチェックしましょう。

年末年始へ向かう毎日は、日暮れが早く心身がせわしなく過ぎます。そんなときこそ、あえて“わたし”の好奇心を揺らしに、アートの時間旅行へ出かけませんか?

出典:リビング埼玉Web

▲「椅子の美術館」としても知られるMOMASには名作椅子がさりげなく点在しています 実際に座れるものもあるので 椅子マニアの方は館内全体を巡ってみましょう! 私のおすすめのひとつ 剣持勇のラタンチェアは1階吹き抜け脇にあります

出典:リビング埼玉Web

▲早瀬龍江がアトリエを構えた飯能市のアイテムがミュージアムショップに並んでいて、おみやげにドリップコーヒーを買いました

同時開催のMOMASコレクション、座れる名作椅子、ミュージアム・ショップや併設レストランもぜひ。館内まるごと愉しんでくださいね。

出典:リビング埼玉Web

企画展「イン・ビトウィーン」|埼玉県立近代美術館 ■会期:2023年10月14日-2024年1月28日 ■休館日:月曜日(2024/1/8は開館)と年末年始2023/12/25-2024/1/3 ※「さいたま国際芸術祭2023」の会期(2023年10月7日-12月10日)と異なります 交通案内/開館時間/鑑賞料金の詳細は、埼玉県立近代美術館の公式Webサイトをご覧のうえ、最新情報を確認してください https://pref.spec.ed.jp/momas/

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